見出し画像

99歳で亡くなったおばあちゃんの形見

去年、おばあちゃんが亡くなった。

実家を出るまでの18年間
おばあちゃんと住む2世帯住宅だった。

私たち家族がおばあちゃんの建てた家にお邪魔する形で住み始めたらしい。

私は4人兄弟の末っ子で
物心ついたときから母は家事育児に忙しく
構ってもらえないと寂しくて
おばあちゃんのお部屋へ遊びに行っていた。

おばあちゃんお手製の小豆入りお手玉で遊んだり
おはじきを弾いたり。

時計の読み方を教えてくれ、お金の数え方も教わった。

(余談だが私は今だにアナログ時計を瞬時に読めない。)

おばあちゃんの丁寧に作られたご飯が好きでお腹を空かせると作り置きのおかずが数種類出てくる。
なます、黒豆煮、煮付け、子和え、きんぴら。

お抹茶の点て方も、すき焼きの最初の美味しい食べ方もおばあちゃんが教えてくれた。

これらからわかる通り手先が器用なおばあちゃんは
彫刻を習っていたことがあった。


おばあちゃんの部屋には彫った木を使った
タンス、姿見鏡、小物入れ、ランプシェード、
テーブル椅子、ドレッサー鏡が並ぶ。



子どもの頃はわからなかったが
専門学校へ入る年齢になってやっと気づき始めた。
おばあちゃん凄くね?と。

おばあちゃんの影響で私は食、絵、彫刻に興味を持ち
小学校の勉強も
写生会、版画は賞が取りたくて真面目に取り組んだ。

おばあちゃんとはなんと、誕生日が一緒だ。
9月5日。

だからなのかわからない。
私とおばあちゃんは似ていると思う。

絵が好きなのも、彫刻が好きなのも、食が好きなのも、
綺麗な食器が好きなのも、植物が好きなのも、
庭で取れた梅の自家製シロップが好きなのも、
全部ぜんぶおばあちゃんの影響だ。


私の実家には今

"まりちゃん"

と書いたダンボールがある。

おばあちゃんが私へ宛てたダンボール。
終活をしていたおばあちゃんが私用に包んでくれていたらしい、最期のプレゼント。


私も99歳まで生きると思う根拠のない自信。
おばあちゃんは品がありとても綺麗だった。おじいちゃんは校長先生で、おばあちゃんも学校の先生をしていた。
おじいちゃんのことはわからない。私が生まれる前に亡くなっている。おばあちゃんはいつもおじいちゃんのことを話してくれる時、愛に溢れていた。お葬式の時用に自分の履歴書を用意していたおばあちゃん。『おじいちゃんと結婚できて幸せでした。』と生い立ちで司会者の方が読み上げていた。

追伸

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?