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健康診断で要精査判定を貰った話

 健康診断、受けてますか。

 検診や人間ドックの胸部画像を読影する人、渡邊です。
 肺がん検診の画像読影は医師免許だけでは認められておらず、呼吸器科か放射線診断科の専門医資格が必要ですから、どこの病院に勤務しても「コレお願いしてもいいですか?」みたいなノリで読影を依頼されます。画像を読むのは苦ではありませんが、枚数が多い日はちょっと肩が凝ります。

 検診レントゲンでは、ほとんどの人に異常はありません。わずかな異常があっても病的意義の乏しい場合には、精査不要や経過観察を指示するコメントを残します。まったく異常のないA判定、精査不要のB判定、時間を空けて再検査することをお勧めするC判定がこれに相当します。

 問題はDやG判定です。
 明らかな疾患があり治療を要する場合には要治療のD判定、確定診断はできないけれど明らかな検査異常で精密検査を勧めるのがG判定です。検診では見逃しを回避するため、悩ましい場合にはG判定にして医療機関の受診を推奨します。


 判定する側の私も、ついにG判定を受けました。

 要精密検査。肺に腫瘤あり。

 …肺に腫瘤???


 レントゲン読影の定義上、異常な塊が写ったとき、3cm以下を結節、3cmを超える場合に腫瘤といいます。肺の中の3cmは結構デカいものです。

 画像は添付されておらず言葉だけでしたが、仮に肺腫瘤が事実とすると、これは由々しき事態です。半年前のレントゲンで異常はありませんでしたから、半年以内の経過です。この短い期間に出現して3cmを超えても無症状であること、結核に対する免疫反応(IGRA)が陰性であることを踏まえると、進行の早いタイプの肺癌か、肺原発の悪性リンパ腫の可能性が非常に高いでしょう。肺炎なら症状がでますし、器質化肺炎などの間質性肺疾患の一部では腫瘤よりも浸潤影を呈するのが通常です。IgG4関連疾患やキャッスルマン病などのリンパ増殖性疾患は鑑別に挙がりますが、いずれも稀な疾患ですから、疾患頻度や好発年齢を考えると、やはり鑑別上位は悪性リンパ腫や肺癌です。

 脳内をぐるぐるさせながら、専門科を受診して精密検査を受ける手続きを進めます。いや肺なら自分が専門なんですが、こわいこわい。

 「医者は自分の専門領域の病気になる」というジンクスを脳内のゴミ箱にポイします。


 精密検査の結果。

 悪性所見はありませんでした。

 なんなら怪しい影ひとつありませんでした。

 得たものは、異常を告げられ精密検査を受ける人の心理です。ドキドキしたわ…。これを経験したことは今後の診療に役立つことでしょう。

 でも…でも…悪玉コレステロールが高い…

 ラーメンか、ラーメンなのか。

 医者の無養生という言葉が浮かびます。
 ここ数年の生活習慣に想いを馳せて、さもありなんと深呼吸をひとつ。
 好機。意を決した私は、食事・生活・漢方薬・鍼灸による自分の体質改造を始めました。我が家の炊事担当は私ですし、漢方薬と鍼灸も自分に施しましょう。生活は急に変えると反動が来ますから、少しずつ改変を試みます。


 拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、貴方の健康を。



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