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「秋風ロマンス」(モノローグドラマ008)

■人物
女子
男子
(前半パートは女子、後半パートが男子のモノローグになっています)

一人二役で語ってみてもよいかな、と思っています。

■本編
女子「秋の風って、木の葉を散らす、どこか寂しく切ないものだと思っていました。でも、あなたと付き合うようになって、世界の見え方は全くひっくり返ってしまったのです!」

女子「私が寒い寒いとばかり言っていたせいでしょうか。あなたは私にマフラーをプレゼントしてくれました。そのマフラーはとってもふわふわで暖かな、赤いマフラーでした」

女子「私はまだマフラーの季節にははやいよ、と言ったのですが、あなたは風邪をひいたらいけないからと、グルグルと赤いマフラーを巻いてくれました」

女子「秋の風が冷たくなればなるほど、木の葉が散れば散るほどに、マフラーは暖かくて、それはなんだかあなたの優しいぬくもりのようで、なんだか、あなたをより愛おしく感じるのです」

女子「寒くて冷たいのに、優して暖いものがあるなんて、この世界にはまだまだ私の知らないことがいっぱいのようです!」

男子「君に赤いマフラーをプレゼントした。君は気に入ってくれたみたいでデートの時は必ず身につけてきてくれた」

男子「僕たちのデートはたいてい、てくてく街歩きだ。知らない世界を知るのが好きだと言った君のあとを僕はいつもついて回っている」

男子「早歩きの君と、ちょっと歩くのが遅い僕。でも、僕は少し遅いくらいがちょうどいいと思ってる。だって、君が、新しい世界に出会った瞬間の驚きや喜びを、振り返って僕に伝えてくれる瞬間が何より楽しみだから。そしてその時の君の笑顔をカメラに収めるのが僕の役目だ」

男子「そうして、赤いマフラーをトレードマークにした君と、カメラを持った僕は、今日もてくてくと街を歩くんだ」
              (おしまい)


今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。