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せいちゃんのReadingDrama#33「扉の先に」髙橋彩音


髙橋彩音ちゃんゲストでお届けした11月の
「福らじ」リーディングドラマ
早めにまとめてみました!!(もしかしたら投稿更新するかもです)

リーディングドラマについてはこちらから↓


メンバーについて

髙橋彩音(たかはしあやね)
1997年12月30日生まれ、23歳
チーム8埼玉県代表・チーム4兼任
血液型:B型
身長:153cm

彩音ちゃんは小さくて小動物のように可愛らしい子。大学で服飾をを学んでいたらしく、卒業制作のドレスはお花がちりばめられたとっても可愛らしく、綺麗で印象に残っていたので、今回のお話はお洋服にまつわることに。

私と彩音ちゃんの共通点といえば、お洋服が大好きなこと。だから2人でその世界に浸れた時間が幸せだったなぁ。

実はnoteで下書きをしていたのでそのまま載せてみようと思います!(読みにくかったら差し替えます)
ナレーションは切り替え部分に名前を入れているので注意して読んで下さい。


それでは、どうぞ!


せいちゃんのReadingDrama
#33  「扉の先に。」

彩音:メイン通りから少し歩いた場所にある、このお店が私の夢への扉だった。


聖菜ナレーション-----------

SE:街の音

聖菜「よし、今日こそ勇気を出していこう」
そのお店はずっと気になっていた。前を通りすぎる度にちらちらとショーウィンドウを眺めては、中に入る勇気が出ずにいた。でも今日の私はいつもと少し違っている。
「だって、もう16才になったんだもん。」
誕生日に買ってもらったお気に入りの服を来て私は扉を押す。

SE:入店音カランカラン

聖菜「すみません」
店員さんは席を外しているのか店内には誰もいない。私はおそるおそる、だけど期待に胸を躍らせながら店内を見回す。そこは想像していたよりも沢山、魅力的なお洋服たちが揃っていた。 

聖菜「うわぁ、これもかわいいいし、これも」
一人でぶつふつつぶやきながら眺める。
レトロな雰囲気が漂う店内にぴったりのクラシカルなチェックのロングスカートにブラウスは白だけでもたくさんで選び放題。それに合わせるコロンとした街歩き用のローファー、そして、、

聖菜「なにこれ…!」
私が目を奪われたのはお花の刺繍が一面に広がったコロンとしたがま口のバッグ。

彩音「それはプチポワンという刺繍がされていてアンティークのものなんです」
聖菜「わ、すみません!勝手に見てしまって。」
彩音「こちらこそすみません、突然話しかけてしまって。ちょうど倉庫で探し物をしていたところで…」
聖菜「このバッグ、すごくかわいいですね…!」
彩音「うんうん、そうですよね!私も大好きなんです!…でもすみません、これは売り物ではなくて飾っていて。」
聖菜「そうなんですね…すみません!」
彩音「いえいえ、他のものでしたらぜひ!」

売らずに飾っているこのバッグ、いったいなんでなんだろう。

SE:店内、古時計の音チクタク

聖菜「あの、これください」
私がそう言ってレジに持って行ったのはレトロな柄が可愛いスカーフ。
彩音「プレゼント用ですか?」
聖菜「プレゼント、そうですね。実は自分へのプレゼントで…」
彩音「自分への、それは可愛くラッピングしないとですね!」
聖菜「実はこのお店ずっと入ってみたかったんですけど、勇気が出なくて、でも16歳になったから自分用にプレゼントを買おうと思って入ってみたんです!」
彩音「そうだったんですね、そんな素敵な機会に当店を選んでいただけて幸せです!」
聖菜「あの、失礼な質問だったらすみません、あのバッグって何で売らないんですか?」
彩音「そうですよね、飾っているだけって不思議ですよね。そろそろ閉店の時間なので1時間くらいお時間あったらぜひ、お茶でも飲んでいきませんか?」

それから店の店主である彩音さんはこんなことを話してくれた。

彩音ナレーション------------

私がはじめてこのお店を訪れたのはまだ小学校低学年の頃。
その日はちょうどお母さんが用事で出かけていてお父さんと二人だけの休日でね、朝から映画を見て、デパートでご飯を食べて、楽しい一日がまだ終わってほしくない!なんて思っていたらお父さんが散歩して帰ろうかっていってくれて。

それで歩いていたらこのお店を見つけたの。お店の前の大きな窓に写ったもの全部がキラキラして見えて私はお父さんにせがんで中に入らせてもらった。当時はアンティークショップをしていてね、見渡す限りアンティークの小物がたくさん。置物に洋服にボタンに糸まで。そんな中で私はこのバッグに目が奪われちゃって。

おばあちゃん「そのバッグは売り物じゃないよ」

店主だったおばあちゃんに実は私もこう言われちゃってたんだよね。

おばあちゃん「このバッグは私がはじめて海外に行った時に買ったものでね、19世紀前半に作られたものじゃないかって。このバッグを売るとしたら、そうだね、この店をたたむときかしらね」

どうしてもこのバッグがほしかった私は小学生だったけど毎週一人でも通いつめておばあちゃんからいろんな話を聞いて。海外で出会った人やもののはなし。とにかく夢中になって聞いたなぁ。糸とボタンをくれたこともあって。

でもしばらくしてこのお店に来ることができなくなっちゃって。勉強していい大学に入りなさいって家族に言われてね。中学受験までして。高校生の時自分の夢を考えたときに勉強だけじゃなくて、お洋服のこと、服飾の道に進みたいって思って学校に通うことにしたの。それで、卒業してからこの街に来ることがあって、まだやっているかなって覗いてみることにして。

SE:入店音カランカラン

久しぶりに扉を開くと、変わらずおばあちゃんがいて。

おばあちゃん「久しぶりだね、今日は何の用だい?」

なんて、昔のように声をかけてくれたのが懐かしくて嬉しくて。
でもよく見るとお店の中は昔よりも物がなくなっていて、それでも変わらずにこのバッグはあったんだよね。

彩音「これ、懐かしいなぁ。」
おばあちゃん「あぁ、それ、もうだいぶ古くなっちゃって。内側が少し壊れてしまっているんだよ」
彩音「え、そうなんですか?」
そう言って中を見ると少しだけ内側が破けていて、私は咄嗟に

彩音「これ、私が直してもいいですか?」
って言っちゃったんだよね。
それからまたしばらくこのお店に通って、おばあちゃんと話しながら、修繕してね。あぁ私、お洋服の学校通って本当によかったなぁって。

それでバッグが完成した日おばあちゃんがね、

SE:店内、古時計の音チクタク

彩音「ふー、これで、よし!」
おばあちゃん「お、できあがったのかい?じゃあそれ、あんたにあげるよ」
彩音「え?でもこれ大切なものだって、、」
おばあちゃん「実は私ももう歳でね、この店をたたもうと思っているんだ。」

私はこのお店が大好きで、なくなってしまうのが本当に悲しくて、それで何とかできないかなって。アンティークショップは少し難しかったから、代わりに古着とセレクトした小物を置いて、ここでお店をやることにしたの。それから今に至るかなぁ。

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聖菜「へぇ〜そんな素敵なお話が。当時からこんな感じだったんですか?」
彩音「うん、私は前のお店が大好きだったからレトロな雰囲気を壊さずにそのまま残したいなって思って。」
聖菜「このバッグは彩音さんがこのお店をやるきっかけになった大切な物だったんですね。」
彩音「そうなるのかなぁ」
聖菜「あの、私またこのお店に来てもいいですか?」
彩音「え、そんなこと、当たり前だよー!って急に砕けた話すぎたかな?」
聖菜「全然です。私もこのお店が大好きになりましたし、彩音さんとももっと話してみたい。アンティークのこともお洋服のことも教えてください!」

聖菜ナレーション---------

それから私はこのお店に通うようになった。
今日も彩音さんはここで素敵なお洋服を売っている。

SE:入店音カランカラン

彩音「こんにちは、どうぞゆっくりご覧になって行ってくださいね。」

次に夢への扉を開くのは私、かもしれない。

おしまい


裏話


この間大好きな街を歩いて、カフェに寄ったら、
目の前に素敵なお店を見つけた。
少しアンティークっぽい店内が店先の大きな窓から見えて、「あぁこのお店に入りたい!」と思って。

でも少し大人のお高そうなお店、私は結局入ることができずに帰ってしまった。その時ふと思ったのが、あれ?店に入る勇気ってどんなものだったっけ?ということ。

振り返ってみると、それは少し言い訳のような物が多かった気がする。
例えば、「お母さんの誕生日プレゼントを探していて」と言って、当時の私(高校生くらい?)からしたら少し高めのアクセサリーブランドに入ったり。

誕生日プレゼント」 はそれだけで勇気が出るようなビッグイベントだった。
憧れのお店に入るにはそんな力に後押ししてもらっていたなぁと。

そのお店の中に見えたおばあちゃんのお下がりのような刺繍のバッグがとても魅力的で、こんなバッグが欲しいなぁなんて、

そんなことから生まれたお話でした。