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ビジネス文化から読み解く オランダの障がい者雇用ほか ~オランダ振り返り投稿4~

オランダの障がい者雇用やケアファーム、ソーシャル・エンタープライズ(社会的企業。社会的・環境的(など)「インパクト」を生み出すために事業を行う)を調べたり、代表の方と話したりする中で、やっぱりオランダと日本って文化が違うなと感じたことが多々ある。どちらが良い、悪いではなく、単に違う。だから、一概にオランダを(外国を)見習おうとは言えない。

2018年のPwCのレポートによると、「普通ではないことをする勇気がある。人々を魅了するストーリーを伝えて、消費者やその他支援者を動かす」のがオランダのソーシャル・エンタープライズ。

3つの(ビジネス)文化の観点から考察してみた。参考にしたのは、Hofstedeの6次元モデルと、Erin MeyerのThe Culture Mapという本。


【意見を表現すること】
Hofstedeの指標では、オランダは「Expressivity(表現性)」が高く日本は低い。Meyerの指標でも同じように、オランダでは否定的なフィードバックを直接相手に伝える。

実際、私自身も留学時代にオランダ人と一緒にグループワークをする機会が多くあったが、気に入らない点・できないことなどをバシバシ伝えてきた。彼ら曰はく、人の考え・気持ちを勝手に察するのは失礼にあたるし、相手に察してもらおうというのも失礼。だから伝えたいことはハッキリ伝え、分からないことはしっかり聞く。

だからだろうか?オランダの社会的企業の商品には「私たちはこのような世界を目指しています」とハッキリ書いてあるモノが多い印象だ。それを目にしても引かないお客さん側の土壌もあるのだろう。

そして、社会的企業内部の話にも当てはまる。問題や矛盾に対して正直であること。役職に関係なくピアレビューは伝えたいことを伝える。そして皆で改善方法を探っていく。「役職に関係なく」というのが次の点につながる。


【リーダーは皆と同じでありたい】
オランダは、日本に比べたらかなりヒエラルキー(階級)がない。
ある社会的企業の社長さんに、企業文化について質問したら、「一人一人がリーダーのような感じ。自己学習を大切にする組織だよ」と答えていた。組織内でも、年齢・役職問わず、ファーストネームで呼び捨ての場合が多い。それは、福祉における「職員」「利用者」間でもそうだし、大学における「教授(校長含む)」「学生」間でもそうだった。

そして、私が研修でお世話になった数々の農園では例外なく、10時半と3時半休憩のコーヒー休憩があり、皆で一緒に取っていた。大学でも、教授・受付のおじさん・掃除のおばさん・園芸担当のお兄さんたちがそれぞれ校内のお気に入りの場所に集まってコーヒーを飲み団欒していた。

上下関係がある日本において(私はこれを全否定しているわけではない…ただ、お互いに、特に上から下へも、心からの尊敬があるといいな)、社会的企業(や教育、福祉、医療…)がオランダから学べることはたくさんある。それでも「和」の関係性の築き方があるのかな、と思う。


【みんなで決定する】
決定する際、文化によって、合意を取るかトップダウンかが異なる。オランダはヒエラルキーが少ないことからも示唆されるように、みんなの合意の上で決める文化だ。(ちなみに日本は、ヒエラルキーが明確なくせに、合意を取るという特殊な文化。それが根回し的なことらしい。合意を取る度合いはオランダよりも強い)

低地・平地の国オランダでは、水が差別なく襲ってくる。水から身を守るためには、身分や職業にかかわらず水の管理・ポルダー(干拓地)づくりなどに協力しなければならなかった。それが、ポルダー・モデルとして、オランダの経済界や政治界で浸透しているものだ。

決定には時間がかかるらしいが、とりあえずまずは皆の意見を共有するところから始まる。

私が研修でお世話になったケアファームでも、いわゆる利用者さんからのフィードバックの時間はたっぷり取っていた。それも、事務所のような畏まった空間ではなく、喋りやすいように庭のピクニックテーブルにお茶を並べたり、リビングでクッキーをつまんだりしながら。


【終わりに】
オランダと日本でこれだけ(ビジネス)文化が違うと、たぶん障害の質(特に精神)も違うだろうし、社会に合った障がい者雇用・福祉の在り方、そこから派生して教育や医療、福祉、社会全般の在り方も違うと思う。そんな違いすらもを包括してしまうのが社会的企業の在り方なのだろうが。

夏にオランダに行くときは、オランダではどう行われているのかを捉えつつも、その根底にある文化、「なぜオランダではこう行われているのか?」というところもしっかり聞き、考え、議論してきたいと思う(オランダ人だったら、ストレートに質問しても大丈夫なはず😉)


★★★さすらいの百姓、今年夏に再びオランダに行きます!★★★
4年間のオランダ留学を終えて早半年。もっと知りたい!うずうずが溜まってきました。なので再びオランダへ、2週間ほど。
今回はみなさんの素朴な疑問や知的好奇心をリュックに詰めて。題して、「サキと行く!あなたの目線と共に。オランダの旅 𝟮𝟬𝟮𝟯(仮)」

旅するにあたって、2018年から2022年の留学を通して学んだこと、感じたことを改めて振り返ってみることにしました。現状が変わっているであろう箇所はどこか?もっと知りたいことは何なのか?その辺の整理も踏まえて。

旅費はクラファン形式でお力をお借りできたらと思い、5月中旬募集スタートを目指して準備中ですm(_ _)m 応援して頂いたお礼に、みなさんの知的好奇心もお供として連れていき、マスコミでは分からないオランダのリアルを現地からお届けします。私自身にとっても、みなさんの目線をお借りできるのは大きな意味があります!詳細は後ほど。

今は暫し、振り返り投稿にお付き合い頂きつつ、疑問などがあれば書き留めておいて頂けると嬉しいです🥰


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オランダの社会的企業の社長さんへインタビュー 前半 ・ 後半


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