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Jリーガー・町田也真人がついに口を開いた! 「サッカーをする場を失った子供たちに対して、いまできること」

猛威を振るう新型コロナウィルス。4月7日に発表された緊急事態宣言を受け、地域の子供たちがスポーツをする場を失ってから、はや1ヶ月が経過しようとしている。そのような現状を危惧して、筆者のnoteでは、これまで地域スポーツクラブが今後どのように変わっていくべきかを執筆してきたわけだが、そんな筆者の前に、地域スポーツへの思いを語ってくれるJリーガーが現れた。

J1・大分トリニータ所属のMF・町田也真人選手(以下、町田)である。

Jリーガー・町田也真人の魅力

町田の魅力は、屈強なディフェンダーたちを翻弄し、チームを活性化させるその攻撃力にある。ジェフ千葉では10番を背負ってチームの顔として活躍。その後に移籍した松本山雅FCでは、当時の指揮官・反町康治監督(現日本サッカー協会技術委員長)をして「ペナルティーエリア内に入って、色々なことが出来る」「よくサッカーを知っている」と言わしめた。そして今季から移籍した大分トリニータでも開幕戦をスタメンを飾り、前線で躍動。その姿に、心を躍らせたサポーターも多かったはずだ。もしもまだ彼のプレーを見たことがないという方は、以下の動画を見ていただきたい。

プレーの大半がワンタッチ・ツータッチであることから、彼の高い技術と戦術眼がみてとれるだろう。そして、体の小さな選手が国内最高峰の舞台・Jリーグで戦い続けるための生存戦略を教えてくれるはずだ。

2019年に開校したサッカースクール

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あまり知られていないが、実は町田は「地元に恩返しを」と、2019年4月からさいたま市で、自分の名前を冠したサッカースクール「YAMATO SOCCER SCHOOL」を開校している。

ピンときた読者の方もいるかもしれないが、2019年といえば、彼がずっと夢みてきたJ1に挑戦するために、松本山雅FCへ移籍した年だ。そのため、彼が公の場でサッカースクールの話をすることはこれまでほとんどなかった。それは、プロサッカー選手としてさらなる成功を求める彼なりの覚悟であり、同時にスクール運営現場を託しているスタッフたちへの信頼の証でもあった。

では、なぜいま、町田はこれまで固く閉ざしていた口を開いたのだろうか。そこには新型コロナウィルスの影響により、サッカーをする機会を失った地域の子供たちに対する思いがあった。

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町田が重い口を開いたきっかけは、モニター越しの笑顔

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いまJリーガーたちの多くは、自らSNSで発信したり、サポーターとオンラインで交流したりしながら、社会との繋がりを保っている。町田も自粛期間中にはZoomやインスタグラムなどを活用して、ファンとの交流を楽しんできた。同時に、サッカーの場を失った子供たちのためにできることはないかと日々模索を続けてきた。

そんな中で、先日、Jリーガー仲間で親交の深いオナイウ阿道らの協力を得て、スクール生向けに行なったオンラインイベントが一つの転機となったと言う。

「思った以上に盛り上がって、子供たちの笑顔をたくさん見ることができました。僕自身も勇気付けられましたし、こうして自分から積極的に発信する機会をもつことで、社会に役立つことができるなら、今こそスクールのことも世に伝えるべきではないかと思うようになりました」と、自らの心境の変化を明かした。

町田がいま子供たちのために伝えたい3つのこと

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町田が代表を務める「YAMATO SOCCER SCHOOL」では、開校した当初から掲げているコンセプトが3つある。それらのコンセプトは町田が自らの経験をもとに考案したもので、いま町田が子供たちに伝えたいと感じていることでもあるという。そこで今回は町田の経験談とともに、「YAMATO SOCCER SCHOOL」の3つのコンセプトを紹介していきたい。


CONCEPT 1 サッカーを大好きに
町田は、Jリーガーになった今も、サッカーを「楽しむ」ことを大切にしている。サッカーを始めて間もない頃、仲間と一緒にボールを蹴る日が待ち遠しくて仕方がなかったそうだ。学校から帰宅するとすぐにグラウンドに向かいボールを蹴って遊んだ。週末の試合が待ち遠しくて、試合をイメージしながらベットに入る日々。試合で思うようにプレーができなかった時は、「次こそは」といつも以上に練習に熱が入った。サッカーが大好きで、サッカーを楽しいと思えたことが、幼い頃の町田の成長の原動力だったという。


「中学生・高校生になっていけば、自然と勝負論がついてきます。スポーツである以上、勝利を目指して戦うのは大切ですが、小学生の頃は、それ以上に楽しむことが大切。楽しいから上手くなりたいと思えるし、負けたくないという気持ちが芽生えてきます。だからまずはサッカーを大好きになってもらうことを大切にして指導したい」。


CONCEPT 2  人間性の育成
町田は、サッカーを通じて、人として必要なことを学んできた。その中で最も大切にしているのが挨拶である。「YAMATO SOCCER SCHOOL」での、スクール活動は挨拶で始まり、挨拶で終わる。スクール生たちは必ずコーチたちのところにきて握手をしながら元気よく挨拶をする。その重要性を、自らの経験とともに以下のように語ってくれた。


挨拶って、第一印象を決めるって言うじゃないですか。僕の人生の中でも、挨拶が重要な役割を果たしてくれたことが何度もあったんです。たとえば、高校3年生の夏に、試合の会場でスーツを着ていた方に大きな声で挨拶をしたことがあったんですね。後でわかったのですが、その方は某有名スポーツショップの偉い方で、他の高校の先生から『埼玉栄高校の8番はいい選手だ』という話を聞いていたようなんです。そこで『君が町田くんか。専修大学の練習会に参加しなさい』と言っていただき、それがきっかけとなって僕は専修大学に進学することになったんです。あの挨拶があったから、こうして今があるのかなと思います。


CONCEPT 3  プロサッカー選手の排出
学生の頃の町田は、全国的には無名の選手だった。小学校の頃に埼玉選抜に選ばれたものの、関東トレセンでは落選。中学・高校ではいずれもなかなか試合に出ることはできず、3年生になってようやくレギュラーを獲得した。大学でも2年生から試合に出られるようになったものの、大学選抜に選ばれることはなかった。町田は決してエリート街道を歩んできたわけではない。それでも町田はプロへの階段を駆け上がった。

僕が体が小さくてもプロサッカー選手として生き残ることができているのは、技術を大切にしてきたから。それは幼い頃にサッカースクールで技術を教えてもらえた影響が大きかった。エリートじゃなくてもプロになれることを僕は知っている。そんな経験をしてきたからこそ、サッカー選手になりたいと言う子供たちの夢をサポートしたい。

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※デザイナーの榎本貴浩さんがデザインしたエンブレムは、スクールのもつコンセプトを視覚的に表現している。

現役Jリーガーが、地域スポーツに影響を与えていくということ

現在「YAMATO SOCCER SCHOOL」に通う家庭の約7割は、町田のことを知らずに入会してきている。意外な事実に驚かされたが、当の町田は、「コンセプトや指導内容を見て選んでもらっていることが嬉しい」と笑顔を見せる。一方で、現場で指導にあたっている青柳貴博と江田将さんは「現役Jリーガーが現場にくると、子供たちの目の輝きが変わります」と口を揃えて町田の存在の大きさを語る。こうしてリスペクトしあう姿にスタッフ陣の信頼関係を見てとることができる。

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※左上から町田也真人選手、筆者、青柳貴博さん。そして左下から榎本貴宏さん、江田将さん。

緊急事態宣言の延長により「YAMATO SOCCER SCHOOL」も既に5月末までは休校が決まっている。そんな状況の中で「YAMATO SOCCER SCHOOL」が最近力を入れ始めているのが、インスタグラムなどのSNSを使った情報発信だ。まだ始めたばかりだが、町田がリフティングする姿や、それを真似る子供の姿などが、投稿されている。

新型コロナウィルスの影響は、今後もしばらく続くだろう。地域スポーツのあり方も大きく変わっていくはずだ。そんな中で、今後、町田のようなJリーガーがどのように地域スポーツに関わり、どのような影響を与えていくのか。今後の「YAMATO SOCCER SCHOOL」、そして町田の動きに注目していきたい。

取材・文:瀬川泰祐

取材のウラ話

今回の取材は、Zoomを使ったお互いの近況報告会がきっかけだった。

5月4日に也真人くんと僕は、お互いの近況を報告しあっていた。そのとき也真人くんはJリーガーのオンラインでの活動状況や、「YAMATO SOCCER SCHOOL」で行なっている情報発信のことを話をしてくれた。

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実は2020年1月に僕が也真人くんを取材させてもらった時は、スクールのことはオフレコで話してくれていたが、この社会情勢の中で、心境に変化があり、公に話したいと思っていると僕に打ち明けてくれたのだ。

さらに、僕が新型コロナウィルスの影響が色濃い地域スポーツのために、スポーツクラブに対して、オンライン化へ向けたサポートをしていることや、情報発信を行なっていることを伝えたところ、也真人くんはその姿勢にも共感してくれた。

そこで今回、僕が提案したのは、僕が個人的に発信しているnoteでの掲載だった。新型コロナウィルスの影響を受け、今後変わっていかなければならない地域スポーツの事例を伝える上で、「現役Jリーガーである也真人くんがスクールの中で行なっていることを伝えたい」と提案したところ、彼は快く受け入れてくれた。その姿勢に、也真人くんの地域スポーツへの愛を感じたし、その心意気に感謝しながら、この記事を1人でも多くの人に届けたいと思った。

さらに今回は、也真人くんの声がけにより、実際に指導を行っている副代表の青柳貴博さんや江田将さん、そしてエンブレムをデザインした榎本貴浩さんにも話を聞かせてもらった。信頼する仲間たちとともに、地域を盛り上げようとする姿勢に、彼が長い間プロサッカー選手として必要とされ続ける理由の一つをみた気がした。

町田也真人は、今シーズン、きっと活躍する。彼がピッチで躍動したその先にはスクール生たちの笑顔があるのだから。


YAMATO SOCCER SCHOOL
公式ホームページ https://yamato-sc-tain.com/
公式ツイッター https://twitter.com/yamato66412472
公式インスタグラム https://www.instagram.com/yamato_soccer_school/

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東洋経済、ITメディア、OCEANS等で執筆中。HEROs公式スポーツライター、アスリートライブ編集長、ファルカオFC理事。取材テーマは「Beyond Sports」。社会との接点からスポーツの価値を探る。興行ビジネス歴20年。http://segawa.kataru.jp

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