意識の隙間 《詩》
「意識の隙間」
何処にも行き場所の無い
気持ちの羅列を眺めていた
それは心の中を
いつまでも彷徨い続けた
人間万事塞翁が馬と
書かれた旗を持って歩く老人
すれ違い様に目が合った
僕は煙草が燃え尽きるまでの時間
君に恋をしていた
もうその娘の名前すら思い出せない
意識の隙間ひとつひとつに
開きっぱなしの本の同じページを
何度も何度も
独りで読み返していた僕が居る
僕は何処で間違えたのだろう
僕等は同じホームから
逆向きの電車に乗って別れた
途切れ始めた斜陽が雲の色を変え
その照り返しが
ずれ落ちながら電車の中を
同じ色に染めていった
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