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養生やまと歌 - 江戸の養生書を読む 03

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和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。
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#食

数の子は甘く温也毒はなし陽をたすけて陰を補ふ - 養生やまと歌 074

正月にしか食べないので、全く注目していなかったのですが、補益作用の優れた食材です。 ただし、本草学的には温性が強いため、食べ過ぎると体に熱をもち、喉の乾き、のぼせや胸部の不快感などが出るようです。 冬に冷たいまま生食しても問題ないのは、温性が強いためだという説も、江戸時代の『本朝食鑑』に記載されていました。 ⠀ ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 T

黒豆は水腫にもよし食を消す胸のいきるや胃熱去るもの - 養生やまと歌 069

黒豆は瘀血や体内の冷えを散らしたり、腎を補うともされており、以下のような歌もあります。 黒豆を塩にて煮しめ常に食え腎を補う薬なりけり(『和歌食物本草』) くろまめは五蔵のふそく補益して瘀血を下し内寒を去る(『宜禁本草集要歌』) 塩で煮染める場合は、腎臓に逆に負担がかかってしまわないように、塩分はできるだけ控えるようにしましょう。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介し

鹹き味わい多く食すれば心をやぶりて色を変ずる - 養生やまと歌 063

五味の偏食を戒める歌はこれで最後になります。 こわい歌ばかりでしたが、普通に食事をするだけでしたらこんな現象はおきません。同じものばかりを大量に連日食べ続けるのを避け、色々な味の食材を食べるように意識しましょう。 現代人の場合、五味というよりかは健康食品の類で、特定の成分を過剰摂取してしまう可能性がありますね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Tw

辛き物多く食せば肝やぶれ筋引つりて爪ぞかれぬる - 養生やまと歌 062

五味週間の4首目は「辛(からい)」です。 辛味はかぜを引いた時に、発汗作用よって熱を下げるために用いられてきました。 体を温める目的で用いられがちですが、冷え性の場合でも、常にジワッと皮膚にとどまるような汗をかくタイプの方には、発汗作用で冷えを強めてしまうので不向きです。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも

甘きもの多く食せば腎やふれ骨髄痛み歯をも損ざす - 養生やまと歌 061

五味週間の第三首目は「甘(あまい)」です。 『養生大意抄』という養生書では、「甘物をつづけて多食すれば、中焦(ちゅうしょう)の気滞りて痞満腹痛等の病を発す。」とあります。 ここに「つづけて多食」と記載されるように、連日のように沢山食べるのは控えましょう。 甘い物に限らず、楽しみは「時々ちょっと」が養生の基本です。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。

苦きもの多く食せば肺やぶれ皮かれ髪の毛も落ちぬべし - 養生やまと歌 060

五味週間の二首目は苦みです。食べ過ぎるとハゲるというのはなかなか嫌ですね。 今週ご紹介中の五味の歌は、五味の偏りを戒めるためのもので、普通に食事をする量であれば、こんなに恐ろしいことは起きません。どうぞご心配なさらずに。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/s

すき味を多く食せは脾胃やぶれくちびるしはむものときくなり - 養生やまと歌 059

今週は五味週間とし、五味が偏った時の害についての歌をご紹介していきます。 五味とは酸苦甘辛鹹の五つの味のことで、この五つの味を偏りなく食べることが、食養生の基本です。五味を意識すると、自然と食材選びにもバランスが取れてきます。 第一首目は「酸」です。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https

梅干しは吐逆をとめて痰をきる喉の痛むに含みてぞよき - 養生やまと歌 058

『本朝食鑑』には梅干しは喉の痛みによいとし、「病の軽いものの場合は、梅干し一個を口に含み、ゆっくり唾液とともに嚥みこんでいくと痛みが止む。(筆者訳)」とありました。梅干しは他にも色々と使えますので、常備しておきたいですね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/s

はじかみは傷寒頭痛からえづき鼻ふさがりて息の臭きに - 養生やまと歌 053

ショウガは風邪で頭痛がしたり、鼻がつまったりする時や、吐き気止めに用いられます。 体を温めるために、毎日大量に摂る方もいらっしゃるようですが、次のような歌もあるので、過剰摂取は控えましょう。 生姜は上気をば去り過食して智恵をへらして気を破る也(『宜禁本草集要歌』) どんな食材も適量が大事です。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と

おりおりに粥や湯づけを食すれば脾胃を助けて気力おぎなふ - 養生やまと歌 052

お粥はちょっと面倒ですが、湯漬けでもいいなら楽ですね。 胃腸にくる夏バテの予防のために、時々食べて胃をいたわりましょう。湯漬けの場合は、ついつい早食いになってしまうのでご注意を。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://w

大根は痰のかたまり気を下し喉のかわくにこれを用る - 養生やまと歌 049

ダイコンは喉の痛みの応急処置にも昔から使われていて、絞り汁を飲んでいたようです。江戸時代の『広恵済急方』には次のようにあります。 「莱箙(だいこん)の絞汁を徐々(そろそろ)と嚥下(のみくだし)て良也」 めんどうな時は、生のままをよく咀嚼し、汁がゆっくり喉を通るように食べるのもよいです。 調理がめんどうでない場合は、以下の大根のどシロップがいちばんオススメです。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を

かれいをば気虚する人に用ゆべし諸病にさしてたたらざりけり - 養生やまと歌 047

カレイは胃腸が弱って元気の出ない時にオススメです。『本朝食鑑』には「気力を益し脾胃を補う」とあります。 また、本草書には食材ごとに、症状よって食べてはいけない禁忌のケースが記載されます。カレイのもうひとつの良い点は、食べ過ぎさえしなければ、この禁忌がないところです。 __ ※『本朝食鑑』は特にイシガレイに禁忌がないとし、次のように記載されている。 「惟だ石鰈は甘平無毒にして最も諸病の禁忌無きのみ。」 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経

冬瓜は寒なり水腫よく下し腰より下の腫をひかする - 養生やまと歌 041

‪夏にむくみ、上半身の熱感、口や喉の乾燥を感じたら、スイカもよいですが冬瓜を食べてみましょう。‬ ‪スイカと同じく寒性のウリ科ですが、トウガンの場合は、スープや餡かけなど、温かく調理して食べられるのが良いですね。‬ ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seis

わかめよく鬱気を散ず目にも吉肝腎の邪気退けぞする - 養生やまと歌 038

ワカメは体の水の滞りを改善する作用があり、海藻の類は腫物にもよいとされます※。 寒性の食材なので、水関係の症状を取りたい時は、味噌汁にしたり、ショウガと一緒に食べたりして中和しましょう。 腫物の場合は熱と関係しているので、そのままサラダなどで。 __ ※『証類本草』巻九、菜部中品の「昆布」中に引かれる陶弘景説に「海中の菜は皆癭瘤結気を療す」とある。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラ