【詩】泥の階段
不安な気持ちから心を掘り続ける
これでいいのかと僕が僕に問い続ける
頑固な僕は穴の前から動かない
そんな時に深く掘った穴の外をみる
小さくなった穴の先には
思い描いていた空が広がる
ふと気づく
僕が目指すのはあの空だったんではないか
不安の穴を掘り続けて
周りには言葉が増えていく
だけど空からはどんどん離れていく
これでいいのだろうか
そしてまた気づく
言葉は形をかえる
掘り当てた言葉は
柔らかくて濡れていて力を込めれば固くなる
下手くそだけど見よう見まねで階段を作ってみる
階段は直ぐに崩れて
また1番下に戻る
だけど作るのは辞めない
不安な気持ちでいっぱいだ
だけど穴を掘るよりかは
幾分か気持ちが楽だった
次第に階段も上手く作れるようになっていた
気付けば穴の外に出て
毎日階段を作っていた
作った階段を見に来た人がいた
下手くそだけど僕の階段を褒めてくれる
そしたら嬉しくてもっと階段を作ってみた
その人の家の階段も作ることになった
何段も積み重ねて
積み重ねて
また積み重ねて
飽きるくらいになった時に
空はまだ遠くて大きかった
でも僕の階段の周りには色んな人が
遊びにくるようになった
そしてその内僕は空を目指さなくなった
この言葉は形を変える
気付けば僕が掘り当てた言葉の階段は
みんなが楽しめる滑り台になった
気付けば不安だったことも忘れていた
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