見出し画像

【小説】黒く塗れ(11/13)

 「ねえ、101862、これからどうするの?」

 彼女は毎日こう言った。僕はアミの話をした。

 「ねえ、101862、これからどうするの?」

 オレンジ色の話もした。

 「ねえ、101862、これからどうするの?」

 そして紫色の話も最後にした。彼女はそれを聞いてこう言った。

 「ねえ、101862、そんな事して何になるの?」

 僕はそれで、やっとその意味を理解した。僕が仕事を辞めてアミのところに通っていると、僕たちは生活ができなくなるのだった。でも、僕には答えが無かった。僕は今紫色を塗りたいと思っていて、以前のように白を塗る事を考えたくはないのだった。僕は何も答えられないまま紫色を塗り続けた。

 「ねえ、101862、そんな事して何になるの?」

 「ねえ、101862、そんな事して何になるの?」

 「ねえ、101862、そんな事して何になるの?」

 「ねえ、101862、そんな事して何になるの?」

 「ねえ、101862、そんな事して何になるの?」

 「ねえ、101862、そんな事して何になるの?」

 「ねえ、101862、そんな事して何になるの?」

 「ねえ、101862、そんな事して何になるの?」

 僕はアミに聞いてみた。僕がここで紫色を塗っていると生活ができないけれど、アミがオレンジ色を塗る事はアミにとって何になっているのかと。アミは目を大きく見開いて驚いたように言った。オレンジ色を塗っている事自体が生活でないとでも言うのかと。この意味は僕にはわからなかった。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?