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インタビュー:神奈川県のレタス生産者「平凡野菜」前編

 新鮮・安心・おいしい。生活クラブでは持続可能な作物づくりを行っています。化学合成農薬や化学肥料はできるだけ使わず、産地見学など組合員との交流も行っています。
生活クラブの青果物の特長:https://seikatsuclub.coop/item/vege/

生活クラブと提携する神奈川県の野菜生産者「平凡野菜」さんを紹介します!

神奈川県横須賀市にて、平成25年に設立したレタス農場です。

「毎日たべる野菜をつくる」をコンセプトに、日本中のみんなが知っていて、みんなが毎日食べている野菜を目指したい。そんな平凡な日々の生活を支える野菜や農場を目指そうということでこの名前になりました。

HPより

「農業法人 株式会社平凡野菜」代表取締役 藤原信良さんにお話を伺いました。


藤原さん

 ――平凡野菜の特長を教えていただけますか?
 4種類のレタスを7、8月以外通年で栽培しています。化学肥料と農薬を、地域の慣行レベルに比べ、半分以下で作る「特別栽培」で育てています。
 労働安全や衛生管理、出荷の約束を守ることも誠実にしたい想いがあり、持続可能な農業に配慮した「J-GAP認証」を県内のレタス産地で初めて取得しました。
 農家さんが何軒か集まる生産組合ではなく、単独で量をここだけでやってるっていうのは、そこまでないんじゃないかなという話は聞きます。

――レタスのポイントを教えてください!
 鮮度と大きさです。葉物は鮮度が味に直結するので、1番の価値は産地の近くで食べてもらえることです。遠方の野菜を運ぶ場合、物流の2024年問題も影響を受けますよね。ドライバーさんが長時間働かなくなり、今まで直送だったのが、何か所か経由すると、遠方の野菜は手元に届くのにより時間がかかるようになります。

 大きさについても、お客さんがどういうものを求めるかとなると、やっぱりサラダってたくさん食べますよね。ちゃんと量が入ってくれているのが、やっぱりいいんじゃないかなと。
 バイヤーさんとしては、物流コストを考えると、大きさよりも「個数」が多く入っていた方がいいかなとは思います。一方、うちは輸送距離が短く、物流コストはそんなにかからないので、食べる人が欲しがる大きさのものを自分で再定義して、出荷できています。
 またレタスは果物やいちごなど甘みがでる他の青果物と比べると、鮮度以外で差別化ってなかなか難しいんです。なのでサイズを一回り大きくしてみたところ、評価をいただけているなと感じています。

――その場合コストはどうなるのでしょうか。
 ちょっとコストはかかるかもしれないですね。詰めて植えれば、たくさん採れるんですけど、贅沢に広げて植えているので数は少なくなります。リーフレタスも多少、生育期間も長く取ります。それでも、本来の姿を見せてあげられていると感じます。

――その他どのような点にご苦労を感じられますか?
 家もあるので、騒音や匂いの他、泥を家の前に落としたりしないようにするなど、配慮しなければいけないところはあります。 少量多品目の、スモール農業じゃない農業を、人が住んでる中でやっていくには、いろんな制約があります。平らで広大な畑が多い産地ではあまり配慮しなくていいようなことも、気を配りながらバランスを取りながらやらなければいけないです。

――生活クラブと提携していかがですか?
 実際に食べられている消費者の方や反応をいただいたことが、ほとんど今までなかったので、熱量を感じられる、量や頻度のフィードバックは初めて頂戴し、こういう世界があるんだと、新鮮ですごく嬉しかったです。
 レタスは生産力と安定供給力が勝負になってくる部分もあり、大産地との競合が顕在化してきて自分が勝負する販路をどうするべきかも含め色々悩んでいた中で、みなさんからお声をいただいて初心に帰れました。初めは、近隣のスーパーさんに持っていける量を作っていたんですけど、生活クラブ神奈川さんにも出し、評価をいただけて、地元で初めて出荷したときのような手ごたえを感じられています。
 
 たくさんの量を安定して供給していくのも大事で、顔の見えない大勢の方に食べていただけるのは、国民食を作ってるような気概もありますけど、 8万人の組合員のみなさんに、顔の見える関係で、 量と気持ちの距離と、どちらも両立できるのが素晴らしいなと思っています。

―― 2023年秋に行った神奈川の地場野菜をセットにして販売する取組みはいかがでしたか?
 単純に需要と供給だけじゃない、物流の過程もクリアしていかなきゃいけないので、今回はトライアルだったかもしれませんが、みなさんの手元に届いてくれたのはすごい良かったなと思っています。
 地産地症はどっちかというと直売のキーワードだったので、大きな流通の中でやるのは珍しく、運営能力がないとできないことだと思います。フェアトレードも、農家としては、原価がかかってるからある程度の価格で販売しないと食べていけない現状もあります。経営努力で効率を上げ、制度を使えばどうにかできる場合もありますが、一般的には難しいと思います。ただ、農家としても、甘んじて弱者なんだっていうだけじゃなく、生産の工夫は絶えずやっていった方がいいなという気持ちもあります。

*後編では、横須賀市・三浦で農業をする中で感じられていることをお聞きしました!▼