初めて西の果ての国へ行くまで
初めてポルトガルを訪れたのは2019年1月。
今も当時もわたしはドイツが好きでドイツに行くことが多かった。
「どうせなら旅程の半分は別の国に行ってみようか」何気なくそう思い始め、候補先を考える。
いつも乗継で使うアムステルダム。美術館に行くのが好きだから、いいかも。ゴッホの「花咲くアーモンドの木の枝」を見てみたい。
ほかはどこがあるだろう・・・?
そこでふと思い出した、高校時代に読んだ宮本輝さんの『ここに地終わり 海始まる』
ユーラシア大陸最西端のロカ岬から出した、宛先人間違いの絵葉書から始まるこの物語を読んだときに「いつか行ってみたい」と思ったことを思い出した。
でも「ユーラシア大陸最西端」という響きに、「行程の難易度が高いのではないか」ということが気にかかったものの、調べてみると首都リスボンから日帰りで行ける!
これは行くしかないと、半分ポルトガル、半分ベルリンの計画を立て始めた。
ドイツ旅行はいつも個人手配で行っており、初旅行時はベルリンからミュンヘンまで縦断した。
その時はほぼドイツ語を知らない状態で行ったが楽しく旅ができ、帰国後、ドイツ語をかじるようになった。
その時の経験から「語学は少しでも知っておくと旅はより楽しくなる」
旅行を前にまずは先生を探し始めた。
わたしは高を括っていた。
書店にはポルトガル語の参考書がたくさんある。
先生なんてすぐに見つかる、と。
しかし、本腰を入れて探し始めたところ書店で見るのは『ブラジル』ポルトガル語の本で、たくさんいると思っていた先生は『ブラジル』ポルトガル語の先生だった。
安易に情報はゲットできると思っていたが、実はそうではない。
わたしが知りたいのはブラジルポルトガル語ではなく、ポルトガルのポルトガル語。
そこでもう少しネットで先生を探し始めると当時、神戸大学の院に在学していたシントラ出身の先生を見つけ、「貴重なネイティブ・・・!」と連絡を取った。
また大阪にもポルトガル料理店を見つけ、友達を付き合わせて訪問した。
リスボン出身のオーナーシェフ・ジョゼさんのお店。
今は移転し、高知県のいの町でベーカリーカフェを経営されている。
訪れた日、偶然我々以外にお客さんがおらず「実は来月、リスボンへ旅行に行くんです」と話すとメニューの余白におススメのレストランを書いて渡して下さった。
今もそれは大事に持っている。
そして20年以上ぶりに読む『ここに地終わり 海始まる』を手にわたしは西の果ての国へ向けて旅立った。
4年後、まさか自分がそこに住むことになろうとも思わずに。