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節分、大豆、鬼當 - 續養生やまと歌002

三十路を過ぎたくらいから、節分に年齢と同じ数の豆を食べるのが辛くなってきました。ただ、縁起の良いことはしたいので、40歳をこえた今でも、毎年頑張って豆を食べています。

この節分に食べる大豆は、鬼を退治するだけでなく、本草学的には浮腫を取り去るのにもよいとされます。また、瘀血(血の欝滞)を下したり、五臓の気の滞りを散らすとも考えられているようです[1]。

節分といえば私の実家では、柊(ひいらぎ)の枝にイワシの頭を刺したものを玄関先に飾っていました。この柊イワシも豆と同様に、鬼除けの作用があるとか。

この柊イワシに実家の飼い猫が、毎年必ず「ちょっかい」を出してしまい、豆まきよりもこれが節分の印象深い思い出です。

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「ちょっかい」とは腕や手のことを指す言葉らしいのですが、手には鬼という字が使われたツボがいくつかあります。その中でも鬼當というツボは、親指を曲げるとできるシワの端にあり、喉が腫れ塞がる時に良いそうです[2]。

豆を食べていると口の中の唾液が豆に吸収され、喉が詰まりそうになるので、豆を食べながら鬼當を押したらどうだろうか。いや本来の使い方とは全く違うし。お茶を片手に今年も豆を食べます。

ー注釈ー
[1]『重修政和経史証類備用本草』には「逐水張」「下瘀血」「去腫」「散五蔵結積」などとある。
[2]『鍼灸極秘伝』(京都大学貴重資料デジタルアーカイブ)には、「喉痺 にわかにのんどのはれふさがる」の治療穴として「鬼當」が列挙されている。

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