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思春期の子供こそ美術館に行くべき3つの理由。

Twitterやネットを見てると、定期的に「子供と美術館」の記事が上がって来ます。素晴らしいことだと思います。私もほんとうによく行きました。まあ私の場合は「友達いなかったから」というのが本理由でしたけどね・・・(でもな!昔な!Tokyo Art Beatがまだ紙だった頃、表紙やったことあるんやで!)

私が子供と一緒に美術館に行くブログを始めたのは12年前。どうこう言いながら続いています(最近noteに書いてしまうのでちゃんと転記せねば!)。息子はこちらの学校の学年で中学3年になりました。なので子連れ美術館の記事を読むともう懐かしくてしょうがないです。素敵です。

そして1つ疑問。「子連れで美術館」関係の記事で常々思うのは「子供と美術館鑑賞」は日本ではお子さんが10歳前ほどで大体終わってしまうことが多いことはなぜなのでしょう。これは残念です。おそらくお子さんの学校の都合や多忙、何より「親と出かけるなんて」という日本特有の「共の行動は親離れ、子離れしていない現れ」という考えかたから行かなくなってしまうのでは。。?と分析しています。

寂しい。

ちなみにうちは8歳で日本から転居した関係で、一時帰国の度に親の都合と好みのお付き合いでいまだに一緒に美術館通は続いています。ギャラリー鑑賞歴は10年超。若いギャラリースタッフからは「先輩」呼ばわりされたりします。しかし、連れ回す側の私もそれなりに工夫をしているので、本人はそれなりに楽しんでいると(私には)話しています。理由を整理してみましょう。

1:理由なき犯行実行犯を楽しむ

美術というのは基本、通常からは眉を潜めるようなことを表現したいという欲望から来ているのではないかと個人的には考えています。10歳前後のやりたいことなんて「とりあえず怒られるかどうかやってみたい」から始まると思うのです(え、違うの?)。そんな気持ちのまま大人になった作家たちの「反抗の実行犯」の具現化は「うわ、こんなことやってみたかった!」と驚きの連続になるようです。私たちが現代の作家が好きなのはこんな視点で見ているからかもしれません。

2:表現の自由は危ない橋の渡り方を導く

そして1のような表現が美術館という公共の場に出てくるのか。その道を考えてみると「(単なる)理由なき反抗」より危ない橋渡って潜り抜けた表現の自由の重要性を10歳前後なら実感することができると思います。これは立派な社会学習です。やばいことと、怒られること、怒れること。それでも社会に発信するためには、どうしたらいいのか。

2019年、ご縁を頂きあいちトリエンナーレの「表現の不自由展」。参加してる多くのアーティストの皆様のご好意により、内覧会と初日に母子で鑑賞する機会を頂きました。

その後の様々なやりとりは私も、そして13歳の息子もとても考えることが多かったとのこと。特に国外に住み、韓国や中国出身の多くの友人がいる息子は私以上に考えることが多かったようです。

3:違いすぎる世界の住人の与える刺激は少年を大人にする

幼少の時からアーティストとの交流を続けていくと、親では絶対に与えられない予測不能の刺激に遭遇させることが出来ます。うちの息子は13歳の時に、歌舞伎町のクラブでダンサーに拉致られました。ほら、文字にするとなんだこりゃだけどこの話には続きがあってあまりに刺激的な体験だったので興奮してブログ書いたらこのダンサーさんがとっても素敵な人で。

その後色々交流させて頂いた結果、なんと彼の所属する和太鼓チームの LIVEを鑑賞するまでたどり着きました!

そしてこのイベントで中心的な役割を担ってる松田修くんは私たち親子で大ファンなアーティスト。彼はあまりにアーティストなので毎回私たちの想像を絶するような話をしてくれる。アーティストってこんな風に考えてるだ!って全然違う世界を教えてくれる。これは10歳前後の子が感じる「この世界で失敗したらもう終わりだ」的な苦しみから一気に飛び出せる起爆剤になります。

この本超オススメです。松田くんの語りはほんとうに明快。そしてめっちゃ面白い。

4:10歳以上の思春期こそ美術館に行くべき

日本だと「子供と一緒美術館」となると赤ちゃんから小学校低学年を対象とする人が多いと思います。でも私は声を大にして言いたい。美術館、博物館は思春期に行くともっともっと面白い!

一緒に見なくてもいいんです。何時にここで待ち合わせって約束してバラバラに観るのでも全然オッケー。集合した後にお茶でも飲みながら自分の気にいった作品について話すのも楽しいですよね。

最近は日本でも美術館の夜間開館も増えてきたようです。土曜日、日曜日も閉館2時間前とかなら若干空いてます。部活や塾の帰り道にちょっと居抜きに思春期の子供を連れて美術館やギャラリーに寄ってみるのはいかがでしょうか。

対話型鑑賞を試みるのも素敵ですね。最近日本語で美術系のワークショップに全然参加してないのでやり方忘れちゃったよ的な点もありますが、こんなレポートをみるとワクワクします。

思春期の少年少女と超ぶっ飛んだ現代アートを鑑賞とか楽しいだろうな。。。臼井さんとは一度「ワークショップ企画側の本音」を「参加者側からの視点」で伺ってみたいです。

ちょっとつっぱってみたくなるお年頃。そこでツッパリを極めたアーティストの作品と対話して、新たな世界を感じてみてほしい。今年からは「思春期と美術館」を意識してブログを書いていきたいと思います。