見出し画像

【硫酸男から学ぶ】人体に危険な劇物ランキング5選


#KENMAYA です。

実は金属加工業界には化学研磨や薬品洗浄、メッキ処理、アルマイト処理といった劇物や取り扱いに注意が必要な薬品を使用した加工工程が存在します。もちろん使用には安全管理に基づく免許や換気装置、濾過システムなど多岐に渡る設備が必要で、個人で所有したり持ち歩くことなど言語道断です。

今回事件に使われた『硫酸』は無色無臭の強酸性の液体で、濃度によって性質が変わるものの、どちらも不揮発性で高い脱水能力を持ち、水分子との結合時に強烈な発熱作用があるため、皮膚などに付着すると火傷を引き起こします。(※つまり皮膚などに誤って付着してしまったら、大量の水で洗い流し(放熱)、その後中和剤として弱アルカリ液などを用いながらさらに洗い流す作業が必要。)

そもそも、暴露(誤って皮膚に触れたり吸い込んだりすること)してはならない危険物であり、工業用品、医薬品、肥料、爆薬などの製造や、鉛蓄電池などの電解液としての用途でしか使用を認められておらず、その保管方法も処理方法も厳密に法律で指示されています。毒物及び劇物取締法で『劇物』に指定され、一般人が手に入れることは不可能なモノです。恐らくですが、理工学部など試験材料として硫酸が容易に手に入れられる環境だったのだと思われます。


さて、本日は『硫酸』以外にももっと身近で人体に悪影響を与える劇物、薬品をいくつかご紹介したいと思います。あくまで、身近な危険物であって、毒物及び劇物取締法でのヤバさランキング(『特定毒物』>『劇物』>『毒物』)ではないのであしからず。(※くれぐれも悪用しないでください。)


1.シアン化ナトリウム


俗に言う青酸カリです。メッキなどの他幅広い工業分野で現在も使われています。毒物及び劇物取締法で『毒物』に指定されており、もちろん一般の方が入手することは不可能です。間違ってもぺろっ…なんてしたらいけません。

この毒物の恐ろしいところは、何と言ってもその特性です。血中のヘモグロビンと結合し、呼吸を阻害します。さらにミトコンドリアにも結合し、細胞を壊死させていくのです。つまり、身体の内側からボロボロに破壊していく毒物です。シアン化合物は全般で人体に有害です。成分表記はちゃんと確認しましょう。


2.フッ素


フッ素は原子番号9のF、「水兵リーベー僕の【F】船」の【F】です。
フッ素自体はハロゲンの一種であり、特に毒性があったり凶暴な原子ではありません。が、このフッ素という原子はほとんど全ての元素と化学反応を起こします。もちろん有益なものも多くありますが、今回はその中でも凶悪なやつをご紹介します。

⏩ フッ化水素

水素とフッ素からなる無機化合物で毒物及び劇物取締法の医薬用外『毒物』に指定されています。フッ化物の製造原料として用いられ、その反応性が高さからあらゆるものの製造触媒として使われています。ガソリンを製造するための触媒となるほか、電線被覆や絶縁材料、フライパン・眼鏡レンズのコーティングなどに使われるフッ素樹脂や、エアコンや冷蔵庫の冷媒として使われるフロン類の原料でもあります。純度99.999%以上の高純度のものは液晶パネル、半導体、モバイル機器用ディスプレイパネルに使われるフッ化ポリイミドの原料となるなど先端技術にも深い関わりがあります。

こいつ自体、ヒトの経口最小致死量は1.5g、体重あたり20mg/kgである毒物であり、皮膚に接触すると、体内に容易に浸透し、体内のカルシウムイオンと結合してフッ化カルシウムを生じさせる反応を起こすので、骨をボロボロにします。また血液中のカルシウムイオンがフッ化水素によって急速に消費されるために、血中カルシウム濃度が低下し、しばしば重篤な低カルシウム血症を引き起こし、意識は明晰なまま、心室細動を起こし死亡します。

また、高純度のフッ化水素は核燃料製造にあたってウラン濃縮のために必要となる六フッ化ウランの製造過程において使用されたり、有機リン系の毒ガスであるサリンの製造に、フッ化水素またはフッ化ナトリウムが使用されることから、日本が使用用途の明細を明かさない韓国に輸出規制をかけたのは記憶に新しいことだと思います。


3.アンモニア


おしっこで有名なアンモニアですが、実は毒物及び劇物取締法で『劇物』に指定されたれっきとした危険物です。アンモニアは硝酸などの基礎化学品、チッソ肥料の原料、燃料電池などにも使用されています。また、先端技術では特定条件下で燃焼してもCO2を排出しないことから、「ブルーアンモニア」としてカーボンニュートラル時代の燃料としても期待されています。

もちろん皆さんご存知の通り、アンモニアはその刺激臭が特徴で濃度0.1%以上のガス吸引で危険症状を発生させます。高濃度のガスを吸入した場合、刺激によるショックが呼吸停止を誘発することがあり、さらに血中アンモニア濃度が高くなると、中枢神経系に強く働き、意識障害を起こす可能性があります。また、液体状のものが飛散した場合、非常に危険で、特に目に入った場合には失明に至る可能性が非常に高いとされています。

おしっこと侮るなかれ。


4.過酸化ナトリウム


恐らく一番多くの方が身近にあるであろう、『酸素系漂白剤』。実はこれ過酸化ナトリウムなんです。消防法によって危険物第1類(酸化性固体)に定められており、毒物及び劇物取締法により『劇物』に指定されています。

塩素系漂白剤は刺激臭がしてなんかヤバそうだから、酸素系漂白剤なら大丈夫!なんて思ってたりする人、意外に多いんじゃないですか?

なんで簡単に買えるのかは謎ですが、目に入れば失明の可能性、皮膚に触れても刺激剤として毒性を持っており、さらに可燃物で燃焼時に有毒ガスを発生させるものでもあります。環境負荷も高く、環境汚染の影響も指摘されているので、ドバドバ使ったり、他の洗剤と混ぜ合わせて使うのはやめましょう。いやマジで。


5.水酸化ナトリウム


これも広く知られている物質で小学校の理科の実験などで水溶液を見たことのある人は多いのではないでしょうか。『石鹸』の主原料でもあり、苛性ソーダとしても知られています。これも毒物及び劇物取締法により『劇物』に指定されています。

非常に強いアルカリ性であり、特徴として強い脱脂作用を持ち、人体に対して強い腐食性を持ちます。分かりやすく言うと、油分やタンパク質を溶かします。先にお話した『硫酸』とは真逆のpH(ペーハー)ですが、性質はよく似ており、皮膚に付着したまま放置すると火傷のような症状を起こすので、付着した場合は即座に水で、きれいに洗い流す必要があります。痒みを感じるような場合、完全に除去しないと、皮膚の深部まで徐々に侵していく性質があるので、非常に危険です。

水酸化ナトリウムそのものの強力な脱脂作用や強アルカリ性の溶解能力を利用して直接洗浄剤として用いられることもあり、メッキ工場やアルマイト工場で脱脂剤として使用されていたり、市販の排水管クリーナーなどは水酸化ナトリウムを主原料としたものが多いです。これに加えて界面活性剤などを加え、洗浄力を強化した製品も販売されています。こちらは主に業務用で、空調業界やクリーニング業で使用されています。(※つまり一般人でも購入可能)


いかがだったでしょうか。挙げればキリがない危険物ですが、意外と身近にあるものも実は…ってことはよくあります。今回は紹介しきれませんでしたが、塗装などでよく使うシンナー、ベンゼン系の有機溶剤についても今度記事でまとめてみたいと思います。(需要があれば。。。)

今回の記事、面白かったら是非コメント、スキもらえると嬉しいです!


ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
Twitter、YouTubeもやってます。よかったらチャンネル登録も是非。
🔽Twitter
https://twitter.com/sechica1

🔽YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCeAh6Y8B3DwKRqChlCgnwpA

52.ゴルフクラブ リョーマ ドライバー磨き(サムネ2)


サポートは不要です