DAY 153 子どもと一緒にNZ 2024
(2024年の一年間、高校生の娘と小学生の息子、そして母である私の3人で「ニュージーランド暮らし」を決行します。このチャレンジの準備から現地での暮らし、帰国までの事実、そして気持ちをココに記録しておこうと思います。)
GPという仕組み
息子は皮膚が弱く、傷ができたり蚊に刺されたりするとすぐに赤くなり広がってしまいます。
それが最近急に増えてきて、寝る前にしっかり薬を塗っても夜中に掻いてさらにひどくなる悪循環。
いよいよ日本から持ってきた薬も無くなるし、さぁ、行ってみよう!
と思った行先は、GP(General Practitioner 一般開業医:内科・外科・小児科・婦人科など全般にわたり診察してくれるお医者さん)です。
私たち家族は1年だけの滞在なので、GPに登録はできなかったのですが、「怪我や病気の時はいつでもおいで!」と言ってくれたのを覚えていたので、思い切って行ってみることにしました。
怖いのはお金がいくらかかるか、ということだけ。
ただ、今回本気でウェブサイトを確認したら、料金も全て載っていました。(最初から本気出せばよかったのだけど)
そして現在待っている患者数も表示されていました。
なーーーんだ。恐れることはなかった。
一般の治療目的でそのGPに登録している人が行くのはほとんどが GP Servicesというもので、月曜から金曜の8時から17時まで。
しかし、登録していない=割引を受けられない ということは、結局いつ行っても良いということです。
ほとんど怪我も病気もしない我が家にとっては、これで良かったのです(と言い聞かせる)。
今回行ったGPの場合:
Opening Hours:
GP Services: 8:00am to 5:00pm
Monday to Friday
Urgent Care Services: 7:00am to 10:00pm
Monday to Sunday
なるべく空いている時間といえば、夜。という私の勝手な判断で、土曜日の夜を選びました。
3時間待ちは普通だよ、と聞いていたので、この待機患者数の増減の具合を今日の午後からずっと観察していました。
緊急でもなんでもないのだけど、Urgent Careとして夜を狙ったというわけです。
ただ、緊急で駆け込む患者さんがいるということは、いつだって軽症の息子は後回しにされる可能性があるというわけで・・・・まぁ、とにかく今日は練習。いざというときのために「GPを経験」しておこう。
うちからほとんど同じ距離でAという病院とBという病院があったので、どちらも観察。
私一人なら何時間だって本を読んで待っているのだけど、最大の問題は息子。
ゲームを持たせても、その場にいることに一度飽きたら大変。
帰る、帰る!となってしまいます。
サッカーで肘も膝もどろんこのままだった息子にシャワーを浴びさせ、髪も乾かし、準備完了。
何度もスマホでチェックしていた私はシャワーを浴びるか、後にするか、様子を見ていた8時過ぎ。
A病院の待機患者数が2人まで減ったので、GO!
マシーンで手続き
うちから車で9分。
院内に入ると、患者さんはほんの数人のみ。(ネットの更新情報は正確だった)
無表情な受付の人。
・初めてきました
・このGPに登録していません
・Resident Visaは持っていません
・息子が・・・
と用意した言葉を並べていたら、
無表情でうんうん、と聞いてくれたあと、アゴで「あっちのマシーンで手続きして」と言われました。
それらしきマシーンの前に立って、画面をタッチしたりなんだりしてみたのだけど、それらしき画面が出てこない。
華やかな広告の画面が切り替わったり動いたりするのみ。
そのマシーンの下からは消毒液が出てくるようで、手の絵が書いてある。
そこに手を出すと、シュッと出てきた。
手指をスリスリしながら、受付の人に助けを求めようと顔を向けると、無表情のまま、決してこちらを見てやらないぞ、という雰囲気を醸し出している。
うーん、困った。
待合室内を振り向くと、長イスの上で寝転がってSwitchのゲームをしている息子の後ろでニコニコしているお姉さんが。
それじゃないよ、あっちあっち!と目と眉毛と手のジェスチャーで教えてくれました。
ほんの2mくらい横に違うマシーンがありました!自分の視野の狭さに愕然とする。
ああ、これですね!これこれ!と私も目と眉毛と手のジェスチャーで返しました。優しい人がいてくれて良かった。
間違えていたマシーンを指さして、肩をすくめて両手を広げるしぐさを向けると、私を指さして大笑いのしぐさ(声は出ていない)で返すお姉さん。
一瞬で心が通じ合った。ここNZにもこんなお友達ができたらなぁ。
どうやら最初のマシーンはただの消毒液のディスペンサーだったようです。
そりゃ、広告しかないわけだ。
変なおばさんがディスペンサーの広告に一生懸命タッチしている様子、お姉さんはいつから笑いをこらえていたのか。
無事に本物のマシーンで名前やら住所を入れて、完了。
受付に戻ると、最初にお支払い。
120ドル!
(GP登録なし、ワークビザもレジデンスビザも、コミュニティカードも持っていない、土曜日や夜ということも追加費用発生したと思う)
これでも子ども料金。
高いけど、やっぱり高いけど、・・・仕方ない。
症状によって料金が変わるということがない。
大人か子供か、登録しているかしていないか、時間内か時間外か、などですでにしっかり料金が決まっていて、これはこれで分かりやすいシステムだなと思いました。
気づいたのだけど、ここまで自分のIDを求められることはありませんでした。
せっかくこないだ手に入れたドライバーズライセンスを見せられると思ったのに、ただ、マシーンに住所や電話番号を入力しただけ。
割引を受けないということは、身分を証明する必要もないわけで。
お金さえ払ってくれればいいということですね。
そして息子の症状は、次に呼ばれた看護師さんに初めて話すことになります。
血圧と体温を測ってから、
どうしたの?
大丈夫?
いつから?
今何か薬使ってる?
など、日本での問診とほぼ同じでした。
それにしても、受付の人の無表情とは一転、優しい笑顔満点の看護師さん。
ホッとしたなぁ。
頭の上に「わたし、異国から来ました、ことば、あまり分かりません、優しくしてください」という看板を掲げておきたい。
まあ、そんな人ばかりだから、わざわざ相手にする時間はないのだろうな。
いよいよ診察室へ
そして長イスに戻り、息子はゲーム三昧。待合室ではさっきからずっとビリージョエルの曲が流れています。
後から入ってきた女の子がインフルエンザの検査をされるのを拒んで大泣き。ご両親が困り果てています。
Honestyが流れ始め、女の子の泣き声が妙にマッチするなあと思いながら、さぁ私は読書・・・と待ち時間を楽しむ準備万端のところへ
Kenny!!(息子)
ドクターからお呼びがかかりました。
早い!
「3時間待ち」はいったいどこへ・・・
覚悟してきたのに、呼ばれるまで数分でした。
年配男性のドクター、背が高すぎる!
私と息子はホビットかも、という感覚。
イスに座ってくれたおかげで、目線が同じ高さに。
さらに真っ白な歯とキラキラ笑顔を向けられ、ついに私は子ども時代に戻ったか。
と錯覚するような安心感。
一瞬で魅せられた息子も、あっという間に先生にナツキ、大きな椅子の肘掛けによじ登って一緒にコンピューターを覗き込んでいる。
興味津々で先生の机のものをいじっても、簡易ベッドの上に汚い(さっきシャワー浴びたばかりだけど、落ちきっていない)足(靴のまま)を投げ出しても、先生は何も言わない。逆にニコニコ。
症状を話して、日本の薬も見せて、じゃぁ、こういう薬を出すからと説明されて、それまでほんの3分くらい。
そのあとは
どこからきたの?
日本?!
大好きだなぁ。
日本のどこ?
どうしてきたの?
誰ときたの?
どうしてニュージーランドを選んだの?
(たくさんある理由の中から、息子の幼稚園の先生がNZ出身でと話したら)
なんていう名前の先生?
どんな先生だったの?
で、ご主人は日本で何してるの?
どんな仕事なの?
Kennyは楽しそうだな。学校好き?
あんたの英語もなかなかだよ。
NZを楽しんでね、がんばりなよ!
またいつでもおいでよ。
一生懸命話す私に、息子が文法や発音を指摘。
そんな親子を相手にニコニコしながら楽しそうに会話を楽しむドクター。
まるで街中の語学学校のようでした。
そんな世話話をしている間にも、廊下から覗いてきた(おそらく他の担当の)ドクターがベッドで遊んでいる息子を見ていきなり、
Are you Kenny?! Awesome!
ドクターは、「Yeah! これがKennyだよ。僕が今診ているKidだよ。日本から来たんだよ。面白いよこの子。」
(誰がどの患者さんを診ているのか確認したかったのかな。と思います)
待合室では、さっきから咳き込んで泣いている女の子とご両親が待っているのだけど・・・
十分に英会話レッスン(日常会話編)を楽しんだ後は、「処方箋は近くの薬局にメールしておくよ。どこがいい?」
とのこと。
うちからすぐの薬局の名前を言うと、そこにその場でメールをしてくれました。
それから、保険で返金されるか分からないけど、万が一と思ってドクターに言うと、
大きな手を私の肩に乗せたまま受付まで一緒に行って、
「このレイディーはレシートが欲しいから、印刷してやってね」
と受付の人に伝えてくれました。彼女はやっぱり無表情で「all right」の一言。
まるで語学学校の追加授業。
「病院へ行ってみようアトラクション」
かなり高額だったけど、楽しい体験でした。
これでもう流れがわかったから緊急事態のときは来られるぞ。
でもよく考えると、我が家の場合は全く深刻な病気でも怪我でもなかったからこうだったんだろうな。異国で頑張る親子の精神安定剤という時間を処方してくれたのかもしれない。
帰ってから息子とうがい、手洗い。
そして私は念の為、ワインでアルコール消毒。
ようやくホッと一息。土曜の夜はこうでなくっちゃね。
翌日朝、ドクターが処方箋をメールしてくれた薬局からスマホにテキストが届き、「準備しておくからいつ頃取りに来るか教えてね」とのこと。
ほんとにペーパーレスで時間的にも無駄のない仕組み。
日本から持ってきておくと、役立つもの
ところで今回、いつも使っていた薬の英語訳を持っていきました。
これは日本にいる間に薬局でもらうときに万が一と思って「英語版」をもらっておいたのでした。
この話をどこかで書いたかな。
NZ出発前のある日。
皮膚科の先生にお願いして少し多めに薬をもらった時のこと。
薬局で
「この薬の説明書、英語のものがもしあったらいただきたいのですけど」
と聞いてみました。するとお兄さん、
「えいごですかぁ・・・。ちょっとお待ちくださいね」
奥の部屋で何やら相談しています。
あるかないか、それだけでいいのですけど。なければないで、全然大丈夫なんですが・・・
すまなさそうな顔のお兄さんが戻ってきて、
「すみません、A5版の説明書はちょっと出せなくて。A4じゃぁまずいですか。」
ああ、楽しかったな。お兄さんと大笑いしたあの日が懐かしい。
A5じゃなくて、英語の説明書。ようやく役に立ちましたよ!
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