水晶の夜 《詩》
「水晶の夜」
水晶の夜 飛び散った硝子の破片
忘却の沼に深く沈みゆく二本の足
其処には賞賛も無く批判も無い
屈曲した光があるだけだった
若き暗殺者と思考の殺人者
俺は彼に
呼び掛ける手段を持ってはいない
霧の中で遊ぶ小人の群れが
青い太陽を指差す
裸体を捨て去り
幻想の肩書きに嘔吐する
千里の荒野にはためく白旗
変換不能な替え玉の命
悪いが俺は
お前を許したつもりは無い
抑圧された都の民
やがて堰は破られる
乱脈が白く淡く消えゆく時
水晶の夜が再び蘇る
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