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旅行は近場で楽しむ。逆境で原点回帰した星野リゾートのPR

旅行にいきたいな。
毎日家にいることにあまり抵抗感なく過ごしているけれど、それでも思いっきり違う環境で羽を伸ばしたいって思う。

イメージはもうできている。
高原で、木漏れ日の中、ガツンとあったかい温泉につかり、ひたすらボーッとする。
触れるとかぶれそうな山の緑の濃い匂いを嗅いで、夜のご馳走を想うのだ。
日に焼けちゃうなとか、そういうのは忘れておこう。

コロナの大きな影響を受けている旅行業界。
政府の大型支援策も動き出すだろうが、治療薬やワクチンはいつできるのか、とか、先行きが見えない中、これまで通りにはいかないだろうことは多くの人が感じている。

ほら もうこんなにも新しい日常。
(あいみょんの「ほら もうこんなにも・・・」(ハルノヒ)って誰か気づいてくれるだろうか)

そんな中、観光業界の話題で最近よく耳にするのが「マイクロツーリズム」。ようは、旅行は近場で楽しもう、というこれからの旅行のあり方だ。

業界のドンたる(勝手にすみません)星野リゾートの星野さんがたくさんのメディアで発信している。

いち消費者としても、広報PRを生業としている身としても、大変気になってしまった。
「マイクロツーリズム」というキーワードでの徹底した発信が、業界を牽引し、一つの希望をつくっている。
そのポイントを以下に挙げておく。

1)スピード感のあるマーケットへの提案力

日本において、「マイクロツーリズム」はこのコロナ下で星野リゾートの発信によって浸透し始めたと思われる。
少なくとも、去年そのキーワードはメディアでほとんど報じられていなかった。

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Google Trendsで調べても、ここ最近で検索数が上昇していることがわかる。

星野リゾートの思想の中に、このキーワードに繋がるテーマが元々あったのかもしれないが、このスピード感で業界の今後を導くだろう提案を出せる企業は多くないだろう。
先行きが不透明で急速な変化が当たり前の世の中で、こういった対応力がますます重要となっている。

2)原点回帰ともいえるストーリーの含有

星野氏はインタビューで、旅行業界の今後の可能性と「マイクロツーリズム」の原点的な思想として、少し前までの日本の旅館のあり方について述べていた。
移動手段が発達するにつれ、旅行は遠出をするものになり、今、旅館が迎え入れるのは遠方の人たちが主である。

だが、昔、旅館は地元近隣の人たちにとっての特別な場であった。
だからこそ、山の旅館では必ずしも特産物ではない海の幸がでて、近所からやってくる宿泊者に非日常を提供していたのだと。

「マイクロツーリズム」は単に新しい旅行のあり方ではなく、旅行、というのものを振り返った時に、これまでにあった価値を再発掘するものになるだろう。

エコロジーの観点からも、地産地消は食材から電力(マイクログリッド)まで広がっている。
最近はセレブのジェット機の利用が批判され、ヨーロッパでは「飛び恥」という言葉が生まれ、エネルギー消費の多い飛行機ではなく電車での移動の意識が高くなりつつあった。

コロナがなかったとしても、旅行業界にマイクロツーリズムの流れが来るのも時間の問題だったかもしれず、今回はその流れが一気に来たと言えるのかもしれない。

3)専門メディアから海外メディアまでインパクトをうむ発信量

今回、私が「マイクロツーリズム」という言葉を気にするようになったのは、知人との会話の中にその単語が出てきて、その後自分自身も報道で目にするようになったからだ。

実際に調べてみると、トラベルボイスなど旅行系メディアから、ロイター通信、その他ウェブメディアやテレビなど、本当にありとあらゆるメディアで記事が出ていた。

星野リゾート代表に「18か月の生き残り戦略」を聞いてきた、「マイクロツーリズム」から「特殊な旅行需要」への対応まで

〔コロナ後の日本〕需要回復は地元から、旅館は「3密回避」=星野リゾート代表

その量たるや圧巻と言わざるをえない。しかもタイミングをほぼ同じくしてだ。当然、取材を待っているだけの姿勢では形にできない露出の量であり、同社の広報部の活躍に心から感服した。
この舞台裏については、ぜひ広報部にお話を聞かせていただきたいです。

多くの人が、インバウンドはこの先続き、拡大すると信じていたが、コロナによって流れが突然変わり、一過性のものとして終わってしまったのかもしれない。
今後、マイクロツーリズムが旅行業界の一つのあり方を作っていくのか、それともコロナ下における特殊需要となってしまうのか、それはまだわからない。ただし消費者である私たちも、持続的な経済のあり方を模索していく中で、価値を育てていくという視点を持っていきたいと思う。

ということで、私も早速マイクロツーリズム をしてみたくなった。
千葉県に住み、東京に会社がある身としては、東京のホテルの方が、千葉県の海辺よりも圧倒的に近いのけど、マイクロツーリズムってどのくらいの範囲かな。
やはり、せっかくだから千葉県の中でこれまで行ったことのないエリアへ足を運ぶか、もしくは都内で少しだけ贅沢してやるぞ、と思っている。

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