スクリャービン

大学院生/以前書いた未完の小説を中心に更新していきます

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マガジン

  • 狂乱のマリオネット

    両手にナイフをもった操り人形が繰り広げる物語。骨董屋のショーウィンドウに閉じ込められてしまった彼はどのように生き、どのように自滅するのか。順序は上から章立てしております。

最近の記事

noteとSEO(テスト)

SEO効果を確かめるためのテスト用コンテンツ。 まずは目次が作れるかどうかをチェック。 1. noteを再開する理由 2. noteを使ってできることああああ 2-1. その1 あいうえお 2-2. その2

    • テスト用。 昨日で長期インターンを卒業した。(事実上業務はもう少し続くが...) 今日から数日は引越し準備を頑張ろう。 あと内定先の英語試験を受けなきゃいけない。数ヶ月ほぼ全く英語に触れてこなかったからどうなるだろう。まあ、低いクラスからでも全く問題はないだろう。

      • マリオネットの冒険 〜闇と光を生きること

        絶えることなく内側を駆け巡る思考からマリオネットを連れ戻すのは、またもショーウィンドウの外での出来事であった。夜の闇が訪れたのだ。 彼は外の明かりが少しずつ暗くなっていくのを感じた。パッサージュ中の店はもうとっくに閉まっていたが、店の照明はまだついたままであったものが、ひとつまたひとつと消されていくのが見えた。パッサージュの道の両脇の街灯も向こう端から一つずつ消えていき、代わりに黒くなっていく様子が見えた。人が夜闇と呼ぶものが迫ってきて、じきにショーウィンドウの世界にも訪れて

        • マリオネットの冒険 〜もうひとつの人形

          そのときマリオネットは、自らが愛を知らない道化でしかないということを理解した。しかし同時に、彼はこの考えを誰かに自慢したくなった。変えることのとできない過去に対する考察が生み出す絶望は、いみじくも正しく力強いものだ。自分がいつの日かショーウィンドウから消えて無くなるまで、光の注がれる時は途方もなく続くかのように思われる。自分は電灯の眩しさと熱さ、締め付けるような頭の疲れに耐えて、この精確な思考をさらに深めなければなるまい。 「ここに同志はいないか」 自分の宿命を見届けるものは

        noteとSEO(テスト)

        • テスト用。 昨日で長期インターンを卒業した。(事実上業務はもう少し続くが...) 今日から数日は引越し準備を頑張ろう。 あと内定先の英語試験を受けなきゃいけない。数ヶ月ほぼ全く英語に触れてこなかったからどうなるだろう。まあ、低いクラスからでも全く問題はないだろう。

        • マリオネットの冒険 〜闇と光を生きること

        • マリオネットの冒険 〜もうひとつの人形

        マガジン

        • 狂乱のマリオネット
          12本

        記事

          マリオネットの冒険〜壊れたオルゴール

          かくしてマリオネットは、世界の秘密を暴く冒険を始めた。 まずマリオネットは、まだ音の鳴り止まないオルゴールと向き合った。蓋を開けると、眩しく輝く黄金色のゼンマイと幾多の歯車が組み合って動くカラクリが見えた。彼は目の前のオルゴールの全ての部品の意味を知りたいと考えた。マリオネットが歯車と歯車の間にナイフを差し込むと回転が止まり、音がピタリと止んだ。ナイフをてこのように動かすと大小の歯車外れ飛び散ったかと思うと、カラカラと音を立てて転がり、マリオネットの隣で倒れて止まった。ネジを

          マリオネットの冒険〜壊れたオルゴール

          マリオネットの考察 〜「売りもの」の宿命

          その時、ショーウィンドウの外から革靴の足音が近づいてくるのが聞こえた。マリオネットはとっさに体を正面に向けて首をうなだれ、右手を上げた。 今を忘れるほど考えることはあるか。あるいは、考えることをやめた時に再び見えてくるものが生きるべき今の世界なのか。マリオネットを思考から抜け出させたのは、ショーウィンドウの外の人間であった。その日最後の骨董屋の客である初老の男は、ガラス越しに時計を指差して言った。 「主人、今日は時計を動かしているのかい。三日前までは針は止まっていたような気が

          マリオネットの考察 〜「売りもの」の宿命

          マリオネットの冒険 〜時計とオルゴールと

          マリオネットは、ショーウィンドウに飾られた一つひとつの売り物に近づいた。呼び名も知らないひとつひとつに、虚勢を張って語りかけた。 「『君たち』は、何のためのものなのか。君らだけにできるのは何なのか」 まず時計に近づいた。正確には、それが時計であるとはマリオネットには分からない。丸いもの。立ち上がった自分の腰よりも少しだけ背が低く、平らな面の中央で三本の針が束ねられている。二本は細長く、そのうちの一本はとりわけ長く、もう一本は短く中央が太くなっている。うしろには鍵のようなものが

          マリオネットの冒険 〜時計とオルゴールと

          マリオネットの冒険 〜自由の目覚め

          日が沈んでも、照明はさらに明るく輝いてショーウィンドウを照らした。外の夜道は薄暗く、ショーウィンドウのガラスは鏡のように光を反射して、通行人の姿は見えづらくなった。 マリオネットは、光のある限り思考を続けてしまう生き物だった。なおもマリオネットの思考は止まらず、ガラスに映る自分の姿と周りの売り物を見比べた。 なぜ自分は注目を失ったのか。答えを得るためには周りの事物との違いを知る必要と願望がある。いや、「見る」というだけでは足りない。少なくとも、今のまま両腕を吊るされて壁に寄り

          マリオネットの冒険 〜自由の目覚め

          マリオネットの冒険 〜自我の目覚め

          黄色のまばゆいばかりの照明が顔を照らし、操り人形の性(さが)というべき本能を呼び起こした。 「さあ、踊りの時間だ」 ぴんと張る力が糸を伝わり、腕から背中へ、首へ足先へと流れ、マリオネットを動かそうとした。しかし、腕の糸を固定されたマリオネットはただ天井からぶら下がるばかりで動かず、力は全身をぐるぐると巡った。運動に変換されず行き場を失ったエネルギーが頭に集められ、顔中の器官を繋ぎ合わせた。 ついに、それは問いかけとなり、彼の意識の扉を叩いた。マリオネットの思考が目覚めた。

          マリオネットの冒険 〜自我の目覚め

          マリオネットの回想録 〜骨董屋で

          月はすっかり西の山々の尾根に重なって空はひどく暗くなった。と同時に、数多くの1等星、2等星、3等星は天球上に蘇った。 マリオネットと時計は親友だ。プラハの骨董屋のショーウィンドゥで出会った瞬間から、決まっていたようなものだ。 「そこでだ」マリオネットからの提案である。「骨董屋で僕らの間に起きたこと、その他君が諸々目にしたものをすべて、ここにいいるモノたちに説いてほしい」 私は勿論正確に考えることは得意だ。しかしこれからマリオネットが引き起こす様々な言動、それが奇怪であれ正義で

          マリオネットの回想録 〜骨董屋で

          マリオネットの回想録 〜劇場時代

          月はさらに傾いて、西の山の陰に隠れるくらいになると、月の光は小屋の古い漆喰の壁を照らすばかりで、マリオネットや私などのがらくたたちは壁に反射する微かな光にうつる格好となった。 このときマリオネットは不思議なくらいに落ち着いていた。 「やっぱりそうだった。あかるい光は、今の僕にとっては毒なんだよ。考えすぎて胸が苦しくなったり頭が痛くなったりする。劇場で踊った時も、骨董屋のショーウィンドウの中で狂っていた時も両方、眩しい照明にさらされていたんだ。ここに目のついた人形やレンズのつ

          マリオネットの回想録 〜劇場時代

          プロローグ 〜月の光

          満月の夜のことだった。アルプスの麓の混じり気のないそよ風に揺られ、青い草の光沢はまるでさざ波のように、丘の向こうへ駆けていく。月の光は、物置小屋のこの小さな窓からまっすぐに光の柱を下ろした。埃をかぶって白くなってしまった木の床に、爺さんの靴の大きな跡が見えた。 私たちは、月明かりに照らされた足元を見下ろしていた。 「覚えているかい。この月よりずっと眩しくて、黄色い光が僕らを照らす世界にいたことを」 マリオネットは言った。ああ覚えているとも。となりの国の大きな街のパッサージュ

          プロローグ 〜月の光

          プロローグ 〜古い小屋の中で

          私たちは、曇った小窓がひとつしかない暗い物置の中にいた。マリオネットは私より新入りだったが、ずっとうつむいていた。彼は病人で、両腕の手首から先がなかった。隣に座っている私に微かに聞こえるようなうつろな声で、昔話をするのが常だった。 よく聞いてみれば、それは物語のようなひとつながりの話ではなくて、ひとつがひとつもっと短い小話で、まるで紙芝居を聞かせるような口調だった。 実際には行った記憶のない街のあちらこちらの風景の話、暗い部屋での夫婦のやりとり、彼が大男と一緒にしたつまらない

          プロローグ 〜古い小屋の中で

          時計の回想録

          私は時計である。もしも、人ではなく時計が、君たちの〈人生〉を語ることが許されるのだとすれば……考えていまい、時計の歩み――3つの針がなす三十螺旋構造――の正射影に、ちょうど君たちの〈人生〉の紆余曲折が描けるということを。 私は時計である。未だに分からないことがある。人は人生を語るのが好きなようだが、なぜ物語調に仕立てないと気が済まないのだろうか。それなのに、なぜ架空の物語を創作したがるのだろうか。その資格があるほど賢い人間を私は知らない。 まず物語には過程がある。始まりと終

          時計の回想録