昭和二十三年と言えばだいぶ昔の話で、敗戦復興の最中であった。僕の住んでいた町、足利は機織(はたおり)の町で、朝から一斉に町中で、はたおり機械が動き出しその喧騒…
髪の長い女 腰まで届く髪が 小さなボクの手に触れる 風に揺れてくすぐったい 二人は歩いてる 夕日の中 日が翳げりかけようとする まどろみの時 夕日に背を向けての帰…
もう夜空の上まで来たぞ。ここからはあんなに小さく豆こい家なんだ。オイラの家は、主人Seiichiと二人で暮らしてたのさ。 だってオイラは軽トラなんだ、でもう走れな…
僕はおじいちゃんと寝るのが好きだ。だっていつもお話が聞けるしさ。「ねえ、今日はどんな話なのかなー」なんて甘えてしまう。 「う〜ん、今日は寝ようか」なんて意地悪…
Seiichiの宴
2022年12月4日 16:54
昭和二十三年と言えばだいぶ昔の話で、敗戦復興の最中であった。僕の住んでいた町、足利は機織(はたおり)の町で、朝から一斉に町中で、はたおり機械が動き出しその喧騒の渦の中に飲み込まれたようだ。足利銘仙といえば大変人気のある反物で。関西方面からの取引が多く、活況を呈していた。一言でいえば、町中が織物産業で沸騰していた。 町の中心にある鑁阿寺(ばんなじ)の夏の夜祭が、ここの人たちの待ち遠しい毎年の楽
2022年12月4日 15:51
髪の長い女 腰まで届く髪が 小さなボクの手に触れる風に揺れてくすぐったい二人は歩いてる 夕日の中日が翳げりかけようとする まどろみの時夕日に背を向けての帰り道細長い畑のあぜみちが うねうねと曲がる二人の影が 道路に 映り 面白い思いっきり飛び跳ねる ボクの小さな影女の影が風に吹かれてる スカートのかたちがふわふわと浮いて軽い 飛んでいきそう二つの影が絡み合あって 心がウキウ
2022年11月21日 09:47
もう夜空の上まで来たぞ。ここからはあんなに小さく豆こい家なんだ。オイラの家は、主人Seiichiと二人で暮らしてたのさ。 だってオイラは軽トラなんだ、でもう走れないのさ、廃車になって、そう死んでしまったのだ、だから別れる前にご主人様に挨拶してるんだ、振りかえってバックランプを力一杯踏み赤いランプの点滅を送っているのだ。見えるかい?「見えるよ、よく見えるさKei!」 僕は君をKeiと名
2022年11月7日 13:12
僕はおじいちゃんと寝るのが好きだ。だっていつもお話が聞けるしさ。「ねえ、今日はどんな話なのかなー」なんて甘えてしまう。 「う〜ん、今日は寝ようか」なんて意地悪は「やだよやだよ」泣いちゃうよー。「そうだな、それじゃーこの家に棲みついていたフクロウの話にしよう」僕もそのフクロウは知ってるんだ。少しの沈黙が流れる。すると突然おじいちゃんの声「ホー、ホー、ホロホロ、ホー」とフクロウの鳴き声、しかも低