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アマプラ映画感想メモ#45『大誘拐 RAINBOW KIDS』

『大』を付けると何だかスポーツ感が出て来る大映画習慣45日目。

致命的なネタバレは避けるべく努力するが、あらすじや表現、全体の構成についてなどは触れようと思うので、一切情報を入れずに映画を観たい方はお気をつけて。


今回観た映画はこちら。

『大誘拐 RAINBOW KIDS』

〇観ようと思ったきっかけ

岡本喜八監督の『殺人狂時代』が面白かったため。

〇概要

1991年の日本映画。
監督は岡本喜八。
原作は天藤真による小説作品『大誘拐』。

〇あらすじ

前科者の三人組は、名家の主である柳川とし子(82)を誘拐して身代金5000万円をせしめようと計画する。なんとか誘拐に成功した三人だったが、とし子は自分の身代金に5000万は不足と主張し、彼らを説き伏せ100億円を自らの家族へと要求し始める。

〇ノート

フェアプレイ精神のようなものに満ちた、清々しい映画だった。
誘拐犯陣営と警察陣営の動きを交互に立てながら互いの好プレイをどんどん映し出していくスポーツ物のようなスタイルで、構成としてはオーソドックス。
しかし、TV画面の報道や警部補の日誌などの視点を通した状況進展の提示など、臨場感や各キャラクターの心情描写、ムード作りをとてもスムーズに進めていて、上手すぎる故に観ている側が技巧に気付けない現象が発生している気がした。
喜劇とミステリーサスペンスを両立している独特の空気感やキャラの人柄も魅力的で、観た後の満足感、後味の良さは今まで観てきた映画の中でもトップレベルだった。

〇感想

家族を少なからず扱った映画の中で、絆みたいなものを押し出した作品って実のところ名作の中にはあまり無い気がしてきた。
『東京物語』も結局のところは『個』の物語であったし、『大誘拐』も、良い意味でドライな個人の物語だ。
フラットな個の関わり合いとしての、結果としての家族、みたいな感じ。個への解像度を高めていくと、こういう見地に至るのかもしれない……
というようなことを、『大誘拐』があまりに面白かったために、分析するのをやめて考え込んでしまった。
もうすぐアマプラでは配信が終わってしまうらしいので、気になった人には急いで観て欲しい。

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