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何のための人事評価なのか?

介護マネジメントコンサルタントの近藤麻耶です。
 
今回のテーマは人事評価は何のために行うのか? について
 

介護という仕事は評価が難しい

介護業界は、「評価」に抵抗を感じる人が少なくありません。評価される人だけではなく、評価者側も「私なんかが人を評価するなんでできません」と謙虚な人が多いように思います。
 
その理由の1つに、そもそも「介護の仕事を評価する」ことの難しさがあります。

営業職であれば、「○万円売り上げた」というように、客観的な評価がしやすいのですが
介護の仕事は、数値で評価できる場面が少ない。

稼働率も1つの指標になるとは思いますが、管理職や相談員でなければ、日々の業務と稼働率実績は結びつけることは難しいでしょう。

なにより介護はチームワークですから、スタッフ個人の成果を評価すること自体が不可能に近いのです。
 
となると、「プロセス」を評価するしかありません。具体的には意識や行動―「挨拶のしかた」や「安全意識の高さ」、「会議での積極性」などになります。
 

人事評価は「教育」のため

ここで注意しなければならないのが、人事評価が単なる「格付け」となっていないかということです。人事評価の本来の目的は「教育」であるべきです。
 
評価の結果が出たら、必ずフィードバックし、評価者は「なぜ、この評価結果だったのか」「次年度は何を目標にするか」をスタッフ一人ひとりとしっかり話をするべきです。

このフィードバックが形だけのものになっていて、評価者が評価結果の根拠をしっかりと説明できなかったり、忙しさのために、フィードバックすらできていない、という施設はこれまで何度も見てきました。
 
人事評価は、評価そのものよりも、むしろフィードバックの方が大切だと思います。何のための評価なのかもわからず、ただ「格付け」されるだけでは、誰だっていい気分はしないはずです。
 

人事評価は「メンテナンス」ともいえる

もう1つ。人事評価の目的は「品質管理」であるともいえます。
例えば製造業などでいうと、形のある「商品」があって、商品の品質を保つために定期的なメンテナンスを行っています。

これを介護に当てはめるのであれば、「商品」は「人」が提供する介護サービス、ということになります。

たとえ形がないサービスでも、サービスの質を保つ(もしくは向上させる)ため、定期的なメンテナンスを行う必要があることに変わりはありません。
 
「人事評価」とは、まさに「人」が提供するサービスの品質を保つためのメンテナンス、ともいえるでしょう。
 

お客様が受け取る「価値」こそ、人事評価に取り入れるべき

弊社では人事評価を導入する法人に対して、評価者研修を行っています。
その研修では必ず、参加者に「給料は何の対価か?」を考えてもらうようにしています。
 
すると大抵は「労働力」「時間」といった答えが返ってきます。
これももちろん間違いではありません。
しかし、それをもっと突き詰めて考えていくと…
 
利用者様やそのご家族は
「質の高いケア」や「スタッフの笑顔」、「安心感」
などに価値を感じてくださることに気がつきます。
 
私たちは、このような価値を提供しているからこそ、お客様から対価(≒給料)を得ているのです。
つまり、お客様が価値を感じるレベルの品質を保たなければならない。
 
だから、このような価値を表す言葉が、人事評価基準に散りばめられており、定期的にチェックをする必要があるんだ、ということをお伝えしています。
 
人事評価の評価基準は、本来はお客様に最大限の「価値」を提供するために、スタッフが目指す意識や行動であり、それを1つでも多く実践できるようになるよう、フィードバックを行っていく過程が教育なのです。
 
そんなふうに筋を通して説明できる人事評価であれば、スタッフの人事評価に対する考え方も少し違ってくると思いませんか?
ぜひ、皆さんの施設の人事評価も振り返っていただければと思います。

弊社では6か月で、自社オリジナルの評価制度作成だけでなく
それをクラウドシステム化して納品するパッケージプランがございます。
詳しくはこちらをご覧ください。

※弊社は介護事業に特化したコンサルティング会社です。
お話を伺って、人事評価構築よりも優先度が高い経営課題がある場合は
現時点で導入をお勧めしない場合もございます。ご了承ください。

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