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胃カメラ体験記

実は先日、突然胃の横あたりが痛みだしました。
あるときは1時間おき、あるときは5分おき。陣痛か?

立っていられないほどの痛みにびっくりして、翌日すぐに病院へ行きました。

血液検査やCTをしても、先生曰く

「よくわかりませんねぇ」

その翌日に超音波検査と胃カメラをすることに。

何年か前のバリウム検査の悪夢から、胃カメラなんて一生やらない、と決めていたのに。

看護師さんは、震える私に、

このくらいやて。今はこーんなに細いんやよ。

ポケットからボールペンを取り出し、私の目の前に出して見せる。

え、全然細くない。しかも以前がどんな太さかも知らないし・・・
と心でつぶやき、苦笑い。

とにかく点滴をしてから、泣く泣く予約をしてその日は帰りました。

そして当日。
「バリウムよりは楽」とか「今は鼻から入れるから楽らしい」

などなどちょっとした情報を心の支えに、いざ、病院へ。


普段病院なんて、息子の皮膚科や歯医者の付き添いしか行かないので、緊張して靴下を右左違うもの(グレーと黒)を履いてきた私。

台に乗ったとき、もしかして看護師さんにツッこまれるだろうか。
なんて心配をするほど心の余裕があったのは、この後の超音波まで。


目元バッチリの美しい看護師さんが案内してくれた、真っ暗闇の部屋。
「ああ、これならくつ下大丈夫。」とホッとしながら台に横になり、はじまりました。

お姉さんのマリア様のような声で

はい、息吸って〜

はい、止めてくださーい。

はい、楽にしてくださーーーーい。

瞑想教室か?

と思うほどのリラックス感。

くすぐったいよ、お姉さん、ククク・・・

うとうと眠気がやってきては、お姉さんの「はい、息吸って〜」の声に我に返り、の繰り返し。

「はい。おしまいです。」

の言葉がどれほど聞きたくなかったか。
残念感に包まれながら起き上がると、

「では次、胃カメラですね。」

の言葉に眠気が一気に吹き飛びました。

廊下を歩くと、健康診断中のおじさまたちがうろうろ。
皆同じ、全身パジャマのような検査着?を着ています。

私もきっとあれを着るのだろうな。と震えながら案内された部屋へ。

昭和の香りがするきつめのパーマの看護師さん。
さっきのお姉さんの方が優しくて良かったなぁ、と思うと同時に現実に。

思考は現実化する。

「あんた、はじめてー?顔が固まってるよ。はははは!」
「はい、鼻に麻酔するよー」
「あんた鼻小さいから痛いかもよー、痛いかもねー、ダメなら口から。はははは!!」

怖いよ〜
怖いよ〜

「今はこんなに細いからね。大丈夫。」

と、また細くも何ともない、以前がどれくらい太かったのか想像すら怖い、十分太いストローを見せられた。

それを、麻酔でしびれてきた鼻へ。

「あれ、入んないねぇ。あ、こっちも無理やわ。まぁ、先生は上手いから。大丈夫。・・・かもね!」

痛い!痛い!

まだ検査前の処置なのに、すでに涙目になりながら震えていました。

この段階で、自分だけ検査着に着替えていないことに気づきました。
あれ?私だけ何で?
あ、私だけきっと胃カメラは胃カメラでも、簡単バージョンなんだな!と思い込むことに。
(全くそんなバージョンはないことを最後に知る)

怖がる私を励まそうとしたのか、パーマの看護師さんはまるで霊体験でも話すように言いました。

昔ね、私手術したことがあって。そのとき恐怖のあまり過呼吸になって大変だったんだよ。
過呼吸。過呼吸になると周りが慌てるからね。ならないほうがいいよ。
過呼吸になるともっと怖いことになるからね。ひひひ。

!!!!

さらに恐怖が増し、心臓バクバク。過呼吸になる自分しか想像できない。

「じゃ、検査室行こうか。鼻がダメなら、口になるから。了解しといてね!ははは!」

と最後まで恐怖をあおる言葉で見送られ、いざ検査室へ。

先生はパソコンに向かってこちらに背を向けていました。
夜中にゲーム中の男子高校生のように(一部の、または将来の我が息子のような)、だらっと座るその姿勢の悪さ。

それがまた恐怖感をあおる、あおる。

3人目の看護師さんは優しかった。
背中をさすりながら、

「大丈夫よ、ここに横になってね。すぐ終わるからね。」
「先生、お願いします。」

のキリッとした声で、先生がようやくゲームを終了し、椅子から立ち上がりこちらへ近づいてきました。

そこからほとんど先生が何を言っていたのか覚えていませんが、唯一覚えているのは、

ここに唾液、垂れ流していいから。
これね、赤ちゃんのオムツと一緒でね、水分を良く吸うんですよ。○○という素材でね・・・

そんな説明はどうでもいいから!早くやっちゃって!!
と、怒りと共に覚悟ができました。
(まあ、この状態で逃げも隠れもできないのだけど)

顔をつけているのは赤ちゃんのオムツ。

という想像が膨らみ、気持ちが良いような悪いような変な気分へ突入したかと思うと、
先生が何やら早口でしゃべり続け、

こっちの鼻はダメだから、こっちから行こう、ここがのどで、ここがあなたの胃で・・・

吐き気と鼻の痛みとのどの圧迫感と、

息を吸ってくださーい、はい、止めて、はい、楽にしてくださーい
マリア様の声と

過呼吸になっちゃだめよ!怖いよ!
パーマ悪魔の声

そして先生のオムツの想像と


頭の中がぐちゃぐちゃになりながら、結局オムツは唾液ではなく、涙を受け止めて吸い取ってくれて、ようやく終わりました。

涙を流しっぱなしの赤い目をカッと見開いて、画面を凝視。口をあんぐり開けっぱなしで震えるおばさんの私。
先生は毎日こんな人間の姿を見て、きっと姿勢悪くなっちゃったんだろうな。

果たして、私の靴下の異常には気づいたのだろうか。


「胃カメラ体験記」として、きちんと状況を報告しないとね。

処置室でまずコップ一杯の液体を飲む(目的は聞いたけど忘れました)
その後に鼻に麻酔(液体を流し込む)
それが喉を通過して、だんだんと唾液を飲み込むのが辛い
ここで、息ができなくなるんじゃないか、という不安と戦うも、大丈夫。
看護師さんに練習で鼻に管が入るかどうか確認される
息はできる。

検査室に移動して、
台の上に登り、左を下にして横になり、吸水シート(オムツ)を顔の下に。
管を鼻から入れて喉に通し、胃のなかへ。
息はできる。

先生がズーーーと説明をしてくれるも、画面を見ながら泣き続ける。
画面を見るようにあごを上げたほうが管が入りやすいらしい。
先生はカメラを見ながら管を鼻に入れるので、看護師さんよりも上手でした。
お腹の中に空気が入り、圧迫感がある。
息はできる。

ニョロニョロニョロっと管を引き出し、おしまい。
この引き出す時に吐き気。
終わった後は鼻水が止まらない。頭痛、吐き気。
管を鼻に入れてから抜き出すまで、10分もかからなかったと思います。


しかし、これはあくまでも恐怖心の強い私の場合。
検査後に泣きながら廊下で鼻をかんでいたら、検査着のおじさまたちが

「胃カメラ終わったでー、次どこー」

と楽しそうに会話をしていたので、こんなに大変なのは私だけなんだ、と思います。

この体験記で恐怖心が増幅された方、申し訳ありません。
私は息ができなくなるのが一番の恐怖だったのですが、それは大丈夫!と分かりました。

もう二度とごめんだけど、中年の私には避けて通れない道なのだろうな。

良かったことは、検査の結果、特に大きな病気は見つからなかったこと。
そして保険で安く検査ができたこと!
(超音波、点滴、診察、胃カメラ全部含めても5000円前後でした)

しかし、血液検査で異常な貧血であることを発見。
週3日の鉄分点滴に通うことに。
まぁ、こういうことも分かったから良かったな。
たまには病院、行きなさい。ということだね。



そうだ。病院の不思議を書いておこう。

じゃ、20日に点滴で予約しておいたからね。予約は10時半。

と看護師さん。

鼻水が止まらず頭がぼーっとしている私は、多分その日は大丈夫と心で思いながら、はい、とうなずく。
すると看護師さんがもうひとこと。

予約が10時半ということだから、まあだいたい〜

この後に続くであろう「10分くらい前には」とか「少し早めに」という言葉を想像しながら、聞いた言葉は、

9時には来てね。

頭がぼーっとしていることは自分でも分かってる。
だけどさ、今10時半の予約っておっしゃいましたよね?

くひ?(9時?)

と私が聞き直すと、

うん、そのくらいには来といてね。
はい、お疲れ様ー

病院の七不思議なのかな。予約の1時間半前に来院必須って。
予約表にそんな記載はないけど・・・
病院には違う「時間」の概念が流れていました。

楽しいな、病院!




ああ、もう一つ病院ばなしがあった。
お薬っていつの時代からか、薬局でもらうようになりましたね。

その薬局でもらう、という行為にも知ってると知らないで情報格差があるのです。
万が一を思って、書いておきます。

我が家のすぐ近くにある薬局では、アプリを使って処方箋の画像を送っておけば、好きな時に取りに行くことができます。

お買い物ついでに行けるので本当に便利。

それはそうなのだけど、私にとって何が嬉しいかというと、その薬局、お薬をもらいに行くたびに小さな飲み物をプレゼントしてくれるのです!

オレンジジュースやカルピスなどの小さな紙パックですが、
私がいつも狙っているのが「甘酒」。

100円もかからず買えるのだけど・・・自分で買うのと、誰かからもらうのとでは、なぜこうも喜び度が違うのだろう。
ありがたい。

こうして薬局の戦略にまんまと引っかかる、かわいい消費者なのでした。

それにしても、(私にとっては)壮絶な胃カメラ体験でしたが、こうしてたくさんの人々に支えられて、楽しく暮らしていける毎日であることに感謝です。

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