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養生やまと歌 - 江戸の養生書を読む 03

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和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。
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#江戸時代

食物の良きと悪しきをわきまえよ病は口より入のほんもん - 養生やまと歌 013

体に良い食材や、悪い食材は、その時の気候や体調によって変わります。固定されたものではありません。例えば、冷やす性質の食べ物は、真夏に適量をとれば体の火照りを取りますが、胃腸の弱りやすい梅雨の時期は控える方がよいものになります。 梅雨や夏に意識したい、本草学的にみた体を冷やす食べ物も、参考までにまとめておきました。 「冷えイコール悪」というイメージですが、冷やす性質の物は、胃腸に問題のない方が、適量を単独で食べるだけでしたら、あまり気にしなくてもよいでしょう。 注意すべき

肩せなか缺盆の内引痛み息し難きは太淵の穴 - 養生やまと歌 012

仕事に集中していると、いつの間にか呼吸が浅くなり、脳が疲れたような感覚になることがあります。そんな時、深呼吸が手軽な回復法になりますが、この太淵を押すひと手間加えるだけで、より効率的な深呼吸ができます。 以下の手順でぜひお試しを。 【 太淵呼吸のやり方 】1.姿勢を正して座り、軽く目を閉じる 2.最初に一回だけ深く息を吐く 3.左の太淵を圧迫したまま深呼吸7回 4.右の太淵を圧迫したまま深呼吸7回 ちなみに、この太淵というツボは、「手の太陰肺経」という、胸周りや、呼吸器

人参はあさ夕食し益ぞある五臓補う物と知るべし - 養生やまと歌 011

人参は『本草綱目』では「胡蘿蔔」という名で登場し、以下のような効能があります。 「気を下し、中を補い、胸膈腸胃を利し、五臓を安んじ、人をして健やかならしめ、食して益有りて損なし」 『本草綱目』菜部(上海図書館所蔵金陵本、上海科学技術出版社、1993年、書き下しは筆者による) ありふれた地味な野菜ですが、こんな感じでベタ褒めされている、超オススメ食材です。こういう食材をたくさん覚えておきたいですね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴

永き日は宵よりいねて朝はやくおきば齢をたもつ養生 - 養生やまと歌 010

自然に適応しながら過ごす。これは養生の基本です。日が長くなり、日の出時間も早くなる時期は、いつもより少しだけ早起きしてみましょう。ギリギリまで寝ていたい方の場合は、15分程度でも早く起きると、心の余裕が生まれて、心身ともによいですよ。睡眠時間が少ない方は無理せずに。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!

胃中ひえ腸なり臓気虚しつかれ食下らぬは足の三里よ  - 養生やまと歌 009

足三里は胃の調子が悪い時に最適なツボです。また東洋医学では、湿気の多い時期は、胃の調子を崩しやすいと考えられています。胃の不調の影響は全身に広がるので、梅雨から夏にかけて体調が悪くなる方もぜひお試しください。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishind

鯛はただ筋骨強くなしにけり心腎弱き人によきもの - 養生やまと歌 008

鯛も虚弱な方に特におすすめの補益食材になります。五蔵を補い、気血を益す作用があったりと、本草学的には魚類の中でトップクラスの効能です。 江戸時代の本草書『本朝食鑑』には、乳房がしなびて垂れ下がってしまった授乳婦が見事復活した、以下のようなエピソードも記載されていました。 ある授乳婦は、体が虚弱で食が細く、母乳が出ず、乳房がしなびて垂れ下がってしまっている状態だったが、味噌と酒粕で鯛の肉を煮て食べると、3、4日して乳房が張り、湧き出るように乳汁が出るようになった。 (又一

朝早く起きて歩をはこびなば気も晴れやかに病しりぞく- 養生やまと歌 007

早朝散歩は気持ちが良さそうですね。気分の晴れない時に試してみるといいかもしれません。 僕自身は朝目が覚めるのは早いのですが、布団から出るのに時間がかかるタイプで、朝の散歩はなかなか無理そうです。今回はとりあえず養生の基本として、この一首を紹介しました。朝に強くなりたい。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新

痩せつかれ手足もだるく積かたく気さかのぼらば気海なりけり- 養生やまと歌 006

‪疲労回復の一番の薬は休むこと。ただ、休んでも疲労感が抜けない時ってありますよね。そんな時にてっとり早く回復したいなら、気海へのセルフ灸がオススメです。歌にあるように、気の逆上を下げるので、頭をクリアにしたい時にもよいでしょう。‬ 気海はお灸に向いたツボなので、せんねん灸などの台座型のお灸で刺激します。‬ ‪お灸は面倒くさそうだし怖い、という方もいらっしゃると思いますが、家庭用に市販されている台座型のお灸は点火して貼るだけで、すごく簡単です。お灸は大きめのドラッグストアで

たけの子は痰を化す也水を利す虚冷の人に用べからず - 養生やまと歌 005

今年の春はタケノコ食べましたか? もう旬も終わりになりますが、タケノコには「利水」という、体の水分バランスを調節する働きがあるとされています。 東洋医学では人の体を流体としてとらえ、気・血・水の3つがめぐっていると考えています。このバランスが乱れると、身体にさまざまな不調が現れます。「水」に関わる身近な症状ですと、「むくみ」がそれにあたります。また、口の強い渇きも、水の不調和によることがあります。 こういった水のトラブル時に、タケノコのような「利水」の食材が役に立つわけで