ChatGPTとの対話からコミュニケーションを考えてたらSFに飛び火した話

 ChatGPTネタが続いているが、まあひとまずは今回まで。
 使ってみて、なるほどと考えさせられた内容は大体吐き出し終わる。

 元々は2つ目に書こうとしてボツらせた内容の書き直し。
 まあ、それほど長くはならないつもり。

 【執筆後追記】
 ・・・だったのだが、誠に遺憾ながら「つもり」で終わった。


【ベクトルだってさ】

 自然言語処理の裏側の仕組みとしては、そういうことらしい。それ以外にも使われてるらしいが、ここではこっちをメインに言及する。 

 要は、会話に登場した文章を単語レベルにバラして、重み付けしてベクトルとして捉えてるらしい。ベクトルは強さと方向を持つ単位なので、これを「話題の強さ」と「会話の方向性」ということにして、応答を生成する手掛かりとしてるらしい。

 実際、感覚的にはすごく思い当たることが多い話で、特にChatGPTとの対話を進めようとすると、対話初期に頻出する一般論乱れ撃ちに対して、辛抱強く「いや、そうじゃねえから」と軌道修正を重ねてあげないといけないのは、そういうことなんだ。
 何かと一般論推しな論調を、「こちら側が本当に聞きたいこと」に引き寄せないと、いつまでも建前回答が繰り返されることになる。

 この綱引き状態も、確かにベクトルと言われると腑に落ちるのだ。

 さて、腑に落ちた勢いで、もう少し踏み込んで考えてみよう。
 これは単なる「ソフトウェア的な仕組み」で済む話ではない。

 そもそも、コミュニケーションという行為を徹底的に抽象化すると、結局のところはこういうことなんだ、と言えるからではないか。

 そこに互いの主張があり、それらを付き合わせた結果の向かう先は、そのコミュニケーションの性質によって左右される。
 双方の折り合いを付けるのが議論であり、片方が望む方向にもう片方を進ませようとするのが交渉や説得であり、片方が進む先に寄り添ってナビゲートするなら相談になる。
 そこに提示される主張の強さと方向性の変化、というように抽象化して捉えれば、確かにそれはベクトルの話としか見えなくなる。

 まあ、ここまでは「なるほど」の範疇で、単なる感想である。


【ChatGPT先生曰く】

 コミュニケーションのタイプごとに、ベクトルモデルで説明するとどうなるかをChatGPTに尋ねてみた。あまり長々とやっても仕方ないので、タイプは適当に見繕う。

議論の場合

人間同士の議論の進み方をベクトルの動きの変化として表現することは、一つの方法です。ここでは、以下のようなイメージを持っていただけるとよいかもしれません。

例えば、2人の人間がある議題について話し合っているとします。この議題に関する考え方をベクトルで表現することができます。そして、2人が話し合うことで、お互いのベクトルが少しずつ変化していきます。この変化がどのような方向や速度で起こるかによって、話し合いの進み方が変わってくると考えられます。

例えば、一方の人のベクトルがもう一方の人のベクトルと正反対の方向を向いている場合、話し合いが進んでも両者の意見は一致しにくいでしょう。しかし、お互いのベクトルが近い方向を向いている場合は、話し合いが進むにつれてお互いのベクトルが近づいていき、最終的には一致する可能性が高まるでしょう。

また、話し合いが進む中で、どちらかのベクトルが大きく変化することもあります。これは、相手方の説得力が強かったり、新たな情報が出てきたことなどによるものでしょう。このように、ベクトルの動きの変化を観察することで、話し合いの進み方を分析することができます。

ChatGPTの回答

説得の場合

人間同士の説得というコミュニケーションをベクトルの動きの変化として表現することは、興味深いアイデアですね。以下は一例です。

まず、議論の進み方とは異なり、説得とは相手を自分が望む行動に導くために、言葉を使って努力することを指します。このようなコミュニケーションにおいては、相手の意見に対して反論や批判を行うことが多いです。そのため、説得においては、相手のベクトルと自分のベクトルの間の角度を狭くすることが重要となります。

例えば、自分の意見と相手の意見が反対である場合、自分のベクトルと相手のベクトルはほぼ逆向きとなります。しかし、説得の過程で自分が相手の意見に同意した部分を認めたり、相手の主張に対する自分の見解を補足したりすることで、自分のベクトルと相手のベクトルの間の角度が狭くなっていきます。このように、説得においては、相手と自分の間のベクトルの角度が狭くなる方向に進むことが重要となります。

また、説得においては、相手が受け入れやすい言葉やアプローチを用いることが重要です。これは、相手のベクトルの傾向を分析することで、より効果的なアプローチを見出すことができます。たとえば、相手がある一定の考え方や感情に傾いている場合、その傾向に合わせたアプローチを用いることで、説得の成功率が高まる可能性があります。

以上のように、説得においては、相手のベクトルと自分のベクトルの間の角度を狭めることが重要であり、相手のベクトルの傾向を分析することで、より効果的なアプローチを見出すことができます。

ChatGPTの回答

カウンセリングにおけるラポールは説明できるか?

カウンセリングにおけるラポールを、ベクトルの動きの変化で表現すると、以下のようになります。

まず、カウンセリングが開始された初期段階では、クライエントとカウンセラーの間にはまだ信頼関係や協力関係が十分に形成されていないため、ラポールを表すベクトルは動きが小さく、ほとんど水平に近い状態となります。

しかし、カウンセラーがクライエントとコミュニケーションを取り始め、彼らが互いに理解し合うようになると、ラポールを表すベクトルは徐々に上向きに傾き始めます。この傾きは、クライエントとカウンセラーの信頼関係や協力関係が形成されるにつれて、さらに急峻になっていきます。

次に、カウンセラーがクライエントに対して適切なフィードバックを提供し、彼らの問題に対する理解を深めることで、ラポールを表すベクトルは急速に上向きに傾きます。この傾きは、クライエントが自己開示を行い、カウンセラーに対してより深い信頼を寄せるようになるにつれて、さらに急峻になります。

最終的に、ラポールを表すベクトルはほぼ垂直に立ち上がり、クライエントとカウンセラーの間に深い信頼関係や協力関係が形成された状態となります。この状態に達すると、クライエントは自分自身の問題に対してより積極的に取り組むことができるようになり、カウンセラーは彼らを支援し、適切なアドバイスやガイダンスを提供することができます。

以上のように、ラポールを表すベクトルは、クライエントとカウンセラーの信頼関係や協力関係が形成されるにつれて、上向きに傾き、最終的にはほぼ垂直に立ち上がるように変化していきます。

ChatGPTの回答

 ラポールをベクトルとして説明してもらうのは、少々気が引けてしまった。
 「そんな無味乾燥なモンじゃないやい」という信仰心が首をもたげたのだ。しかし、カウンセリングを「理論」だの「技法」だのと称している以上、形式知を突き詰めればこのレベルの説明に至るのは、確かにそうなんだ。そこを経験則任せで固定していては「〇〇道」と変わらなくなるので、ここは涙を飲んでちっぽけな信仰心殿には脇に退いてもらった。ぐぬう。


【縁側で指す程度のSF】

 まあ、ここからは何と言うか「と言うことは」から始まる与太話である。
 あまり真に受けないで読んでほしい。

 コミュニケーションをベクトル表現として捉えるという話を拡張すると、いわゆるコミュニケーション能力の高い人というのは、実は無意識的にでも、そこでの対話を空間的に捉えてるのではなかろうか。
 話題や話の流れをベクトルとして認識していれば、その瞬間の振舞い方を直感的に選択しやすくなるのではないか。そこでの主張の押し引きや、対話の着地点などを直感的に把握しやすくなっているのなら、コミュニケーションを円滑に運べる可能性も高くなるだろう。

 何と言うか、コミュニケーション能力というものを、より具体的に形式知化できそうな気がしてくる。

 先に例示した通り、コミュニケーションを数理的に説明できてしまい、それをベースとして動く言語処理プログラムがあるということは、コミュニケーションの種類に特化したチューニングを施すことで、それぞれの用途に適したチャットシステムが構成できるということになる。
 これが「単にそれっぽい対話ができる」を超えた話、であることは理解できるだろうか。

 もちろん、AIには人間で言うところの「感情」は備わっていない。投げかけられた発言内容に対して、計算で弾き出した結果に基づいて応答文を生成するだけである。

 しかし、人間だって「計算」で発言することは普通にある。

 人間における「計算」はもちろん比喩的表現でしかないわけだが、しかし脳内で行っているであろう「計算」を、実際に行われているコミュニケーションから逆算して推測することはできるだろう。(人、それをリバースエンジニアリングと言う)

 「計算」で発言するということはつまり、そのコミュニケーションの場において、その発言がどのような「機能」を果たすか、にフォーカスした行為と言える。
 そして、「計算」だから心に響かないということは無く、むしろそういった「計算された発言」によってこそ、我々の感情はより強く揺さぶられるのでは無いか。そういった「機能」の効果量を上げるために「計算された発言」がある、と言い換えることもできる。
 そう言えば、良く似たことを前に書いた記事でも言及した。

 とは言え、これって実はコミュニケーションの本質に触れる話で、普段他人と議論するときに、他人の意見というのは議論の中でどのような機能を持っているか?を考えたとき、その出所が必ずしも人間である必要があるか?という問いかけに繋がる。

「ChatGPTと議論した話」
https://note.com/schemafact/n/n0f1296398c68

 普段、他人とコミュニケーションを取る時に、そういったことを全く意識しない人も居れば、ある程度明確に意識している人も居よう。
 意識しているケースでも、その仕組みへの理解が正解に近い場合もあれば、全く的外れである場合もある。意識していないケースでも、経験則や何かから、正解に近い手法を実践できている場合も当然あるだろう。

 そのように考えると、いわゆるコミュニケーション能力の高い人が普段やっていることと、AIによる自然言語処理の仕組みを抽象化して比較してみると、どういう結果が得られるか、は非常に興味深いテーマと言えないだろうか。


 さらにここからは、少々SFの入った話。
 共感覚ってありますわな。複数の感覚知覚が混ざってしまう人。味覚を形として知覚したり、人を色として知覚したりといったやつだ。

 ならば、コミュニケーションが行われている様を、ベクトルが可視化されたように知覚する人が居たらどうなるだろう?(絵的に判りやすくすれば、そこにベクトル矢印が見えるようなイメージとでもしようか。感覚知覚的な表現をすると、何かが引っ張られるイメージとしておこう)

 言語的・非言語的含めて、そこでの話の流れを構成する要素同士の関係性はおろか、阻害要因や増幅要因までもがベクトルとして認識できてしまうのだから、対話の流れをコントロールするための方策を的確に把握できることになる。
 異次元レベルでの話し上手や相談上手となるのか、あるいは認識できることと方策を実践できることは別ということで、アドバイザー役となるのか傍観者に徹するのか。
 共感覚なもんだから、別に当事者として参加している対話の場に限らず、隣の席から聞こえてくる会話であってもベクトルとして認識してしまう。都合の良い面ばかりではない。
 集団が生むベクトルが一方向に集中する様まで知覚できてしまうと、精神衛生上よろしくないかも知れない。総合的には感情の流れとしても解釈できてしまうだろうから、高揚感に類するベクトルは良いとしても、悪意の詰まったベクトルはさすがに少々刺激が強そうだ。

 お話として、その共感覚を持った人物が幼女なのか少女なのかオッサンなのかで随分とアプローチは変わるんだろう。そういう機能を持った人工知能とかアンドロイドなら全く別のアプローチなんじゃろうな。
 幼女だったらやっぱり無表情系になるんかな。いや待て、異常に老成してロリババア化している可能性もある。オッサンなら大体世の中諦めてる系だよな。少女であれば基本的にアホの子なのだがそのままのノリで恐ろしく本質をエグる発言をズバズバ飛ばしてくるような一見するとチョロそうなのに実は難攻不落に手強い娘さんというのが理想だ。

 ああ失敬、いささか早口になっていたようだ。

 それにしてもアレだ、地味で観念的なifの話はSF向けだよなあ(私見)。
 ここ数年SF小説にアンテナ伸ばしてないから、そういうのは既にあったりするのかね。

 共感覚のくだりは単なるSF的な思い付きでしかないが、そういうアプローチでのガイダンスシステムの可能性は、ChatGPTを見れば普通にあり得ると思えてしまう。
 AIチャットだけで完全にコミュニケーションを代替するというのはまだ少し未来の話だとは思うが、人間同士の対話を補助する、モデレーターやファシリテーターとしてのAIチャットは結構現実的と思える。
 ネット上で議論ができないとか言われるのも、単純に議事進行役を立ててないからの一言に尽きる。いつでも頼める中立的な司会役として、AIチャットは最適だろう。
 その際に、現在の対話におけるベクトルの状態を簡略化して(例えば、TOP5の話題要素に絞ったバブルチャートなり、矢印表現なりで)図示してくれれば、人間側は直感的な形で対話状況を捉えることができ、そうするとコミュニケーションの認識の仕方というのも変わってくるのではないだろうか。
 そのようなシステムが一般化して、社会通念レベルにまで至った先の未来、というSFを考えてみるのも楽しい。

 自動化だの何だのと騒ぐだけ騒いで、ブームが落ち着いたら見向きもしなくなるのでは何の成長も希望もなかろう。

 縁側で指すヘボ将棋ぐらいのノリで、ちょいとSFするのも悪くないですよ。

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