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アマプラ映画感想メモ#3『イップ・マン 序章』

アマゾンプライムで観られる映画を観ていく企画第三回目。
致命的なネタバレは避けるべく努力するが、あらすじや表現、全体の構成についてなどは触れようと思うので、一切情報を入れずに映画を観たい方はお気をつけて。

第三回に観た映画はこちら。

『イップ・マン 序章』


〇観ようと思ったきっかけ

二回連続で洋画だったので東洋の映画も観ておきたいと思った&某動画サイトの影響で映画の存在を知っていたため

〇概要

2008年制作の中国・香港合作のアクション映画。
監督はウィルソン・イップ。
日中戦争下、日本軍によって占領された佛山に実在した達人、葉問(イップ・マン)をモデルとしたシリーズの第一作。

〇あらすじ

広東省佛山では武術が盛んだった。武術家たちが武館を立ち上げては名を競い合う中、詠春拳の使い手イップ・マンは家族と豊かに暮らしていた。道場荒らしを倒して達人として知れ渡ったイップ・マンだったが、やがて日中戦争が勃発、佛山は日本軍兵士たちに占領されてしまう……

〇ノート

まず思ったのは、キャラクターの起て方がスゴイということ。
物語の最序盤、イップ・マンは半ば無理やり挑戦しに来た町の武術家を家に招き入れ、家族の食事に誘っている(奥さんには煙たがられていたが)。
この時点でイップ・マンの人の良さや周囲との関係、挑戦を受けるほどの実力者だということが示されていて一切の無駄がない。

こうした伝えるテクニックを、キャラクター性だけではなく武術に対する『価値観』にも応用しているのが、この映画のスゴイ所だ。
例えば、序盤の小競り合いを通してイップ・マンの強さを示すと共に、武侠モノ特有の勝ち負けや流派の面子に対する考え方、恥の価値観などを丁寧に観客に説明し、素人にはとっつきにくい武侠世界への入門編としている。
このような行程を繰り返していく事で、武術家の考え方に親しみがなくとも彼らの生き様が理解できるよう、少しずつ教化が為されていく。
そんな観客と同調できるように「武術ばっかりやって、あの人たちったら何考えてるのかしら」と、理解の無い奥さんの目を置いているのもスゴイ。
自分も奥さんと同じで「武術家ってやることが滅茶苦茶だな~」と思っていたのに、中盤以降は武術家たちの辿る運命に同調し、感情が滅茶苦茶になってしまった。

武術が大好きで仕方のない人たちの映画だと思うので、気になった方には是非とも観ていただきたい。

〇感想

思ったより閣下が語録ばっかり喋ってて驚いた。
……というのは置いておいて。
武侠小説は今までにいくつか読んだことがあったのだが、読む度に武術家たちや当時の人々の独特な価値観に驚かされ、「これが大陸のスタンダードなの!?」と面食らった記憶がある。
ところが『イップ・マン』ではそうした当たり前と見える価値観を意識的に入門しやすく描いている気がした。
自分も時代モノなどを書く時は特に、作品世界の物の考え方を自明のものとせずに、分かりやすく読者に伝えられるよう努力しようと思わされた。


それでは、また次回。
何だか毎日やれそうな感じなので、出来る限りやってみようと思う。

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