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小さな約束 《詩》

「小さな約束」

蝶の鱗粉が舞う 

時折吹く海からの風が
丘の斜面を駆け上がり
小さな花を揺らした


沢山の香り 

沢山の哀しみと夢 

沢山の微笑みと涙 

沢山の温もり

沢山の約束が消えて行った


振り返ると大きな木が
あの日と同じ様に立っている


地面に根を下ろして 

時の流れなど無い様に


僕はまた 何処までも歩き続けた

消えた約束を独り抱きしめて


あの時の想いも
運を運ぶ言葉も持たないまま


残ったのは 
小さな約束だけだった

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