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『サイバーパンク2077』のデイビッド・マルティネスが飲みたくて

「マンガ飯」といい「映画飯」といい……フィクションの中に登場する食べ物ってどうしてあんなに魅力的なんでしょう。
ただ「おいしそう」と思わせるだけでなく「食べてみたい」とまで食欲を刺激してくるその様子は、まさに“飯テロ”です。

ジブリ映画を観て目玉焼き乗せトーストやベーコンエッグを食べたくなる人が続出するように、私もマンガや映画内に登場する食事シーンに影響を受けることが多々ありました。
例を挙げると、漫画『孤独のグルメ』に影響されて脳内食レポがマイブームだった時期もあれば、映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』に影響されてしばらくの間パン屋でキューバサンドばかり買っていた時期もあります。

ゲームも同様に、劇中で登場する食べ物を求めて買ったり作ったりしたことが何度もあります。
『パラッパラッパー』のシーフードケーキを普通においしく作れないかと考察してみたり、『トトリのアトリエ』に影響されてフィッシュパイを作ったり、『ロリポップチェーンソー』のプレイ中はチュッパチャップスばかり食べていたり、『VA-11 Hall-A』と『Coffee Talk』のプレイ中は飲み物が欠かせなかったり……

当時のブログからサルベージした「いちごとうふ」とは名ばかりのショッキングピンクな塊
(あまりにもグロかったのでモザイク処理済)

『MOTHER1+2』をプレイしていたときに、無調整豆乳とにがりといちごと食紅で文字通りの「いちごとうふ」を作って後悔したレポートをブログに上げた痛々しい過去も、今となっては忘れがたい思い出です。

今回もそれらと同じ、ゲーム内の食事シーンに影響を受けて買ったり作ったり食べたり飲んだりしただけの「ゲーム飯」の記録です。

デイビッド・マルティネス(『サイバーパンク2077』)

サイバネティクス技術が発達した近未来が舞台の『サイバーパンク2077』では、ディストピア感満載のSF飯が多数登場します。

屋台街で見かけたすごくまずそうで不衛生そうな寿司とラーメン

その大半は「本物の肉を70%も配合!」なんて謳い文句の胡散臭い人工肉だったり、原型を留めているタイプの昆虫食だったり、暗闇で発光するエナジードリンクだったり……いずれにしてもプレイヤーのSFマインドを刺激するだけで味はまったく想像できない(もしくは口にしたくもない)ような食べ物ばかりです。

フォークとナイフを使ってお行儀良く焼き鳥を食べるNPC

一方でピザやハンバーガーなど現実世界でも馴染みある食べ物や、普通においしそうな食事シーンも登場します。

一見様なのに常連っぽく「ジョニー・シルヴァーハンド」を注文するジャッキー

おいしそうなだけでなく、実際に作れそうな飲食物も登場します。
例えば街中の傭兵たちが集まるバー・アフターライフでは、「ジョニー・シルヴァーハンド」など派手な活躍を遂げた傭兵の名を冠するカクテルが提供されています。それが『VA-11 Hall-A』のように架空の材料で作られているわけでなく、ビールにウォッカにテキーラなどポピュラーかつ実在する材料を使用しているので、我々の世界でも実際に作って飲むことができるのです。

現時点でアフターライフで購入できるカクテルは3種類。「ジョニー・シルヴァーハンド」と「ジャッキー・ウェルズ」、そして「デイビッド・マルティネス」です。

主人公Vの相棒として登場するクソ野郎とチューマはともかく、デイビッド・マルティネスについては聞き覚えのないゲームプレイヤーもいるのではないでしょうか。
それもそのはず。彼はアニメ『サイバーパンク エッジランナーズ』の主人公であり、ゲーム本編には登場しないキャラクターです。

つまりはアニメのイースターエッグ。ですが最近のアップデートで突然追加されたわけではなく、結構前からアフターライフに並んでいるようです。
1周目では店員の機嫌を損ねたため品揃えを調べられなかったのですが……ゲーム発売前の2020年6月には既にアニメ化のアナウンスがあったので、ひょっとすると最初期から存在するアイテムかもしれません。

【追記(2022/9/24)】
CDPR本間氏のインタビューで、次世代機版が出たタイミング=パッチ1.5(2022年2月16日配信)で仕込まれたイースターエッグであることが判明しました。

ウォッカのロックに二コーラを少々。高みを目指して派手にくたばれ

そんな「デイビッド・マルティネス」のレシピはフレーバーテキストの通り、ウォッカのロックにニコーラ(劇中に登場するコーラ飲料)を入れたもの。ルシアンコークというよりは、コーラで気持ち風味付けしたウォッカという印象です。
アイテムイラストでは青と黄の2層に分かれた液体がグラスに入っているように見えますが、これはブルーキュラソーかニコーラブルーの着色料か……とはいえウォッカとコーラ以外の材料は明言されていないのでひとまず無視します。
いずれにせよ相棒二人の名を冠したドリンクと比べると、非常にシンプルな作りです。

「これなら簡単に作れそう!」と思った私は、さっそくリカーショップでウォッカとコーラを購入。コーラはコカより10円安かったのと、変わり種フレーバーが多いのがニコーラっぽいという理由でペプシをチョイスしました。

作り方は自己流。氷を大量に入れたグラスにスミノフを注ぎ、色付く程度にペプシを少々。軽くステアすれば完成です。

よし、高みを目指す準備はできた。あとは派手にくたばるだけだ。

実飲

口に含むと一瞬だけかすかな甘みを感じたのち、すぐに舌が焼けるような感覚が襲いかかってくる……要するに見た目通りの味です。
よくよく味わうとあのかすかな甘みの正体がコーラのカラメルだってことに気付くのですが、すぐにウォッカのガツンとしたアルコール感がコーラの味をかき消していきます。スパイス強めのクラフトコーラを入れるとまた違った印象を抱くかもしれません。

この色付きウォッカをちびちびと飲んでいると、カクテルの由来となったデイビッドの人物像に興味がわいてきます。

ジョニーやジャッキーよりずっと若い少年の名を冠するカクテルが何故ほぼウォッカのロック?
劇中の出来事によってコーラのように甘くさわやかな青春時代が唐突に終わりを迎え、ウォッカのように強く鋭い傭兵として在ることを求められたんだろうか?
ウォッカのクリアさが傭兵としてのポテンシャルの高さを、コーラの色と味は少年としての青さや未熟さを表現してるんだろうか?
それよりアフターライフのメニューにあるってことは“そういうこと”なんだろうけど、いったいどんなことを成し遂げたんだろう?

もっともこれを書いている現時点(2022年9月11日)では「アラサカの学校に通うサントドミンゴ在住の少年」という公式で発表されているプロフィール以外、彼については何も知りません。
デイビッドが目指した高みと派手なくたばり方が明かされるとしたら、明後日から配信されるアニメの中だけでしょう。

ドリンクの名前と味から人物像を好き勝手に想像するのはなかなか楽しい……のですが、度数の低い缶チューハイを1缶飲み干せないような下戸体質としては、正直ウォッカのロックはきつい。数口舐めるだけで顔が真っ赤です。
スピリッツが強い傭兵のメタファーとするなら、私は愚かな凡人のままでいい。「俺は平穏な生涯がいい。栄誉の死なんてごめんだ」なんてデクスの台詞が脳裏をよぎります。

飲みやすくしようと甘さを求めてペプシをつぎ足し、最終的にはウォッカ:コーラ=1:5のほぼコーラなルシアンコークとしておいしくいただきました。

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