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清流紫暁 詩集「暁月」

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清流紫暁の詩集「暁月」です どうぞお楽しみくださいませ noteに発表した順に26の詩が漂っています
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#現代詩

ひかりゆく

ひかりゆく

ひかりゆく
その道

照らされゆく
蛍の背

海へのぼりゆく
月の光

曇天をてらしゆく
雨の雫

その道をあゆみゆく
我が足

ああ、そこには風が吹いている
…自由で限りを知らぬ風が

風が、
強く吹いている

2023/07/13

ゆめみ

ゆめみ

ぼくの
かなしい木造建築は
いったいどこへいってしまったのだろう

昔は
木の上にひとり
こっそりと家を建てて
静かな暮らしを送りたかった

そんなものはみんな
できねえよ
と思いは砕かれ
諦めたのはいつだろう

今は
時折外に出ては
人工音の何もしない自然の
中で私(し)をかくのをゆめみている

このぐらいは
ゆるしてほしい

かなしい木造建築のかわりに
綺麗な私(わたし)のゆめをみておくから

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わらいたまえよこのじんせい

わらいたまえよこのじんせい

嗚呼、外道様!!
わたくしの一生をわらってくださいまし

そのまがりきったまなざしで
わたくしをわらってくださいませんか

とうてい
このままではおれません

おれませんとも!!

そうかんがえたので
きょうこのひに
あなたにすがったばかが
ここにひとりいるのでございます

(2023/3/10)

つゆのうた

つゆのうた

わたしのともだちと
おやがいう
あかがえるは

ひさびさにふった
やさしいあめのなか
またそのかずをふやして
いきおいよくこえをふるわせていた

そとにでて
こえをきいてやろうとおもったら
あめがつよくなってきたので
すこしげんかんさきまででて

おやがにているといった
そのなきごえを
わたしはしたをふるわせて
たかくならした

そんなことをしていると
へやのまえのちいさないけから
へんじがかえっ

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最期ノ抱負

最期ノ抱負

アト一ヶ月ホド経ツト
ボクハ大人トイウモノニ
ナッテシマウラシイ

チットモ良イ子供時代デハ
ナカッタノデ
大人ニナルノガ
ドウニモコワイ

仕事ニオボレ続ケタ
アノ頃ノ方ガ
良カッタノカモシレナイ

何モ考エズサセラレル事ヲシテ
自由ヲ知ラナイ無垢ナママガ
良カッタノカモシレナイ

タダ、モウソノ時マデ
余リニ時間ガナイノデ
タダ恐ロシクッテ
ボクハふとんニ
クルマッテイルシカナイノダ

(20

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酒浸り

酒浸り

ふりつもるあめは硝子の玉
すべての面で反射して
空色の虹色のひかりを放つ

じめんにささるつららは戦場の槍
雪を返り血にして
にぶく輝く

わたしのめにうつるは命の色
母なるそらを見透かして
そろーりすんと、めを……