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風待ち日記

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水無月のほとりで風を待つ、いつかその日が来るまで
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2022年2月の記事一覧

砂糖ひとつまみぶんの切なさ

砂糖ひとつまみぶんの切なさ

恋人と、前に好きだったひとの話をした。夜中にお酒を飲みながら、今まで電話で話していたことを、ひとつひとつ確かめるように目の前で話した。

彼と話すのは本当に楽しく、ほろ酔いながらふたりで話している私たちはまるで大人みたいで、なんだかおかしな気分だった。

話していると、彼はときどき言わなくてもよいことを私に言ったりする。しかも、それは私を傷つけようとしているわけではなくて、本当に純粋な目でこちらを

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夢見がちなあなたへ

夢見がちなあなたへ

うっかり記録し忘れていたので今から書こうと思う。この前、10年前の自分から手紙が届いた。

正確に言えば、10年前に自分宛てに書いた手紙を、当時私たちの担任だった先生がずっと預かってくれていて、封筒に切手を貼って投函してくれ、それが私の手元に届いた、というかんじ。

私はそのときのことをよく覚えている。小学校4年生のとき、担任の先生が、「みんなは今年10歳で、それは20歳の半分だから、2分の1成人

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ひかりのような日々

ひかりのような日々

新しく日記を書き始めることにした。去年の末、小さな文房具屋さんで買ったぴかぴかの新しいノートに、日々を書きとめてみようと思う。

日記用にはいつも分厚い方眼ノートを買ってしまう。私の日記帳はかわいいシールやイラストではなく、文字がつらつらと並ぶタイプなので、分厚い方が使うときわくわくするし、使い終えた後に読み返すときも、文字がたくさんの方が私には面白い。

けれど方眼ノートなら、気分でちょこっと絵

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