人事トラブル相談所⑧「コロナで増産体制確保指令!連続勤務って何日間までいけるの?!~1ヶ月変形労働時間制の視点~」
人事トラブル相談所も今回で8話目となりましたね。
自己紹介でも触れていますが、ありきたりの労基法解説や判例引用のベタ貼り解説は趣味じゃないので、一切せず本当に実務で使える、使って欲しいネタをメインで書いています。
時には、こいつ何言ってんだ?とか・・・
そういう見られ方もあるかもしれませんが、それも1つの味。特色。として捉えていただけますと幸いです(*'▽')
そもそもですが・・・
本当に世の中で裁判になって、最高裁判決とかまでいって事例としてオープンになるのって・・
会社の人事で起きていることの何%なんでしょうね・・・?
大なり小なり100の事件があっても、本気で会社に噛みついて裁判起こせるのって1人いるかどうかくらいかなと思いますが。
よく昭和●●年の判決では・・って書き方見ますけど、平成JUMPまでして今はもうガースーの時代(令和)ですよ。時代錯誤もいいところじゃないのかって思うのですが、どうなんでしょうか。
これだけデジタル化とか、リモート、副業、ビズリーチし放題の世の中で・・・果たして3交代の製造業を前提とするような当時の思考をそのまま用いることが本当に正しいのでしょうかね??
急な増産体制に備える勤務シフト
コロナもワクチン接種が進み、なんとなく出口が見えてるような気もしてますが・・飲食店、航空業界、エンタメなどをはじめ、まだまだ休業に苦しむ業種もあると思います。
その一方で、製薬会社やデリバリー、ゲーム、EC販売、自動車、インテリアなどはコロナバブルといえる状況になっており、これだけ明確に差が出る状況もなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。
そんな中、とある知り合いのオーナー社長から連絡があり・・
「コロナで商品生産が間に合わないから、一時的に増産体制を敷きたい。
通常勤務では無理なのでリソース開放して集約できる形にしたいんだけど・・」と悩んでいる様子でした。
もちろんですが、トラブルような事をしたいわけではなく、あくまでも合法的に・・・という意味です。
多分この手の話って、コロナに限らずにありますよね。
お中元、お歳暮、クリスマス時期など・・。
前回は、1年間という枠組みで少し触れましたがもう少し短期間に絞って見て行きたいと思います。
1ヶ月単位の変形労働時間制
以前も他の記事で触れてますが、変形労働時間制っていうのは端的に言うと・・・
「通常の勤怠管理よりも枠を広げてあげるから、その中で労働時間や休日の帳尻を合わせておいてくれればいいよ」
1ヶ月変形は、その名の通り「1ヶ月」という枠の中で、繁閑に応じて変化させることを許容されている制度です。
企業で考えると、経理部などが月末、月初の繁忙に合わせて1日の労働時間を上げたり、下げたりするイメージでしょうかね。
(例:月末/月初 1日10時間 その他/6時間 など)
1ヶ月変形の大きな特徴としては、下記となります。
(1)「連続勤務についての縛りがない」
(2)「1日あたりの労働時間の上限(下限)がない」
(3)「暦日数により上限時間が決まっている」
これを都合良く解釈して裏をとってみると・・・こんな感じでしょうかね。
(1)「何連続勤務でも可能(他の条件を遵守前提)」
(2)「1日14時間でも4時間でも自由に設計可能」
(3)「上限時間の枠内で結果落ち着けば中身は問われない」
この制度ってすごくフレキシブルで使い勝手がいいと個人的には思っております。
運用方法
さて、制度についてはこのくらいにしておき、肝心の運用方法についてですが・・・
オーナ-社長が言うように「リソース開放して集約できる形」とは連続勤務が如何にできるのか・・となります。
1日あたりの労働時間をどう設計するかに異なってきますが・・・
一般的な働き方に近いものとして「7時間」とすると・・・
連続勤務は「24日間」まで可能となります。
休日の大原則である「1週1休」または「4週4休」を利用(ここでは後者)して、かつ、1ヶ月変形労働の枠(暦日数31日の場合は177.1時間)に収める形であれば理論上は可能です(下記図表参照)
1年変形労働時間制の場合は、通常連続勤務は「6日」までとなり、特定期間というものを利用しても最大「12日」となります。
こうしてみると、やはり1ヶ月変形労働時間制の使い勝手の良さはよくわかるかと思います。
なお、労働条件変更などの各論を入れすぎると話が進まないため、ここでは一旦入れない前提としています。
さいごに
24連勤が可能とは記載しましたが、あくまでも法に則ったお話をしているだけで全面的に推奨をしているというものではありません。
4週4休はいわゆる例外的な位置づけであり、また休日の偏りによる弊害などが無いわけではありません。
企業が安全配慮義務を履行するのは当然のことでもありますが、一方で企業は常に外部環境リスクにも晒されていることを考える必要はあります。
あるべき論だけを持ってくると、逸脱したようにも見えますが企業が倒れたら雇用も無くなります。世の中には週休二日制を敷きつつも長時間残業が常態化して労災事故が起きている会社もありますが、どちらが黒なんでしょうか。
一時的な負荷だけを見て、労働環境が不適切だ、勤怠管理がグレーだ、ということは簡単ですが、本当に企業が存続するために何を考えて、どう実行するのか・・という視点が人事にも外部顧問にも欲しいですよね。
法律では・・判例では・・を先に持ってきて物事考え出すと、冒頭で述べたようなガラパゴス化が進んでしまいます。
大事なのは、その時々に取るべき最善の方法をしっかり検証して、法令遵守をしつつ、利益の最大化を目指す。ということではないでしょうか。
それでも何か言われたら、この人みたいに開き直るしかないですね・・・
「不適切だけど、違法じゃない」って・・・・(∩´∀`)∩
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