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真の変化を創り出す”システム思考”におけるキーメッセージとは?

おはようございます。cokowill副代表の秋元です。
今回は10/6のイベントのレポート第二弾をお届けします!

▼以前のレポートはコチラ
プログラム1)
チームの中にいる「当事者」としてチームと関わるということ
https://note.mu/cokowill/n/n7ba6e6d771d5

6日は新しい学びをどう取り組み、広げるのか?〜チームとしての学校の在り方〜というテーマで、チームとしての学校、チームづくりについて考える場をつくらせていただきました。

<プログラム1>
・現役の先生による新しい学びの取り組みと学校というチームについて
 ゲスト:ドルトン東京学園教員 伊東佳奈美さん
     公立小学校教員 二川佳祐さん
・チームへの自分の視点を認識する(NVCのワーク)

<プログラム2>※レポートは後日公開
・チームとしての学校なるために必要なことは?
ゲスト:かえつ有明中・高等学校 副教頭 佐野和之さん
    東京大学大学院 教育学研究科
    学校教育高度化専攻教職開発コース金井達亮さん
    オーセンティックワークス株式会社
    代表取締役 中土井僚さん(「U理論」共著者)

<プログラム3>←今回はここについて書きます!
・真の変化を創り出すための「システム思考ワークショップ」
 ファシリテーター:福谷 彰鴻さん

このプログラム3では、システム思考という考え方に出会い、心の中にある問いについて、実際の演習を通して、俯瞰的に背景にある構造に目を向けてみることで改めて捉え直してみよう、という時間になります。

<プログラム3>
『学習する組織』や『学習する学校』の著者であるピーター・センゲさんに直接師事している福谷 彰鴻さんによる
”真の変化を創り出すための「システム思考ワークショップ」″

まず、福谷さんから導入として”変化”についての2つのお話をいただきました。
1つ目は、ピーター・センゲさんもよく”変化”についてお話をされるということでしたが、「人は変化に抵抗するわけではない。変えられることに、特に誰かに変えられることに抵抗する」というお話。人が人を変えようとすると問題が起こるということは、みんな体験から知っているのに、組織や学校、教育の話をするとき、究極的には人間の話をしているはずなのに、それを変えようとしていることの矛盾に気づかない。それは、対象を機械のように考えているからだという話です。
2つ目は、”変化”の熟達者は自然である。機械とは違う、生きた世界における変化というのは、敢えて何かを変えようとすることで生まれていない。既に何かが存在しているところに新しい何かを育てるときに副産物として変化が起きる。あるいは、副産物として変化が起きたように見える、ということ。
画像1この”変化”についての捉え方を心にとめながら、次は、システム思考のキーメッセージについてお話をしていただきました。
システム思考における”システム”が意味するところは、私たちが生きた存在として相互に影響しあっていることである、ということです。
決して、IT的な話ではなく、また「そういうシステムだから仕方ない!」といった管理統制の話でもなく、「私があなたに影響するのと同じくらい、あなたも私に影響するんです」ということをイメージして捉えてもらいたい。これが、システム思考における”システム”とは何ぞや?というメッセージです。

<システム思考を理解するためのキーメッセージ>
・システム思考における”システム”=私たちは相互に影響しあっている
・もし私たちが生きた存在として相互に影響しあっている中で、何か見たいものがあるならばつながりや構造に気づくことから始めよう
・問題は構造が引き起こしているのであって、自責でもなくても他責でもなくという意識が大切

次に、2つのツールについての紹介がありました。
①氷山モデルとは?
今目の前で起きている問題を”できごと”と呼び、そこにただ反応や対応していたら、根本的な解決は図れません。一体何がこのできごとを生み出しているのか、一歩下がってパターンや動向を見てみましょう。そして、一番最下層にあるシステム構造の中には、形あるもの(ルール・制度、物理的な構造、評価指標など)と形ないもの(思考、感情、行動の習慣=メンタルモデル)があります。こうした構造に目を向けるのに役立つツールが氷山モデルです。
②ループ図とは?
構造がどのようにパターンを生み出しているかを明らかにするため、相関関係、因果関係をループ図というツールで表していきます。今回は、システムが創り出す典型的な不都合を示す「システム原型」の一つである「問題のすり替わり」を使いました。

氷山モデルについて理解を深めてみるため、たとえば「参加型の授業を行いたいのに、生徒が授業中に手を挙げてくれない」という”できごと”の背景にあるシステム構造を考えてみます。ここには、どんな構造があるでしょうか?
①形あるもの=”全員が前を向いて座る教室のレイアウト”、”授業中の発言が成績に影響してしまう仕組み”、”授業時間の制約”など(ほかにもたくさんあるので考えてみてください)
②形ないもの=”教室では間違ってはいけない”、”生徒は周りと相談せずに、分かる子が答えるべき”、”すべての問いには正解がある”といったメンタルモデル(ほかにもたくさんあるはずです!)
このように、事例を通して多角的な解説を聞き、目の前にある”できごと”は、その背景にある形あるものと形ないものからの影響を大きく受けていて、”できごと”に対して対処するばかりでは決して根本的解決には至らず、背景にある構造に注意を向けない限り、持続する変化は起こり得ないということを、事例を通して理解していきました。

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その後、グループでは参加者が直面している現実の目の前にあるできごとを取り上げ、実際に「問題のすり替わり」のループ図を使って構造を掘り下げて考える演習を行ないました。
各グループでは、初めてループ図に取り組む人や何度か経験のある人もいましたが、とても活発に取り組んでいらっしゃる様子で、どんどん対話が進み、これまでと違った様々な観点から目の前にあるできごとを見つめ直してみることで、新たな可能性が生まれくることを実感していただけたようでした。

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今回は氷山モデルを理解しながらループ図のワークの演習を行いましたが、氷山モデルを理解し、ループ図を描けるようになればシステム思考が身に付けられたということでもなく、ループ図はあくまでツールであり、チームで問題に向き合うときに、多角的に考え、問題解決の糸口を見つけるために対話するために日常的に使う習慣を手に入れることが大切とのことです。
最後に、今日体験したことを実際に現実の中で行動に移すにあたって、福谷さんから、内なるリーダーシップのお話をプレゼントしていただきました。
Leadという言葉は「分水嶺を超える」「コンフォートゾーンを超えて自分にとって無防備になる未知の世界に踏み出すこと」が語源です。今まで向き合ったことのない難しい相手や課題に対して、今までやったことのない違うことをするときなどに感じる気持ち悪さ、やりにくさ、辛さを越えて、現状を変えていくために一歩踏み出すには、一人ひとりの中のリーダーシップが必要です。より良い未来を目指す私たちの一人ひとりが、ともに学び合う仲間と協力し、自分自身のリーダーシップを見つけていければと願ってやみません。

なお、今回イベントに参加したかったけれどできなかった!という方へのお知らせです。

11/24(日)9:30-14:30 IID世田谷ものづくり学校
\チームを考える学校/
なぜ、新しい取り組みはうまくいったり、いかなかったりするのか? 〜明日から学校や教室で活かせるシステム思考〜
https://cokowill20191124.peatix.com/

このイベントでは、上記のプログラム3で取り組んだループ図を書いてみることを10/6のイベントより時間を長めに取って取り組んでいきます。
実際に学校で起きている出来事を扱いながら、参加者の皆さんで対話しながらループ図を書いていきます。先生はもちろんのこと、学校教育に興味がある社会人の方や、保護者のみなさんもぜひご参加ください!

そして、いよいよチームを考える学校の受付もスタートしました。こちらについても改めてnoteに書きますが、6日のイベントの内容で語られたことを先生自身が実践者として取り組むために必要な学びや実践を私たちがともにさせてもらいながら進めていくプログラムです。何か気になる!という方はぜひホームページをご確認いただき、エントリーからお申し込みください。

では、また次回の投稿でお会いしましょう!

よろしければサポートをお願いします。いただいたサポートは学校や先生とともにさせていただく活動の費用として使わせていただきます。