多賀盛剛

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しかた9

谷地 みぞれにぬれてちょうど棒のような帰路に本日の才能ある雀蜂やみなさん こわいということもないな白身が一瞬の地層に身代わりも立てられるし なんとも鱏のあくびのような広い夜だ胡桃をよく茹でたお湯が残る 外套に覆われた遠くのふたりぐみは落ち着いた犬どうしに見える 堰を強く流れ落ちる川の水を見下ろすと職員も見ている めひかりの胃の中の星座はてらてらとし ここの酸素の具合も見事だ 裏杉の間伐材が横たわりこのようですらあり得るのか景色め 食通がパラシュー

    • a この物語は、犬は不在のままで、街は気温の意地。それでも鉄は、旅の支度だ。 錆は判断に等しくて、片方は昼、片方は右手。でも花が足りない。足りるのは道。 音は骨髄からやって来た。だから看板を外せば支店で、この街の意地。 太陽は骨で、それは備え付けてあって、かたちを整えると、金属バットになる。 月は古く、満月はもっとも虹で、もっとも古い虹は犬。もちろん最初の日から水。 安心すると、やっぱりビルは音だった。音は手すりで、濡れてて、つやつやしてる。 タワーは肉だったこ

      • 野良犬

        野良犬がいた、ていう、ちいさいころ、野良犬が家のまわりにいた、ていう、その、経験の記録のようなもの、記録としてあたまに刻字されてるようなもの、はあるんやけど、その、実際の見た目が、おもいうかばへんくて、野良犬はおおきいていうんが、それこそ記憶にあって、あんなおおきいもんが、こどものころ、めのまえにいたんか、小学生のころ、人面犬ていうんがはやった、ごみおきばをあさってる野良犬がふりむいたら、顔がにんげんやった、にんげんの顔がつくくらい、からだはおおきいし、そのはなしが、コロコロ

        • grid

          シャワーからはお湯がでてたとき、シャワーからお湯をだすための、ひねるとシャワーがでるところがみえて、それをみてても、それをなんていうかわからへんくて、いつからかも、でも前は知ってたておもた、いちどは知ってたておもたそれにさわるまでシャワーがでつづけた、お湯がからだにあたってて、からだにお湯があたってた、その、名前がわからへんそれに、たしかに名前があるておもうときに、その名前を知ってる、どっかにいるたくさんのだれかがいた、そのひとたちは、その名前がわからへんもんをちゃんと名前で

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        記事

          しかた その4

          アリウム・ギガンテウム/志賀野左右介 それと同時にカブトガニの忘れっぽさが色相を埋めて揖保乃糸 内臓がうまく破れる蹴り方をなんとなく知っていることが武士 アリゲーターガーの介護を熱心に この歯並び、忘れない!私 Empty glass投げて寄越す図/伊藤若冲(寛政二年) ぐずぐずするな 元日本代表の子ども 日本代表 鰐の絵に目薬をさす 甘えの中で傘は刀に あおさぎは風神を断ったことがある 舌のしめりけが一致してたらいかがでしょう 独文学専攻後教職に就き本日の腕時

          しかた その4

          川柳2022年2月1日から2022年6月29日

          ジャッカル 背骨から鶴を取り出す祖父と祖母 折り鶴を重ねた骨を移植する 夜道にも背骨を撒いて鶴を呼ぶ 透明な背骨を抱いて鶴になる 背骨から鶴が産まれるVtuber 抜きたての背骨で鶴を餌付けする 折り鶴の途中でいつも血の匂い 鶴になる夢で背骨が欠けてゆく ヘカトンケイル 国道で扁桃腺を踏むアダム 百万のアダムが鹿の上に乗る マカロンで鼻血を拭いたアリアドネ カエサルがアヒルを浴びた屋根の上 バチカンで骨から出来た針を踏む 百万の骨に紛れて口を縫う 百万の花を刺したら消える足

          川柳2022年2月1日から2022年6月29日

          詩2022年6月26日から2022年7月3日

          エンジェルダスト 今日の夜も、 新聞紙を書いた、 やっぱり時間がかかって、 昨日よりはじょうずにできたけど、 どちらかと言えば 反省点もおおかったので、 今日も お願いします お願いします、と 僕はチェリオです、 自動販売機を僕で 満たしてください、と だからこそ 地下室があればよかった、 映画でしかみたことない、 ひんやりしてて、 音のない、 そこに 連れてこられてから 笑顔 世界はあなたを中心に反転して、 空もぐちゃぐちゃだ! でもだれだって地べたに座って だれだって い

          詩2022年6月26日から2022年7月3日

          しかた その3

          筆談 コンスタントに叱られて業務スーパーは立派な地下茎を手に入れる シャンデリアに豆腐が引っかかっているのを気にしなかった人の集まり わかりますわかります ライターが電車の風で点かない場面ですよね。 え? 粗挽きの良い肉の良い部位のトンネルを猫の歩度であたかも 駅のベンチで人の顔が潰れている ひとりだけなら別にいいのか 蚤くらいのファミリーレストランを性的に噛み切るための休暇 損得 それくらいの興味だったらむしろ観ない方がいいまでありますね 舌って実際要

          しかた その3

          tower 2022/03/24 3:04

          tower I たちあがったからだを、からだがのぼって、あたまのうえでとほうにくれた、 こどもはなんねんものびて、そのほうこうに、なんねんもたわあがのびた、 かんでんちがころがって、はれつしたころには、だれのへやでもなくなってた、 かいだんがたくさんあるから、にんげんのからだは、まがったりするてかんがえられた、 あんごうかしたことばを、そのままおとにするひとのしぐさが、あたらしいいみになった、 さがしつづけたけど、にんげんは、そこでうまれてしんだから、いりぐちは

          tower 2022/03/24 3:04

          sewers 2022/03/24 2:59

          sewers I これからてばなしたら、なんねんたっても、そのあいだのからだがあった、 からだがずっとあるへやの、きこえたおとのほうに、あたまがあった、 きこえたおとの、どっからがからだなんか、ようわからへんくて、めえつむった、 まっくらなとき、しんねんみたいにからだがあって、あえてしんじることもなくなった、 こえがはじまってから、にんげんを、にんげんのきょうかいせんみたいにかんじた、 へんかはなくて、それにもきいつかへんくらい、きおくはきおくにすなおやった、

          sewers 2022/03/24 2:59

          bad vibes forever 2022/03/20 10:19

          bad vibes forever I めのまえもそのうしろも、どこまでもぽかんてしてて、ほしがみえてた、 よるにみたほしは、よるみたことと、ほしみたことがわかちがたくて、からだがあった、 うちゅうとか、あすふぁるとにねころぶからだが、ひんやりしてて、がらんてしてた、 ひだりめは、ふだんからみぎめのちかくにあって、みてるもんもよくにてた、 ちきゅうから、どっちみてもうちゅうがみえて、それがまちがってたらさみしいきいした、 なんまんねんもまえもあとも、にんげんはひ

          bad vibes forever 2022/03/20 10:19

          sewers III

          きのうのごみで、きょうおもいだしたかぎりのきのうを、おもいだした、 ほっといたてえもあしも、やっぱりからだについてきて、なまぬるかった、 ちいをろかして、なみだにしてた、そのあいだも、あたまにからだがついてきた、 いつのまにか、はしろうとせんくなった、そのさいしょのひとが、よこになった、 ぬいだら、うらがえって、そのまま、きてたひとのかたちで、よこにあった、 めえつむってることを、めえつむってるひとに、こえでつたえることができた、 あれは、いろんないろの、ぷらすち

          秋馬さんの写真とぼくの短歌4

          めのまえも、めえのうしろも、どこまでもぽかんてしてて、ほしがみえてた、 よるにみたほしの、よるみたこととほしみたことが、わかちがたくて、からだがあった、 うちゅうとか、あすふぁるとにねころぶからだが、ひんやりしてて、がらんてしてた、 ひだりめは、ふだんから、みぎめのちかくにあって、みてるもんも、よくにてた、 ちきゅうにいて、うちゅうぜんぶのほうこうがみえてて、それがまちがってたらさみしい、 なんまんねんもまえもあとも、にんげんは、ひとりになりたくなるまで、だれかとい

          秋馬さんの写真とぼくの短歌4

          しかた その2

          名付ければ名付けるほどに身悶えるブルドーザーを置き去る夕べ お別れの曲がり角から加速する肉蝿 いきなり肥満する僕 先輩が登る真っ青な金網。さいころとさいころが復縁する 重火器の名前にくわしい友達が格好悪い時計をなくす 井戸からの距離で何でも表そう!気が滅入るほど甘いビル風 日差しから突き放されてBE KOBE BE KOBE? 馬鹿にしているのですか まんまとウニに突き刺さった藁人形の新品のスカートの配色 あれは夜の小石に首が(着信音)(着信音)フランスの盛り土

          しかた その2

          秋馬さんの写真とぼくの短歌 3

          てんじょうにぶらさがった、そのぜんぶ、とはべつの、いすがおかれて、ひとがすわった、 ぴいたいるのゆかと、そのゆかににてた、そのまわりのゆかの、そのまわりのゆかににてた、 いすとからだが、これからは、いすにもたれたからだにみえて、からだはいすにもたれた、 ゆかとかべの、そのちがいの、そのりゆうはほとんど、そのひとのかたちと、よくにてた、 たちあがった、からだと、いすと、べつべつになったからだが、いすからたちあがった、 いすからたった、そのせなかに、ぶらさがったからだが

          秋馬さんの写真とぼくの短歌 3

          秋馬さんの写真とぼくの短歌 2

          ふねからは、ふねがみえて、みてるだけで、ひみつがばれたみたいにかんじた、 みみからおちた、こおどれすのいやほんの、こつんておとが、さいしょにきこえた、 すまあとふぉんのらいとで、てらしたたいようが、かけわすれてた、めがねにみえた、 とおりすぎたなみを、あした、おもいだしたら、そうやって、おもいださへんようにすごした、 もう、もどれへんくなったありが、からだをはって、ひふのかたちが、ちょっとわかった、 とまりそうな、なみにさわったら、しかいがひらけて、いえがたつまで、

          秋馬さんの写真とぼくの短歌 2