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もう一度『サイバーパンク2077』のジャッキー・ウェルズが飲みたくて

モスコミュールが飲みたい。

飲兵衛ではない……むしろ下戸だというのに、かれこれ半月ほどモスコミュールが飲みたい欲が止まりません。
それも安い居酒屋チェーンで出てくるようなアルコール入り甘口ジンジャーエール(笑)ではありません。しょうが特有のピリッとした辛さと心地良い熱さが感じられる、ジンジャービアを使った正真正銘のモスコミュール――初めてナイトシティに降り立って右も左もわからなかった私に、傭兵という生き方とジンジャービアの魅力を教えてくれたビッグブロダーにふさわしいドリンクです。

……要するに、先日の飲み会で飲んだモスコミュールがクッソまずかったので「ジャッキー・ウェルズ」で口直しがしたいのです。

ジャッキー・ウェルズ(『サイバーパンク2077』)

近未来を舞台にしたオープンワールドRPG『サイバーパンク2077』では、動物由来の感染症や核戦争による土壌汚染の影響で生鮮食品の入手が困難という世界観ゆえに、イナゴをトッピングしたピザ蟻を揚げたスナック菓子などディストピア感満載のゲテモノグルメが多数登場します。
ところが意外なことに、アルコールに関してはその限りではありません。ビールにワインに日本酒といった私たちの世界でもおなじみのお酒がゲーム内世界でも親しまれているほか、「ジョニー・シルヴァーハンド」をはじめとした劇中オリジナルカクテルにしても、ウォッカやテキーラといった定番のスピリッツが使用されています。

盛大な死亡フラグを立てたおかげでアフターライフに名を刻んだ男

もちろん我らが愛すべきチューマの名を冠したカクテル「ジャッキー・ウェルズ」も同様です。街一番の傭兵として大成する夢は叶わなかったジャッキーですが、傭兵たちの社交場であるバー・アフターライフのメニューに自身の名を残しています。
そのレシピはというと、ウォッカのロックにライムジュースとジンジャービアと愛情を加えたもの……要するにモスコミュールです。

一般的にモスコミュールといえば、女性に人気のあるスタンダードカクテルのひとつであり、スクリュードライバーやカルーアミルクのようなレディーキラーとしても有名なドリンク。そのせいか「女の子向けの飲み物」というイメージが少なからずついて回っているような気がします。
それに対しジャッキーは、陽気で情に厚い親友であり、勇猛果敢で頼りになる相棒という、いかにも「男らしいキャラクター」として描かれています。なのにそんな彼の名を冠したメニューがまさかのモスコミュールだなんて……いくら公式と言えど解釈違いと感じたゲームプレイヤーもいたのではないでしょうか。

かく言う私もその一人。モスコミュール=女性が居酒屋でよく注文する飲み物という先入観から、アフターライフで初めて彼のレシピを聞いたときは「ジャッキーがモスコミュールとかかわいすぎない!?」なんて驚きました。
ところが実際にジンジャービアから作って飲んでみたら大間違い。ジンジャーエールで作る一般的なモスコミュールと違って、しょうがの辛さとライムのさわやかさがしっかり感じられるそれは、まさに「この街の伝説になる」という純粋で大きな夢を掲げたヘイウッド男児に相応しい味わいでした。

もう一度、そんなモスコミュールが飲みたい。さながらモスクワのラバに蹴飛ばされたような衝撃を……否、その命を火花のように散らしながら頂点に向かってひたむきに走り続けるエッジランナーに相応しい一杯を。
先日、職場の飲み会でモスコミュールを騙る気の抜けた炭酸水にガムシロップとアルコールを加えただけとしか思えない謎の飲み物を口にしてしまったこともあり、その想いは日に日に強まる一方です。

もちろん、作ろうと思えば作れなくもありません。スピリッツをジュースで割るだけのカクテル作りに特別な道具や材料は必要ありませんし、最重要材料のジンジャービアにしても「しょうがジュースを作ってドライイーストで醗酵させるだけ」とレシピ自体はシンプルなので自前で用意することが可能です。
……なんですけど、ここ最近の猛暑に体力と気力が奪われて、いくら簡単でも作る気がまったく起きないというか。まず最初に「しょうがを1個丸々すり下ろす」という段階を想像する時点でやる気がゴリッと削られます。

字幕が誤字ってることに気付いてないママ

それにママ・ウェルズだって、オフレンダの準備中にビールとジンジャービアを電話注文していたような覚えがあります。
つまり飲食物としての完成度よりもゲーム再現度を求めるのであれば、市販のジンジャービアを使った方がより“らしさ”が味わえるに違いありません。

しかし前回はカルディや成城石井を始め、その他お酒が置いてありそうな輸入食品店を何軒もはしごしてもジンジャービアのBの字も見つからなかったのだから、やむを得ず自家製に手を出したわけであって。既製品なんて通販ぐらいじゃないと手に入らな……

今回買ったジンジャービア(中央)と普段よく買うモスコミュール(左右)

……と思ったら、たまたま出先(ナゴヤシティ)のDEAN & DELUCAで普通に売ってました。あのときの苦労はなんだったんだろう。

しょうがもレモンも砂糖もすべてオーガニックを使用した健康志向で、イミテーション食品だらけのナイトシティに似つかわしくないジンジャービア。そのお値段は1本250mlで583円。1L125円(1個100円のしょうがと3g×4袋で100円のドライイースト)で自家製ジンジャービアを仕込んだ身としてはかなり割高に感じます。
とはいえカルディで売っていたジンジャーシロップもこのぐらいの量と値段だったような気がするので、おそらくこれがジンジャー系飲料の相場なんでしょう。輸入品だし、オーガニックだし、DEAN & DELUCAだし……きっと適正価格のはずです。多分。

そんなわけで、ジンジャービアさえ手に入ればもう何の障害もありません。帰り道にウォッカとライムと飲み比べ用のモスコミュール(スミノフアイス)を調達すれば、完成したも同然です。

氷を入れたグラスにウォッカとライム果汁とジンジャービアをビルド。軽くステアするついでに輪切りのライムも添える。そして……

うおおおおッッッ!!! ドドスコスコスココストコトコトコトコ!!!

……と、ありったけの愛情を注入して出来上がり。ヘイウッドが生んだ最高の相棒に乾杯していただきます。

実飲

自家製のものと比べると、液体の色合いと濁りは薄くて、炭酸も弱い。一瞬だけ不安を覚えましたが、実際に飲むとまったくの杞憂でした。
初っ端からガツンとくる口当たりは、炭酸の刺激でもアルコールの度数でもなく、しっかりとしたしょうがの味。心地良い辛さと熱さが口の中に広がった瞬間、長らく求めていたしょうがフレーバーをようやく得られたことに感動し、思わず「これだよこれ!」と声を上げてしまったほどです。

“ゆーき”だらけの原材料表示

ただし一口目は理想的でも、後味は微妙。おそらく香辛料(唐辛子)の影響だと思うのですが、不自然な甘さというか微妙な雑味が後に引く感じがあって……その点だけはどうも好みではありませんでした。
手軽という市販品ならではのメリットはあれど、「この値段と味と入手難易度なら自分で全部作った方がいいな」なんて生意気にも思ったほどです。

とはいえ普段スーパーで見かけるチューハイ等と比べると、満足度は桁違い。先日飲んだモスコミュールを自称する何かの記憶を払拭することができて、良い口直しになりました。
やはりモスコミュールは甘味料と申し訳程度の風味付けで誤魔化したようなジンジャーエールより、素材の味を真っ向から楽しめるジンジャービアを使うに限ります。

こうしてしばらくぶりのジャッキー・ウェルズを楽しんでいると、だんだんとナイトシティの夜景が恋しくなってきます。

そういえばここ最近(『仮初めの自由』の最新情報が発表されたXbox Games Showcase 2023以降)、ずっとゲーム本編を起動していない。3キャラ目の冒険はAct.2の序盤で止まったままだし、未クリアのサイドジョブも全キャラ含めてまだまだ残ってる。
たまには2077年の世界に帰ろうか。バイクに乗って意味もなく街をふらつき、たまたま遭遇した敵をブン殴り、気の向くまま風景やNPCをスクリーンショットに収めて……なんならニューゲームで始めてもう一度ジャッキーとの出会いをリプレイするのもいいかもしれない。パッチ1.63も配信されたことだし。

そう思って千鳥足のままPCの前へ移動し、Steamクライアントを立ち上げ、夢の街へと帰還を……

アップデート直後によく表示されるエラーメッセージ(だいたいMODが原因)

チンガーダ・マドレッッ!!!(MODの更新を怠ったせいで起動失敗)

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