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新しい図書館のかたちって、どんなだろう?

図書館の仕事にたずさわり半年がたちました。図書館について知らないこと、学ばなければいけないことが、まだまだたくさんあります。図書館に関わるほど、図書館には本を貸し出すだけではない、重要な役割があるのではないか。そしてそこには地域課題に向き合うための大きなポテンシャルがあるのではないかと日々強く思っています。さて、これからの図書館はどのような役割を担っていけばいいのでしょうか。

県立図書館や市町村の図書館、私設の図書館など規模や役割は様々ですが、なにかのヒントになればと、休みの日や夏季休暇などをつかって各地の図書館をめぐっています。

まずは県立図書館など、地域の中心部にある規模の大きな図書館の中で、特に本の貸出以外の先進的な実践を行っており、さまざまな方法で「情報」を扱っている図書館をご紹介します。ひとつずつ掘り下げていくと超長文になってしまうので、それぞれ特に気になったポイントについて書いていきます。

みんなの森ぎふメディアコスモス

岐阜県にある「みんなの森ぎふメディアコスモス」は、1階にギャラリーやホール、市民・多文化交流センターやスターバックスなどがあり、2階に岐阜市立中央図書館がある複合文化施設。印象的な天井や傘など独創的な建築(写真右上)と、それに負けないくらい面白そうなイベント等のコンテンツや情報発信が特徴的です。特にシビックプライドプレイス(写真左下)は、周辺地域のヒトや歴史などの文化的情報資源を活用して観光やまち歩きの情報ステーションとなっています。また地域として、図書館としてみんなで子ども育むため「子どもの声は未来の声」というメッセージを掲げています。

県立長野図書館

1979年に建てられた県立図書館の3階が、2019年に「信州・まなびラボ」としてリノベーションされました。六角形の信州探索ゾーン(写真左下)には信濃図書館時代の古い本がずらりと並び、その外側には現代の長野県に関する本があるので長野県について知ることができます。モノコトベースには佐川町の「さかわ発明ラボ」のようにレーザーカッターや3Dプリンターなどが置いてあるものづくりエリアがあり、定期的にものづくりワークショップが開かれているそうです。そしてそれらをつなぐ真ん中の Co-Learning ゾーンでは平日にも関わらず、様々な年代の人が学んだり話したりしていました。それぞれのエリアに大きな仕切りはなく、活用目的が異なるエリアが共存しています。それは2階の一般図書のスペースも同じで、音や空間に対するゆるやかなルール(写真右下)によって運営されていました。ちなみに、長野県では「デジとしょ信州」という市町村と県による協働電子図書館の運営も行なっており、長野県民であればだれでも、いつでも、どこからでも電子書籍の貸出サービスを使えるそう。長野県民は Kindle Unlimited いらないじゃないの。

YCAM(山口市立中央図書館)

山口市立中央図書館には、映画館やレストランのほか、山口情報芸術センター(YCAM)が併設しています。YCAMは2003年に開館したメディアやテクノロジーを活用して芸術や情報への先端的なアプローチを行っているアートセンターです。通り過ぎてしまう日常やこれまでの体験、自分の常識について、一度立ち止まって考えさせ、新しい感覚が開くような企画や展示を開催しています。国内外のアーティストと協働でプロジェクトを実施したり、町中での活動や、教育事業なども積極的に行っています。図書館との共同の広いエントランスに企画や展示があるので立ち止まって体験することができます。図書館内は天窓からの採光が心地よく、とても落ち着いた雰囲気。Jリーグのレノファ山口の特設コーナーが少なくないスペースで展開されています。「このまちにはレノファがある。」のキャッチコピー素敵です。しびれます。我々、佐川町の近隣にも高知ファイティングドッグスや高知ユナイテッドSC(祝!Jリーグライセンス取得)などのスポーツチームがあるのでぜひ連携していきたいところです。

これからの図書館のかたち

今回訪れたこれらの図書館は、本に限らず多様な媒体を使い、様々な方法を模索しながら情報を人に伝える取り組みを実践していました。それぞれの地域性やリソースによりやれることは違いますし、市町村の図書館との規模の違いはありますが、参考にできることがたくさんあります。「情報」だけを伝えるのではなく、それらをつなげる物語を自分たちで紡いでいかなくてはなりません。地域にはたくさんの物語が潜んでいます。歴史、伝承、近所の話などに価値があります。

佐川町町立図書館の「学び合いスタジオ」では、その物語を皆さんに届けられるような活動をしていけたらいいと思っていっています。情報の収集だけではなく、自分たちで情報の生成をしていくこと。そこで紡いでいく物語がその図書館らしさ、そして地域らしさにつながっていくのではないでしょうか。未来について考えるためには「それって図書館の役割なの?」って言われるくらいのことをやることも、ときには必要かもしれません。未来について考えるためのきっかけと手がかりがあるような図書館をかたちをつくっていけたらと思います。


みんなでわいわい!図書館活動スタートイベント

これから先の図書館の在り方、『市民は図書館とどのように向き合えばいいのか、また、社会のなかで図書館をどのように機能させることがいいのか』を考え続けている嶋田学氏をお迎えし、12月開館の佐川町立図書館の活動について考えるイベントを開催します。

講師:講師:嶋⽥ 学⽒(京都橘⼤学 教授)
日時:2024年10月13日(土)10:00 - 12:00
場所:佐川町総合文化センター 2F 大研修室
申込:こちらのgoole form にて


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