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多くの明治維新志士を生んだ長州藩の「起業家マインド」を強みに。山口のアセット×デジタル×コミュニティーの力で地元産業の創出を目指す「Schoo in Yamaguchi」の実践

地方における人口減少は、日本の社会課題の一つです。その要因として、地方産業の衰退による雇用機会の減少や、都市との学習機会格差による若年層の流出などが挙げられます。スクーでは「世の中から卒業をなくす」というミッションを掲げ、2015年から学びを起点にした地方創生に取り組んできました。

代表的な事例として、2017年より鹿児島県奄美市で、都市との学習機会の格差の解消を目的に、オンライン学習サービス「Schoo」を市民向けに提供してきました。2021年5月からは奄美大島全5市町村と地方創生推進の包括的パートナーシップ協定を締結し、全島民約6万人に対して、「Schoo」を提供しています。島外への若年人材流出という大きな課題に対し、時間と場所の制約を受けないオンライン学習によって就業につながる知識・スキル習得の機会を提供し、地域経済の活性化に貢献しています。

また昨年より、コロナ禍を機に社会全体の急速なデジタル化が進み、地方自治体や企業においてもDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進は急務となりました。その一方、地方行政や地方経済の現場ではデジタル人材の不足や育成の難しさという課題が生まれています。

このような先端分野の学習機会における都市・地方間格差は日本全体の大きな問題であり、スクーではこれまで築いた地方自治体との協力関係をさらに進め、DX推進やデジタル人材育成支援に取り組んでいます。

山口県山口市では、最先端かつ幅広い学習コンテンツと学び合いのコミュニティが特長の「Schoo」を導入し、デジタル人材の育成とネットワーク形成に取り組んでいます。

長州藩(山口県)が多くの明治維新志士を輩出した背景には、吉田松陰の「松下村塾」がありました。兵学、哲学、歴史、地理、医学など幅広い学問に精通した松蔭の元には好奇心旺盛な若者たちが集い、「いまの日本に必要なものは何か」を学び、議論していました。

時代の変化を「学び」で切り拓いた長州藩の維新精神が脈々と続く山口市とSchooの取り組みをご紹介します。


デジタル人材育成と仕事創出ネットワーク形成を目指す「Schoo in Yamaguchi」

山口市では、全国的に加速している『Society5.0』やDX等のデジタル社会の到来に向けて、デジタル人材育成や仕事創出ネットワーク形成を目的とした取り組みに「Schoo」を活用していただいています。

山口市民及び近隣市民に向けて「Schoo in Yamaguchi」という学習講座シリーズを2021年7月に開始し、コロナ禍においても持続的に必要なビジネススキルの向上に取り組める環境を提供しています。これまでに8つのコースを開講し、「ビジネススキル」や「コミュニケーション術」「ウェブデザイン」など、幅広い学びをオンラインを活用した学習を通じて深めてきました。

▲最新講座の開講スケジュール

特長的なのは、「Schoo」でのオンライン学習と、産業交流スペース「Megriba」でのオフライン学習をハイブリットに行うことで、新しい学習スタイルでの知識向上や学びのコミュニティ形成に取り組んでいる点です。

同じ内容を学習したいメンバーでコミュニティを形成し、一緒に学習したりグループディスカッションをすることで、効率的に深い知識の定着を促します。コミュニティに参加することで、個人ではなかなか学習を続けられないという課題も解消され、楽しく学習が継続されています。

参加費は無料で、主に山口県央連携都市圏域内に在住する方を対象に、市内の企業や法人に勤務する方や市内で活動するフリーランスやクリエイター・起業を志す方も参加が可能です。

■山口市HPより:https://www.city.yamaguchi.lg.jp/soshiki/63/105919.html

2/19(土)実施「Schoo in Yamaguchi」イベントレポート

この度「起業で必要なことを総まとめ!起業入門講座」の開講を記念して、Schooは山口市とともにオープンスクールを開催しました。当日は、講座の第1回目授業に先がけてSchoo代表の森が登壇し、起業家を志す参加者の皆様とのフリーディスカッションを通して起業にまつわるエピソードやアドバイスなどをお話しました。

<第1部>パネルディスカッション
テーマ:『〜デジタル人材の育成で地方からイノベーションを起こす〜70万人の大人の学びを支援する「Schoo」森社長に聞く!起業家に必要な視点とは』
登壇:(株)Schoo 代表取締役社長CEO 森 健志郎 ※東京からオンライン参加
モデレーター:(株)ブイク 代表取締役 弘中 明彦

<第2部>「Schoo in Yamaguchi」オープンスクール
テーマ:「起業で必要なことを総まとめ!起業入門講座 第1講 できる!パーソナルブランディング術〜自立と起業のはじめの一歩〜」
※「Schoo」の動画を見ながら参加者同士でディスカッションをし、起業についての学びを深めていく講座です。

▲当日の会場の様子

このイベントの様子も含め、テレビ東京「エルピスの煌めき」(2022年3月8日放送)にて、スクーの取り組みが紹介されました。(番組公式Youtubeでも公開されています

▼主催者インタビュー▼

「Schoo in Yamaguchi」を主導されている、山口市経済産業部ふるさと産業振興課課長の金子さんにお話を伺いました。

▲山口市 経済産業部 ふるさと産業振興課 課長 金子忠正

山口は工業系の企業が少なく公務員が多い町です。また、湯田温泉は県内最大級の温泉街で観光都市でもありますので、商店や飲食店などのサービス業が盛んです。起業を志す方も、こうしたサービス産業は地元で興す傾向が強いです。一方でそれ以外の事業に関しては、都会の方が仕事の量も多いというのもあり、地元を出て起業される傾向が強いのが課題でした。

サービス業以外の新たな産業を起こしていくために、例えばIT企業を誘致するにしても、活躍できるデジタル人材が山口にいないと来ていただけませんので、企業誘致とデジタル人材の育成は両輪で進めていかねばと考えています。

人材育成のためには、「Schoo」のような都市部と等しく質の高いサービスを提供し、志を持った参加者が交わりディスカッションする中で、学習能力を高めたり起業マインドを高めていただいて、どんどん次のステップへ繋がっていくような仕掛け作りをしていきたいと思っています。

山口はかつての長州藩があったところであり、明治維新で活躍した志士の中には山口が生んだ人材も多くいます。そうした山口の気質というか、起業家マインドのようなものも最大限強みとできるような仕組みづくりを行政で行いたいと思います。 

今後としては、地場産業を引き継いでる人と新しいデジタル人材とのコラボレーションによって、地元経済や都市の価値向上に繋げていければとも思います。例えば山口のお酒として知られている獺祭のように、山口で作っている良いものが、デジタル化によって生産効率が向上したことで世界に出荷できるようになったり、そうしたイノベーションが起こるととても嬉しいですね。

▼オープンスクール受講者の感想▼

清水敦也さん「山口の事業継承を効率化したい。若い世代に起業家教育を」

名古屋の大学に進学する時に初めて県外にでて、改めて山口の良さに気づきました。
まずは東京で働いて、様々な経験や実力を身につけてから地元山口に還元できたらなと思い、2年前まで東京にいました。今は山口で税理士事務所を構えています。
税理士の仕事の延長線上で、事業承継の大変さを課題に感じており、効率化するために株価を簡単に算定できるソフトウェアを開発、展開しようとしています。今回はそのヒントを求めて参加しましたが、ミッションからカルチャーを逆算して設定したという話など、非常に勉強になりました。
起業家教育などはまだまだ山口では機会が少ないので、とても貴重な機会でした。個人的にはこうしたイベントを単発で行うだけでなく、もっと若い世代から育てる施策などをやっていくべきだと思っています。

平井佐和子さん「シェアハウスを作りたい。若い世代にも地域課題解決の意識を」

私が住んでいる防府市にシェアハウスを作りたくて、商工会議所主催の創業塾などで勉強しています。実際に起業された方の話を聞きたかったですし、ブランディングについても興味があったので参加しました。
大学の卒業論文で防府の地域課題などを取り扱って、卒業後は山口に残ろうと思って新卒でNPOに入りました。市民活動支援センターというところで、行政施設の指定管理者運営業務として地域課題解決の団体支援などをしています。最初はたまたま見つけた職場でしたが、日々課題に立ち向かっている熱い人を見ると、自分自身も地域課題を発見するなど刺激を受けました。熱量のある若い世代にもこんな課題があると知ってもらえると、いいサイクルになると思っています。

林昂史さん(下関市議会議員)「インターネットリテラシーは必須。まずは大人から学び直さなければ」

私は以前渋谷で勤務していて、5年前にUターンで山口に帰ってきました。
森社長が話していた通り、インターネットは欠かせないものだと感じています。学生は学校でインターネットリテラシーを学ぶ場がありますが、大人は学べる場所がなかなかないので、そうした状況を危惧しています。特に教育現場では、子供たちに比べて教職員の意識やリテラシーが変わらないという実情があり、どうしたら変わるんだろう?といった思いを感じながら今日の会に参加しました。
リカレント教育については知っていましたが、リスキリングについては実は知りませんでした。「学び直さないとこれからの時代に価値を発揮できない」という発想がリスキリングだと聞いて、本当にそうだと思いました。下関市でも、今漸くリカレント教育の重要性を認識するようになってきましたが、さらにその先を行くリスキリングという考え方があったんだと衝撃を受けました。私自身も自分の考えをバージョンアップさせないといけないと感じました。
こうした講演会に参加すると自分たちの自治体を俯瞰して見ることができ、強みや弱みを把握できます。その意味でも、学び直すために外に出て情報を取りに行くことは大切だと改めて感じました。


社会のDX化に伴うリスキリングの文脈では、プログラミングやAIを学ぶなど、具体的な知識やスキルが注目されがちです。しかしこうした最先端の技術が実装されて社会の課題解決に繋がるためには、都市部だけでなく日本全体で、その技術の使い手が技術を正しく理解して使いこなすことが必要です。

山口に限らず、デジタルの力を使って地域課題を解決するイノベーションを起こすためには、私たち一人ひとりのデジタルリテラシーの向上が不可欠です。

Schooはこれからも、「地域社会のリテラシー向上」を目指し、都市部に偏重しがちな学びのサービスを、オンラインを活用した「どこでも・誰でも」学べるサービスとして全国に提供していきます。


株式会社Schoo
http://corp.schoo.jp/

MISSION:世の中から卒業をなくす
VISION:インターネット学習で人類を変革する






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