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「自分の愛し方」を遠藤周作と考える

自分の欠点を好きになれるか――。
ありのままの自分の愛し方について考える名作エッセイが遠藤周作生誕100年を記念し、新装版で登場です!

※発売日はAmazonなどのWEB書店に準じます。

<1月11日発売>
『自分をどう愛するか<生活編>幸せの求め方~新装版~』
著:遠藤周作

1955年『白い人』で第33回芥川賞受賞。’58年『海と毒薬』で新潮社文学賞・毎日出版文化賞、’66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞など数々の文学賞を受賞する一方、狐狸庵山人の別号をもち、「ぐうたら」シリーズでユーモア作家としても一世を風靡した遠藤周作。
本書は、遠藤周作生誕100年記念として41年前に刊行されたものが新装版として刊行されました!

自分が生まれる前に刊行された本!
生きている時代も違うし、正直、内容に古さがあるのでは?なんて思ってしまってすみません。
遠藤周作の生き方や考え方は「今」のほうがマッチしているように感じます。

自分の主張を人が何といおうと押し通したり、相手を傷つけても信念を貫き通す、というようなことは、ぼくは性格的にイヤなんだ。一つにはぼくの気弱なところにも原因している。
だけど、あなたたちの大半がぼくと同じような性格じゃないかと思う。人を傷つけてしゃにむに自分を貫くガンバリズムというのは、よほど強烈な神経のやつでなきゃできないと思うんだ。自分が正しいと思ったことをやっていたら、人が何といおうとかまわないじゃないか、ということはやさしいけど、人が全部非難していたら、不愉快にならざるをえないでしょう。
ぼくはそういうやり方というのは好きじゃないといっているわけではなくて、やりたいと思うけど、できない性格であるということを知っているわけです。
つまり強者の生き方じゃないのです、ぼくのは。だから「自他共栄」という考え方が必要になってくる。

本文より

遠藤周作は、闘志にあふれ、嵐に立ち向かっていくというタイプではありません。

この本の中でも、「ライバルの後ろに隠れて走れ」などといっている。他の人生評論家だったら、ライバルをあくまで追い抜け、倒せという言い方をする。けれども、私はライバルに憎まれるのはイヤだし、傷つけたくはない。だから隠れて走っていて、向こうが走るのをやめるまで待つ方を選ぶんです。

本文より

どちらかというと、自己嫌悪に陥り、劣等感に悩みながら、それでも、あれもこれも楽しみたいという生き方をしてきた人物。人生観は大いに参考になります。

代表作『沈黙』が生まれるまでを読むと、「人間の弱さ」をしっかりと見つめてきた様子がわかります。
そしてきっと『沈黙』が読みたくなります。

弱い自分が悪いわけではなく、そんな自分を受け入れたうえでどう生きていくか?やさしく突きつけられた気がしました。
遠藤周作と考える「ありのままの自分の愛し方」。
”弱虫さん”に読んでほしい1冊です。