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移行の時代に向き合う姿勢

 不健全化し複雑化した社会システム自体が分断を生み出す傾向にあり、何が真実かを見えにくくしている。その中で生きていて、単純な善悪の物語で世の中を捉え、悪と見なしたものを倒したり排除することで平和な世の中が訪れることはない。その悪を倒そうという考え自体が分断のシステムに取り込まれてしまっている、または分断のシステムをインストールしてしまっている証拠だ。平和な世の中を望むならば、それに向けての意識と手段自体がすでに平和的でなければならないのだろう。


 僕らにできることの一つは完璧を目指すことではなく、自分の中にも取り込んでしまっている分断のシステムを少しでも手放そうと意図し、自分の中の調和の割合を少しでも増やし、そこから行動しようと試みることなのだと思う。そして、同じように内と外で調和の割合を増やそうと活動しているように映る人たちを応援し、その人たちと手を繋ぎ、自分だけに備わっているユニークなギフトを掘り起こし、それを捧げようとすることでその輪をより大きく、より豊かにしようとすること。


 分断の意識から行動しているように映る人たちや組織、自分の中の一部と健全なバウンダリーを保ちながらも、その存在を否定したりはせずに、受容の思いが湧き上がったときにはそれらに歩み寄って出来るだけ理解しようとし、自分にとってのその時最大の全体性の中に柔らかく含めようと努める。もし攻撃を受けているのであれば、相手を非人間化して攻撃し返すのではなく、自分にとって攻撃されている対象に意識を向けてそれを守ることに注力して心を保ち、さらなる分断を生む非人間化の罠に陥らないように努めようとする。


 なかなか上手くはいかない。それは失敗と見直しを繰り返しながら、自分と他の全ての完璧な不完全さと全てのつながりを認めながらも、ただ自分に出来る範囲でベストを尽くそうとし、即興的に歩んでいくダイナミックな旅路なのだと思う。

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大野誠士
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