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晴牧アヤ
2024年8月29日 17:11
同居人の月が死んだ。 キッチンで倒れてるのを見て、最初は嘘だと信じたかった。けれど、生きてるとは思えないほどの体温を感じて、脈も鼓動もない体を見て、虚ろな目をした同居人の死を認めざるを得なかった。通報することも忘れて、亡骸を抱いて気付けば涙が流れていた。 だから、いつの間にか家に入り込んでいた猫に気付きすらしなかった。≪≫ 又木月は、私こと菊花七恵と共に、大学を卒業してからシェアハウ
2024年4月30日 17:25
「ねぇ、君、そこ危ないですよ!!」 その声で、目が覚めた。 私は何故か踏切の真ん中に立っていた。辺りは真っ暗。周りにはその声をかけてくれた人と、あと猫ぐらいしかおらず、しんと静まり返っている。幸い電車はまだ来てないようだけど、私はどうやらそんなところで呆けていたらしい。 とりあえずここにいるのも危ないので、声が聞こえた方に向かう。声をかけてくれたのは小柄な女の子で、少々幼い雰囲気があった
2024年4月29日 13:06
「お花見をしよう!」 私の隣を歩く友人、梅朱ルアが唐突に叫ぶ。相変わらず突拍子もない提案をする彼女だが、一応続きを聞いてみる。「で、なんで急に?」「だって、桜が満開なの見ちゃったから!」「ああ、まあ確かに咲いてるな……」 3月の終わり。一年を締め括って、また新たな一年が始まろうという頃。それを出迎えるように、桜も咲く頃だ。 しかし私、桜葉マキは花見をする気にはなっていなかった。そ