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歴史小説だと思ったら専門書に近かった本【徒然読書44】

大学時代、歴史の講義で言われたことがあります。

「永井路子」の歴史小説を読むといい。

その時の私は歴史小説に興味がなくて、図書館で少し目を通しただけで読みませんでした。

最近ふとその言葉が繰り返し思い出されるようになったのです。

本屋で探してみましたが、何しろ出版年が30年前とか古いからなかなかない。

そこでたまたま見つかったこの本を読んでみました。

率直に感想を言うと好みが分かれると思います。

著者の影を完全に排除された世界が好きならば、合わないかもしれません。

それぐらい史料に則して著者の考えが明確に現れています。

だから、ビジネス書というか著者目線での歴史を楽しむスタンスがいいと思います。

逆に『名君の碑』は著者の意向が入らず(主人公である保科正之を善としている立場は揺るぎないですが)、小説として登場人物を動かしているような印象です。

語る時に自我をどう扱うか。

普段のコミュニケーションに言えるなあと思いつつ違いを楽しみながら読みました。

脱線しましたが、こうして大学時代の課題というか宿題を果たしたのです。

なるほどこの書き方であれば歴史専攻の学生に勧める。

正しい正しくないとは別として論の組み方の基本を知ることができそうな気がする。

もちろん論文となると史実とイマジネーションのバランスを考えなければならないが…

私としてはわくわくしました。

最澄と桓武天皇の両方の立場を歴史の潮流に合わせながら紐解いていく。

そのスタンスが面白くて、他の本もポチったほどです。

Kindleだと永井路子さんの本がほぼ無料!!

今回は内容と言うよりは書き方に重きを置いてしまいましたが、また面白い歴史小説に出会えれば紹介していきたいと思います。