.
これは.という、30個の短歌です。
i
あめは、いつもやんだから、あめにぬれてへんからだを、ほんまのほうやておもった、
みえたものを、ぜんぶさわってみたかったから、てえのつかいかたがよくりかいできた、
ゆめていうことばがあったから、きょうみたことはげんじつやないてことやった、
ひとかはなか、よくわからへんとおさにあって、なんにもこわいかんじがなかった、
めえつむったら、なんもみえへんくなったから、このなかにいるんかもしれへんかった、
であわへんかったひとは、ねむれへんかったよるにみわすれたゆめと、くべつがつかへんかった、
かみさまは、いろんなことばをつくりわすれて、かみさまていうことばをつくりわすれへんかった、
しんでたから、ずっといっしょにそばにいて、いきてたから、どっかにいってしまった、
いきものは、ことばのかずよりたくさんいて、ひとにはあんまりいみがわからへんかった、
なんかべつに、しんじられへんとかやなくて、たくさんのはなはうそみたいやった、
ii
ひとは、ひとのことがあんまりわからへんくて、もっとおおきいもののことはもっとわからへんかった、
ひとは、おおきいこえがこわかったから、とおくできこえたこえがぜんぶこわかった、
ひとのかたちにへこんだあながあって、ひとをつかってちょうどうめられた、
ひとはひとを、みてるだけでわかりはじめたきもちになったから、べつにわからへんくてもよかった、
いきてるひとは、いきてるかぎりびょうどうに、うみをみおろすことができてた、
てえは、みずのかたちがあんまりわからへんかったから、あきるまでみずをさわった、
ひとがちかづいたときに、にげていかへんかったひとがいて、ふたりをいいあらわすことばができた、
いつか、もののなまえをぜんぶわすれてしまっても、うみのはなしはできるきいした、
せかいは、それでもべつにかまわへんかったから、ひとはひとのはなしがあんまりわからへんかった、
うみは、ひとよりもずっとおおきかったから、なんまんねんもみあきひんかった、
iii
ほしはずっと、おおきいおとでまわってたから、もうだれもそのおとにきいつかへんかった、
のぞきこんだら、おちるほうがあって、おちるほうにむかってあしをのばして、ひとがたってた、
わすれてしまったことを、もうきおくてよべへんくて、なんてよんだらいいんかわからへんかった、
とおくに、ぜんぜんうごかへんかったひとがいて、うごきだすまでじかんがたった、
なんまんねんもたったあと、そのひのよるにみたゆめは、むかしだれかがみたゆめやった、
かえりかたがわからへんくなるまでにげたひとだけ、あたらしいいえがみつかった、
そんなかたちになってしぬなんてしらへんかったから、しんでるなんておもわへんかった、
このせかいは、じぶんよりおおきいものがいつもあって、みんなはそれにもたれられた、
ぜんぶのことが、いっかいはおこるじかんのなかで、おもいつくことはぜんぶほんまのことやった、
さわろうとした、なんまんねんもまえにはもう、そこにはなくて、なにかわからへんかった、
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?