《17》アドベンチャーワールドの事例
業界別のSDGs事例紹介。
今回は和歌山県白浜町にある「アドベンチャーワールド」の事例をお伝えします。
運営主体の㈱アワーズは2018年4月、開園40周年を機に新たな価値創造を目指して、「人間(ひと)と動物と自然とのふれあい」を受け継いだ新たなパークテーマとして「こころにスマイル 未来創造パーク」を生み出しました。そして、20年にはSDGsが目指すWell―being(よりよく生きる)を世界中の仲間たちとともに追求し、Smile(=しあわせ)があふれる明るい豊かな社会を創造していくという「アワーズSDGs宣言」を行いました。
同社はSDGs推進に向けた様々な取り組みを実施しています。例えば、ユニバーサルデザイン(※)のコンサルティングを行う㈱ミライロの協力を得て、障害のある方の視点でパークを調査し、バリアフリー情報を集約した「バリアフリーガイド」を制作、導入。
レストランではフードピクトを掲載し、アレルギーやベジタリアン、宗教上の理由で食べられないものがあるゲストにも正確な情報を提供し、だれもが安心して楽しみ方を選択できる多様性あふれるパークを目指しています。
また、障害のある子どもとその家族を動物園や水族館に招待し、気兼ねなく楽しいひと時を過ごしてもらう「ドリームナイト・アット・ザ・ズー」という国際的なプログラムに賛同し、17年から毎年開催して19年には484組2079名が参加しました。
「循環型パーク」の取り組み例としては、里山を荒廃させる竹を伐採し、ジャイアントパンダの食事として活用することで里山の環境を守りつつ、これまで廃棄していたジャイアントパンダが食べない竹幹や食べ残した竹、糞(ふん)を有効資源としてアップサイクルを推進。
また、ゾウやキリンなど草食動物の糞をパークの堆肥(たいひ)場で発酵させ、年間120トン堆肥を製造し、近隣の農家やゲストに販売するだけでなく、この堆肥を使ってパーク内で野菜を栽培し、社員食堂で新鮮な野菜を提供しています。
更には、女性が子育てをしながら安心して働く選択ができるように、18年に企業内保育園を開園。開園以前は出産育児をきっかけに退職を選ぶ女性が多く見られましたが、開園後に出産したほとんどの方が保育園を利用し、それぞれの職場で活躍しています。
このように、もともと「多消費」のイメージがあるテーマパークでも様々な角度から取り組みを実践することで、循環型の仕組みをつくり、顧客・従業員の更なる幸せに寄与できるという好事例だと考えます。皆さんも今後行く機会があれば、ぜひいつもと違う視点でアドベンチャーワールドを楽しんでみてはいかがでしょうか。
(※注釈)ユニバーサルデザイン・・・年齢、性別、文化、身体の状況などにかかわらず、最初から誰もが利用しやすく暮らしやすい社会となるように製品や建物、環境をデザインする考え方のこと。
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