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羽ばたく日

前日の夕刊をサラッと見ていた、爽やかな朝。映画の紹介をする紙面で、勝手に目に飛び込んできて、いきなり涙が込み上げてきた文章がある。

誰にも壊されず、羽ばたけ!(朝日新聞11月19日夕刊)

ここのところ、娘の壊れそうな心を必死で支える毎日。自分自身が苦しい時代とは全く異なる世界をさまよっている。

映画リトル・ガール

サシャは男性の肉体で生まれたが、2歳のときから性別違和を感じ、7歳となった今、学校や所属する社会から女性として認められたいと強く希望している。

まだ映画は見ていないけど、なんと、ドキュメンタリーとして作られたそうだ。演技ではない、実際にこの社会の中で、学校の中で苦しんでいる性別違和のお子さんがカメラに収まっている、とのこと。

不安定な子供時代の土台に、しっかりとした大人の基盤を作るのは容易くない。LGBTQのみならず、発達障害や目に見えない「困り感」への配慮を求めた際、冷たく拒絶され、親が子の将来の安全性を担保にしてまでも現状突破を試みることはあり、今作はその一例だと考える。

娘は重い障害を背負っているわけではない。LGBTQなどの悩みを抱えているわけでもない。物質的にも精神的にも恵まれた平穏な暮らしができている。比べて考えるには値しないのだけど、それでも小さな出来事に傷つき、涙が枯れるほど泣き、本人にとっては笑顔が難しい日常を一生懸命生きている。

思春期とはこういうものかもしれない。本人それぞれの特性もあるけれど、外に向かって反発したり、内に向かって抱え込んだり。大人になっても苦しいことはあるけれど、どうしようもなく起伏の激しい感情をどうやって扱ったらいいのか分からない、心の成長についていけない時期。

同じ夕刊には、「色も 人も いろいろ」というタイトルで、自閉スペクトラム症の特性がある小学5年生が絵画の個展をやるという記事があった。同じく絵の好きな娘も、キラキラした目で読んでいた。

いろいろな色があるように、世の中にはいろいろな人がいる。両親は、そんな思いを個展に込める。(朝日新聞11月19日夕刊)


私はなんとしても「見守る」体制でいようと決心している。学校に行きなさいとも言わない。勉強しなさいとも言わない。本人が心地よい環境にいられて、自分らしくいられる場所を一緒に作り出そうと応援している。娘の涙を見るのは辛いけれど、私自身がダメージを受けて弱っているわけではない。恵まれた環境で、大きな心で娘を包み込み励ましていこう、と常にポジティブな気持ちだった。

だけど、この映画ジャーナリストの方の言葉に、なぜか涙が出たのだ。ああ、私も娘と一緒に泣けばいいんだ。自分では気づかなかった。私も一緒に気持ちが張り詰めていたんだ。

誰にも壊されず、羽ばたけ!

映画に登場するサシャが愛する蝶々は、古代ギリシア語で心や魂を指すPsycheと同義語だそうだ。

羽ばたく日はいつか必ず来る。その日はもう決まっていると思う。でも、「こんな時は甘いものだね〜」と言い訳を作っておやつタイムを満喫する母娘。もう少し体重落としておかないと、空高く羽ばたくのは難しいかもしれない・・・。

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