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壊れたレコード

読み取れなくなったレコード。 傷ついたものは元に戻らない。 聴きたかった音も聴けなくなってしまった。 肉体の怪我は、だいたいが元に戻る。リハビリを要するような、神…

湊
1か月前

スリップ

アイディアはある。 しかしそれを形にすることは、容易とは言えない。 たびたび書き足すものがあるか、削るものがあるか吟味する。 ハッとさせられるアイディア、あるいは…

湊
3か月前
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川を辿ったら何があるのか

最近、急に暑くなった。 夏の香り、湿った空気と塩素や花たちだろうか、例え難い独特な空気が広がっている。 それを感じてからというもの、夏の思い出をいくつか思い出し…

湊
4か月前
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幻想の響き

お経が聞こえる。 声は一定のトーンとリズムで、言葉と言葉の区切りとして間を挟んでいる。 お経というのは日本語らしからぬもので、ある種詠唱のようにも感じる。 外の…

湊
4か月前
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壊れたレコード

読み取れなくなったレコード。
傷ついたものは元に戻らない。
聴きたかった音も聴けなくなってしまった。

肉体の怪我は、だいたいが元に戻る。リハビリを要するような、神経の損傷や大規模な筋肉の損傷がなければおおよそ戻る。
精神はどうだろうか。
これは案外元に戻らないと言われている。

私は精神を大きく壊した。
そして現在進行形で壊しているところだ。
金銭的問題、肉体の脆弱さ、タスクの多さ、人間の愚かさ

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スリップ

アイディアはある。
しかしそれを形にすることは、容易とは言えない。
たびたび書き足すものがあるか、削るものがあるか吟味する。
ハッとさせられるアイディア、あるいは展開の技法が欲しい。

古来から伝わる展開の技法にモチーフを使用すると言うのがある。
中にはこれが使いにくいこともあるし、使わないものもある。
一向に書けない中、取っ掛かりをも求めている。

今日で筆を折るとなったら、それは明日が来ない時

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川を辿ったら何があるのか

最近、急に暑くなった。
夏の香り、湿った空気と塩素や花たちだろうか、例え難い独特な空気が広がっている。

それを感じてからというもの、夏の思い出をいくつか思い出した。
中学校の吹奏楽部で出場した吹奏楽コンクール、片想いしていた後輩のこと、初めてできた恋人に振られた高校時代、友だちと2人で飲んだ夜の愚痴、なんだかんだで夏が一番思い出深い季節だと思う。
そして記憶に無い、理想、あるいは空想の夏というの

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幻想の響き

お経が聞こえる。

声は一定のトーンとリズムで、言葉と言葉の区切りとして間を挟んでいる。
お経というのは日本語らしからぬもので、ある種詠唱のようにも感じる。

外の音が遠ざかる。眠気が強いせいもあるのだろうか。

次第にお経は複製されて繰り返され重なっていく。
そして別な音が近づいてきた。あるいはこちらが近づいているのかもしれない。

ふと風を感じ目を開けると、そこには幻想的な極彩色の景色が広がっ

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