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心拍数と寿命の話

 以前、ネズミとゾウの心拍数と寿命の関係をテーマにした書籍が話題になり、以降まことしやかに「心拍数が多いと寿命は短い」という都市伝説が囁かれるようになりました。

 哺乳類が一生に打つ心拍の数は約15億回だ、とそういう主張です。たしかにネズミやゾウなどの動物には当てはまるようで、それが体感時間の速さに影響するとする考え方もあるようです。

 ヒトはどうでしょうか。

 成人の1分間の心拍数の「基準値」は60〜100回と定義され、平均値は60〜70回の範囲にあります。ある人の平均的な心拍数を70回/分としたとき、1日あたり心臓は約10万回打つことになります。すると41年間で15億回の心拍が終わってしまいます。ヒトの寿命、41歳だった説。

 心拍数と寿命の関係は、ヒトには当てはまりません。

 平均寿命を考えても約80年。環境や栄養や医学薬学の進歩によってヒトの寿命は伸び続けているのかもしれません。慢性心不全の場合に限っては、脈を遅くする作用のあるβブロッカーを用いることが生命予後の改善になるという側面はありますが、なんでもかんでも遅くするのが良いとは限りません。

 東洋医学の話をしましょう。

 脈診をするときに、「はやいか、おそいか」も診ます。これは純粋な1分間あたりの脈拍数ではなくて、その人の呼吸と比較して「はやいか、おそいか」というところがポイントです。はやい場合の多くは熱性疾患で、身体のどこかに熱がこもっている病態を考えます。おそい場合の多くは寒性疾患で、冷えがあると考えて診療します。適切な治療をするとその人にとって丁度良い脈拍数に落ち着いていくのが興味深いことです。五臓六腑は互いに密接に関係し合いますから、心臓の症状が心臓の問題とは限らないのです。


 
 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の心拍数がちょうどいいところに落ち着きますように。



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#その本を読んだのは小学生の頃でした #生命線の短さとあわせて自分は寿命が短いのかと怖がった渡邊少年に大丈夫だよと伝えてあげたい
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#でも鼓動は速過ぎるよりゆっくりな方が長生きな傾向はあるようです #頻脈は交感神経やらなんやら #リラックスする時間は必要ですね #あわてないあわてない #ひとやすみひとやすみ
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