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大学でどんな研究をしているの?~有機化学編~

こんにちは!東北大学サイエンス・エンジェル (SA)の小都です。

 今回は有機化学の研究室に所属している筆者がどんな研究をしているのか、実際に紹介していきたいと思います。
 皆さんに少しでも、大学の研究の雰囲気が伝わるといいなと思っています!

有機化学って何? 

「有機化学」という言葉は日常生活ではなかなか聞き慣れない言葉ですよね。高校生になると、化学の授業で習い始めるので、そこで初めて聞く方も多いかもしれません。
「有機化学」とは、有機化合物を用いている分野です。有機化合物とは、炭素を含む化合物のことを言い、そのほか、水素や窒素、酸素やフッ素など、様々な元素が含まれています。私たちを形作っているほとんどすべての分子(タンパク質、酵素、ビタミン、脂質、炭水化物、DNA、RNA)なども、有機化合物なんです。意外と身近にあることが分かりますよね! 

 有機化合物を合成したものは、一般にも広く用いられています。 例えばペットボトル。この原料は、ポリエチレンテレフタラートと呼ばれる左下の形をした化合物からできています。ラベルを見ると、このようにPETと書かれていると思いますが、これは、ポリエチレンテレフタラートから省略したものであり、ペットボトルの名前の由来になっています。 

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また、ジーパンをはく人も多いと思いますが、ジーパンというのは、こちらのインディゴと呼ばれる青い化合物染料として用いているため、紺色になっています。水で洗っても、色落ちしないのは、こちらの化合物が水に溶けにくい性質を持っているからです。化合物の特性を活かして利用されているんですね。

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また、柑橘系の果物さっぱりとした香りがすると思いますが、これは、こちらのリモネンと呼ばれる化合物が含まれているためです。     

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このように、私たちの生活でも身近なところに有機化合物は存在しています。

どんな研究をしているの? 

その中でも、私が所属している薬学部では、医薬品に含まれる化合物に着目している研究室が多いです。医薬品の多くは、有機化学を利用して創られています。 料理を作るのに、複数の調理が必要であるのと同じように、医薬品を創るためには、多くの反応が必要となります。  

私の研究室では、1つの反応に着目して、新たな反応を開発する研究をしています。 過去に知られている反応の中にも、デメリットがあります。そのデメリットを改善するため、より良い反応を開発する必要があります。
実際に現在私が取り組んでいる反応では、以下のような問題点がありました。

従来の反応のデメリット
・収率が低い
・取り扱いが危険な試薬を用いている
・用いる試薬が高価である              など

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新しい反応の開発
・収率がよい
・安全で操作が簡便である
・用いる試薬が安価である              など

このようにして、新しい反応を開発し、従来の課題を解決しています。

これまで難しい説明をしてきましたが、実際に研究室で行っているのは、複数の物質を混ぜたり、複数の物質を分離したりといった作業の繰り返しです。 この繰り返しにより新たな反応を開発することで、新しい薬を創ることや、薬の値段を安くすることが可能となります。 

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地道な実験を行う中で、新しい発見ができる楽しさが有機化学にはあります! 

 この記事を通して、皆さんに有機化学が意外と身近に存在していることを知っていただけたら光栄です! 記事へのコメントや質問などはこちらのフォームからお願いいたします。

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 編集後記 

実は、東北大学で有機化学をしている研究室は、理学部、工学部、農学部、薬学部と多いんです。このことからも、有機化学がいろいろな分野で活躍していることが分かりますね!(こと)

 東北大学サイエンス・エンジェル
 次世代の研究者を目指す中高校生に「こんな女性研究者もいるんだ!」「理系って楽しい!」という思いを伝えるため、2006年に結成。年度毎に学内で公募され、総長に任命された 東北大学の自然科学系10部局に所属する女子大学院生が、中学・高校での出張セミナーや科学イベントで科学の魅力と研究のおもしろさを伝えている。メンバーは宇宙・自然・ロボット・環境・ヒトや動物の身体のしくみなど、それぞれの専門分野で日々研究中。


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