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Turn.15『営団の美に酔う』

 令和になってもこんな車両が走行していた事には、現在でも軽い衝撃を感じます。
 令和5年の1月頃に引退した、長野電鉄3500系です。
 この車両の元を辿ると、営団地下鉄日比谷線の3000形となり、日比谷線が開業したばかりの『初代』の車両という事になります。
 登場は昭和36年で、長野電鉄時代まで含めて計算すると実に62年もの歳月走った事になります。
 当初は日比谷線の方に車長制限があったので、車両としては一回り小さい18m級の車両として登場しますが、平成元年以降には主役の座を新型車両の03系に譲った上で日比谷線からは撤退してしまいます。
 それ以降は一部の車両が長野電鉄に譲渡され、信州の四季の中を駆け抜ける暮らしを送っていました。
 長野電鉄では信州中野〜湯田中。そして屋代線に木島線で活躍しました。
 ちなみにこの車両が退役してしまったので、長野電鉄で屋代線・木島線を知る現役の車両はもう存在しません。長野電鉄にとっても、何処か歴史的な車両が引退した事になります。
 この車両を知ったのは幼少期の図鑑だったように記憶していますが、この車両の現役時代を本格的に見てみたいと思ったのは社会人に進出してからの話になります。
 令和2年以降の夏に、個人的な話にはなりますが
 吉田拓郎/地下鉄にのって…
という楽曲に影響され、『昭和の地下鉄』を色濃く残すこの車両を撮影したくなったのでした。
 実際の楽曲では、丸ノ内線に乗車しているカップルの話を描いているのですが何故かその歌の情景に近いと思ったのはこの車両でした。
 窓を開けて地下線内を駆け、走行音がモロに吹き抜ける車内。
 会話すらできない勢いで車内が煩い地下鉄は過去の情景になろうとしていますが、どうしても長野電鉄の昭和な地下風景も相まってこの歌が結びついたのかもしれません。
 写真はそんな3500系のサヨナラ企画の一瞬を長野駅で撮影した様子。
 頭端駅ではありますが、地下駅に輝く営団メイクな車両の美しさは忘れられないものになりました。

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