anarchism -星形のピアス- 《小説》
「anarchism」 -星形のピアス-
誠君でしょう
直ぐ傍で声が聞こえた
City rockerレーベルの
レコードを見ていた僕に
そう話しかけて来た
彼女の少し茶色い
瞳の奥の黒い部分が
僕の瞳の奥底まで探る様に
深く入り込んで来るのを感じていた
どうして名前を知ってるの?
そう訊いた僕に
誠君の事なら何でも知ってるわよ
そう彼女は答えた
学校も生年月日も星座も
彼女は軽くウェイブした髪を
左側から書き上げた
耳元にシルバーの
星形のピアスが輝いていた
Punk好きなんだよね誠君
よく来るよねこの店
私 週に3回
此処でバイトしてるんだよ
気がつかなかた
君の会員証見たんだ
だから何でも知ってるの
そう微笑みながら
僕に話しかけて来る
僕は嫌な気持ちにはならなかった
それは誰かが
僕の存在を認めてくれている
そして
それが年上の綺麗な女だったからだ
僕は微笑み返すだけで精一杯だった
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