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5キロの肉

肉、野菜、お汁、ときて仕上げに寿司を頬張る甥

一度の食事に、5kgも肉を買うことってそうそうないでしょう。とにかく迫力がすごい。

一日中バタバタしていて、肉の集合体を写真に納める暇はなかったことが残念である。

庭にテーブル、サンルームにテーブル、リビングにもテーブル、秋の気配が強まり、やっと涼しくなりはじめた、9月24日。

祖父が一周忌を迎えたこの日、連なる3つの空間にはひとと食べ物がひしめき合っている。

・コストコのプルコギ2キロ
・イオンの精肉店でかった焼肉用牛肉 1.5キロ
・骨付きソーセージ 15本
・豚トロ500g
・鶏もも 3枚 1キロ弱
・くら寿司 握り6人前
・マルゲリータ 2枚
・おにぎり 5合分
 エトセトラ

午前10時
親族が集まり、ひ孫を含めて22人。
お坊さんを迎え、混乱極める法要が行われた。

わたしを含めて、大学生からアラサー未満の孫たちの目当ては、法要後のBBQ一択。

スポンサー(祖母、親)による出資に感謝しながら、肉やら何やら欲望のままに買い出しが行われた結果、テーブルには食べ物があふれかえっている。

はじまる前からピザのつまみ食い、おにぎりにかぶりつきながら火おこし、畑から茄子をもいで、洗って、そのままホイル焼き。

各々が好きな場所で食べて、飲んで、笑顔の中心にはまだ4歳、5歳の最年少のひ孫ズ。

親戚の集まりなんてめんどくさい、と思うのが最近の世間の傾向かもしれない。

わたしは中の人だから、居心地がいいだけなのかもしれない。

外からきた嫁、婿勢は、窮屈な思いをしてるんだろうか。

わたしに見えている限りは、あまりそんな感じではない。皆思い思いに楽しんでいる。

思い返せば、中高生のころはいとこたちとの付き合いが多少なりとも面倒で、距離をおいた時期があったかもしれない。

それでもわたしは、なんだかんだでこの空間が好きだった。

ちょっと恥ずかしくて、言葉で直接伝えはないけど、ここには祖父母が大切にしてきた家族の形がはっきり現れている。

縦には4世帯、横には5家族
そして孫世代の旦那たち

まさに、いま自分たちは手探りのなか新しい家族と生活をはじめている。

祖父母が連綿と紡いできた暮らしが80歳以上離れたひ孫までずっと受け継がれ、家族の輪はどんどんと広がっている。

祖父もこの賑やかな様子をいつもの寡黙な表情で、じっと見守ってくれていることだろう。

あなたを失った祖母が、あなたの残した娘や息子、孫や、ひ孫の笑顔に囲まれて、寂しくも心穏やかに過ごしていることにどうか安心てほしい。

ふと、半年ほど前に見た、家族や出産に関する特集のweb記事を思い出した。「#生涯子供なし」識者はどう見る、探したらすぐに出てきたので下の方に貼っておく。

一筋縄ではいかない、多方面から問題が複雑に絡み合っていて、だれかを優遇する措置はだれかを不幸にするのかもしれない。

こんなに素敵な家族の中にいる自分はいかに恵まれていたのだろうと、大人になってからしみじみと思う。

核家族、ひとり親世帯、ヤングケアラー、孤独死、毒親、今の日本にはいろんな家族の形があって、課題も山積している。

それでもやはり、自分には、自分に結ばれた関係、自分が結んだ関係を大切にすることしかできないのだ。

祖父母がしてくれたように、日々丁寧に暮らし、子どもたちの人生の節目を自分ごとのように喜ぶ。

あと50年は必要だろうか。

それが、いつの日か、ひ孫の笑顔のために焼肉5kgを買いに走るような明るい暮らしにつながるのかもしれない。


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