温故知新と漢方医学/コロナ後遺症の話
COVID-19罹患後症状(いわゆる後遺症)の診療経験が蓄積されてきましたので、一度まとめておこうと思います。
この感染症が普通の「カゼ」と決定的に違うのは、奇妙な重症化と後遺症の存在でしょう。パンデミック当初に比べると随分と「カゼ」に近づいているように感じますが、まだまだ異質な感染症であることを忘れてはいけません。
mRNAワクチンについては色々と議論もあることでしょうから、この記事では以降触れないものとして、SARS-CoV2による感染症、特に罹患後症状に焦点を当てることにいたします。
ダイヤモンドプリンセス号の受け入れ当時から現在に至るまでCOVID-19の診療に関わり続ける一人の呼吸器内科医・漢方内科医の立場から執筆して参りますので、ご興味のある方は是非お付き合いくださいませ。
本邦では厚生労働省が医療者向けに「新型コロナウイルス診療の手引き」を作成しており、今日まで更新され続けています。COVID-19の診療に関わる全ての医師は通読しているはずですが、これには別冊があります。
罹患後症状(後遺症)診療の手引きです。
参考に現時点での最新版のpdfリンクを添付いたしますが、90ページほどありますので興味のある方以外はスルー推奨です。
COVID-19診療の手引き(別冊)罹患後症状のマネジメント第3.0版
色々書いてありますが、まとめると原因不明だし治療法もわからん、ということです。拍子抜けです。罹患後症状の存在や社会的支援の必要性に着目している点では意味のある手引きだと思いますが、こと罹患後症状を診断し治療するという観点では、まったくもって無力です。
代表的な罹患後症状の頻度を引用いたします。
私の知る限り、明らかな検査異常の見つからないCOVID-19罹患後症状を治療できる西洋医は存在しません。西洋病名のつく病態があれば治療を考えうるものの、罹患後症状の多くは検査異常を伴わない症状ですから、気休めの対症療法が精一杯です。
東洋医学に精通する方は、その異常性に気づくでしょう。
何故ならばCOVID-19罹患後症状に苦しむ人を診察すると必ず東洋医学的異常があって、これを治療すると症状が改善するからです。
私の診療した範囲では、全ての罹患後症状を改善または治癒せしめることが出来ています。
私が実践しているのは基本的な漢方医学であって、魔術の類ではありません。今が江戸時代ならば、少なくとも罹患後症状の治療については普通に施されていただろうと想像します。
我が国は西洋医学たる新技術を崇拝するあまり、大陸から伝来し独自の発展を遂げた伝統医学を軽視し、漢方医学は今や失われた技術になりつつあります。
新しいものを追い求めるのは結構なことです。一方、古典を軽んじてはならないと数々の偉人が警鐘を鳴らしてきました。歴史に学ばない人間に未来はありません。有名な孔子の言葉を思い出します。
超訳:古典を現代に応用するのが師なんだよなぁ。
論語における「師」の解釈にも諸説ありますが、ここでは純粋に「その道の熟練者」と捉えます。
そして医師ならば、古典に学んで然るべきでしょう。
「コロナ罹ってからずっと具合悪くてさー、寒いしだるいんだよねー…」
なんて会話する医師を遠くに見守りながら、私は声をかけようかと立ち上がり、あんまり得意じゃない人だったので座り直しました。人間だもの。
COVID-19罹患後症状にお悩みの方がいらっしゃいましたら、漢方医学の扉を叩いてみるのも一興です。
拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の健康が護られる社会でありますように。
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